生成AIに聞けば、さまざまな疑問への答えをすぐに得られる時代。だからこそ、これからの子どもたちには「答えを探す力」だけでなく、「問いを立てる力」が求められる。

NTT東日本は、東京・調布にあるNTTe-City Labo(NTT中央研修センタ)にて、近隣の小中学生を対象とした自由研究イベント「ミライ発見!! 自由研究教室」を2026年8月2日に開催した。

  • NTT e-CityLaboでは、NTT東日本グループがさまざまな地域で展開している新規事業やICTの先進技術を紹介している

    NTT e-CityLaboでは、NTT東日本グループがさまざまな地域で展開している新規事業やICTの先進技術を紹介している

同イベントは、NTTe-City Laboの先進技術や社会課題解決の取り組みに触れてもらい、そこで得た驚きや学びを家庭でも共有してもらうことなどを目的としている。NTTe-City Laboに展示されているさまざまな技術を通じて、自由研究のヒントを提供する。

また、NTTe-City Laboの若年層ファンづくりも大きな目的となっており、「ミライ探検ツアー」と「eスポーツツアー」といった2つのコースを用意し、小中学生はそれぞれ興味のあるコースに参加し、約2時間のツアーを楽しんだ。

  • NTTe-City Labo(NTT中央研修センタ)

    NTTe-City Labo(NTT中央研修センタ)

最先端の技術に触れる「Laboツアー」

「ミライ探検ツアー」「eスポーツツアー」ともに最初の1時間は「Laboツアー」として、NTTe-City Labo内に展示されている最先端技術を体験。NTTe-City Labo内に展示されている最先端技術を体験。ドローンや「Digital×文化芸術」の取り組み、AIを用いたリスクマネジメント、遠隔営農システムなどが紹介された。

  • ドローンによる自動点検飛行のデモ

    ドローンによる自動点検飛行のデモ

  • デジタル化された文化芸術を体感

    デジタル化された文化芸術を体感

  • 遠隔営農システムを紹介

    遠隔営農システムを紹介

また、屋外に設置されている次世代農場の実証ハウスやキャンプ場DXソリューション、食品残渣などを活用したバイオガスプラントなども公開。参加した小中学生は、真夏の陽射しを浴びながら、興味深く見学を行った。

  • 次世代農場の実証ハウス

    次世代農場の実証ハウス

  • キャンプ場DXソリューションを見学

    キャンプ場DXソリューションを見学

  • バイオガスプラントを見学

    バイオガスプラントを見学

レゴブロックで自分の興味を具体化する「ミライ探検ツアー」

「最先端技術に触れ、地域のミライを考えるWS」と銘打たれた「ミライ探検ツアー」では、正解がない問題に対して「なんでだろう」「どうやって解決しよう」と考えることの意義を参加者に説明した。そして、「ワクワクと自由を大事に!(正解はない!)」「みんなで語り合おう(力をもらおう!)」をテーマに、「Laboツアー」で「最も印象に残ったこと」をレゴブロックで表現するワークショップが行われた。

参加者はドローンやバイオガスプラントなど、印象に残った展示物を思い思いにレゴブロックで表現。それぞれの作品について、周りの参加者や保護者に発表したり、「こうなったらいいな」という理想やうれしい未来を、さらにレゴブロックで表現するなどして、自分たちの考えを語り合った。

  • レゴブロックで印象に残った展示物を作成

    レゴブロックで印象に残った展示物を作成

ワークショップ終了後、自分たちで作り上げたレゴブロックの作品を手にした参加者からは、「すごく楽しかった」との声があがった。保護者からも「今まで日常で触れることのない技術を見ることができたので、すごく刺激になりました」との声が聞かれた。

AI時代だからこそ「問いを立てる力」を

「子どもたち一人ひとりが、理想の未来をしっかりと考えてほしい」と語るのは、NTT東日本 営業戦略推進部 企画/インキュベーション 教育グループ チーフの内野佑紀氏。先端技術をただ見せるだけではなく、それが未来でどのように使われるのかを考える機会を設けたのは、「未来を見据えていろいろなことを考える姿勢を常に持ってほしい」からだという。

  • NTT東日本 営業戦略推進部 企画/インキュベーション 教育グループ チーフの内野佑紀氏

    NTT東日本 営業戦略推進部 企画/インキュベーション 教育グループ チーフの内野佑紀氏

レゴブロックを使ったワークショップにも狙いがある。展示を見て印象に残ったことをすぐに言葉にするのは大人でも難しく、子どもならなおさらだ。そこで、まずレゴブロックで形にし、その後に言語化することで、自分の考えを整理しやすくした。

「シンプルにレゴブロックでモノを作るのは楽しいじゃないですか」と内野氏。「楽しく学んでほしいという気持ちも含まれています」と笑顔を見せる。

さらに内野氏が重視するのが、「問いを立てる力」だ。インターネットやAIを使えば、答えを得ること自体はある程度可能な時代になったからこそ、「答えを探すことよりも、根本的な疑問、問いを立てる力を養ってほしいし、今後はより重要になってくる」と話す。

問いを立てるには、知識だけでなく、さまざまな経験や他者との協働も必要になる。内野氏は、今回のLaboツアーで先端技術に触れた経験を一つのきっかけとして、日常生活でもさまざまな体験を重ねながら、問いを立てる力を磨いてほしいと期待を寄せた。

ゲームや生成AIを体験する「eスポーツツアー」

「eスポーツツアー」は、「eスポーツで学ぶ新規事業と職業理解」がテーマ。まずはeスポーツということで「ベジタブルゲーム」を使ってゲーム対決が行われた。2分間という制限時間内での獲得ポイント数で勝負となり、参加者たちは一喜一憂しながらゲームを楽しんだ。

  • 「ベジタブルゲーム」で対決

    「ベジタブルゲーム」で対決

ゲーム対決のあとは、敷地内にあるICT都市型農園「つながる∞ファーム Sengawa」で野菜観察。「野菜を観察してミッションをクリア!」ということで、農園にある野菜を探したり、花や葉から野菜の名前を当てたりするミッションが行われた。

  • 「つながる∞ファーム Sengawa」で野菜観察

    「つながる∞ファーム Sengawa」で野菜観察

「なぜeスポーツで野菜観察?」となるところだが、今回はeスポーツをきっかけにしたデジタル人材の育成をテーマに、生成AIを体験。観察した野菜をもとに、色や名前などの特徴を整理し、生成AIを使ってオリジナルキャラクターを制作。生成されたキャラクターは缶バッジにして、参加者に配布された。

  • 生成AIで観察した野菜をモチーフとしたキャラクターづくり

    生成AIで観察した野菜をモチーフとしたキャラクターづくり

参加した子どもたちにとっては、野菜観察の印象が強かった様子で「いろいろな野菜を見つけました!」と元気に報告。「ただゲームをするだけでなく、野菜を観察して、AIでキャラクターを作るというデジタルのつながりが面白かった」と笑顔で語っていた。

eスポーツをデジタル分野への入り口に

自由研究で「eスポーツツアー」を設けた狙いについて、NTTe-Sports 経営企画部 課長の山下 明希氏は、「普段の学校とは違う学びの機会をNTTグループとして提供したかった」と説明する。子どもたちが楽しめるeスポーツを入り口に、パソコンや通信など、さまざまなデジタル分野へ興味を広げてもらいたいという。

  • NTTe-Sports 経営企画部 課長の山下 明希氏

    NTTe-Sports 経営企画部 課長の山下 明希氏

ゲームだけでなく、農園見学や野菜観察を組み込んだのも特徴だ。山下氏はその狙いを「ゲームとリアルの融合」と表現する。実際に農園で野菜を観察し、それをモチーフに生成AIでキャラクターを作ることで、「現実からデジタルにつながる接点になる」と、同氏は話す。

また、ゲームそのものだけでなく、周囲にあるパソコンや配信設備などにも目を向けることで、デジタル分野への興味を広げ、将来のキャリアを考えるきっかけにもなってほしいとする。

生成AIによるキャラクター作りでは、子どもだけでなく保護者も一緒に体験した。山下氏は、「保護者の方も、実際に生成AIの作業を見て、非常に驚いていらっしゃった」と振り返り、家庭に帰ってから親子で体験を振り返ることが、子どもたちの学びをさらに深めることにつながると期待する。

「実際に生成AIに触れて、『自分たちにもできる』ということを知ってもらえたと思います」と山下氏。今回の経験を自分たちの生活にどう生かせるのかを考え、それが親子のコミュニケーションのきっかけになれば、イベントを開催した意義があると語った。

調布にこんな素敵な施設があることを知ってほしい

「NTTe-City Laboは普段、ビジネスユーザーの方をご案内することが多いのですが、一般の方々にも、調布にこんな素敵な施設があることを知ってほしかった」と語るのは、NTT東⽇本 営業戦略推進部 営業戦略推進担当の樋⼝祐輔氏だ。

NTTe-City Laboではこれまでも、小中学生や高校生などを対象としたイベントを開催してきた。今回の自由研究教室についても、最新技術を体感してもらい、地域の未来について考えるきっかけを提供したいという思いが開催につながったという。

  • NTT東⽇本 営業戦略推進部 営業戦略推進担当の樋⼝祐輔氏

    NTT東⽇本 営業戦略推進部 営業戦略推進担当の樋⼝祐輔氏

多彩な最新技術が展示されているNTTe-City Laboだが、樋口氏は「ただ技術を知るだけであれば、AIに聞くだけでも良い」としたうえで、「実際に体感することが重要」と強調する。最新技術を自ら体感して自分事として捉えることで、知識を得るだけでなく、「自分だったらこういう風に使う」と考え、探究心を育むきっかけにしてほしいという。

また、人口減少が進む中で、社会のさまざまな課題を解決していくためにはデジタル技術の活用が重要になると指摘。将来を担う子どもたちが若いうちからデジタル技術に触れ、自分たちの生活や地域でどのように活用できるのかを考えることにも、今回の取り組みの意義があるとする。

今回のイベントは学校行事ではなく、参加者が自ら希望して参加している。樋口氏は、子どもたちが熱心に話を聞く姿から手応えを感じたという。

「調布にこんな素敵な施設があるということを知っていただきたいという思いが第一ではありますが、そこから先、デジタル技術がどのように地域の中で活用されているかを知り、それを自分の生活の中でどのように生かすか、さらにどうなっていくべきかという問いを、子どもたちが普段から考えるきっかけになればうれしいです」

樋口氏はそう期待を寄せた。

  • 個別企画として用意された「ドローン操縦体験」

    個別企画として用意された「ドローン操縦体験」