
2026年9月2日(水)、三菱自動車工業(以下三菱)はクロスカントリーSUV「パジェロ」をフルモデルチェンジし、世界初披露した。発売は26年度内を予定。まず生産国であるタイを皮切りに、続いて日本、オーストラリアに投入する。次年度以降はアセアン、中南米および中東など世界約100カ国へ順次展開する計画だ。
初代は、三菱ジープ譲りの本格的な悪路走破性と高い信頼性に乗用車並みの快適性を融合させたクロスカントリー4WD車として1982年に誕生。以来、アウトドアレジャーを楽しむユーザーを中心に幅広い支持を獲得し、国内で90年代に起こったRVブームをけん引する1台となった。初代から4代目までの累計生産台数は329万台を超え、170以上の国と地域で親しまれてきた三菱を代表するモデルである。
5代目となる新型は、初代から一貫して培ってきた悪路走破性・信頼性、そして快適性と扱いやすさを両立させる商品思想を継承しながら上質さを付加し、全方位にわたって大幅に進化させた。
伝統と先鋭が交錯するヘリテージ・デザイン
「グランド カリスマ-泰然自若-」をコンセプトとしたスタイリングは、初代からの伝統である水平基調のスクエアなプロポーションをダイナミックに昇華させたものだ。フロントフェイスは、日本の「剣道」に通じる内面の強さを表現。フロントグリルは精巧な横桟タイプと高強度をイメージさせるハニカムタイプの2種類が用意され、先進的なT字型ヘッドランプが強烈な個性を主張する。
サイドビューで目を引くのは、初代パジェロのロールバーからインスピレーションを得たCピラーだ。さらにリヤまわりには歴代モデルの象徴であった背面タイヤを連想させるヘキサゴンデザインのモチーフを配するなど、伝統へのオマージュと現代的な表現がうまく融合している。
インテリアも抜かりない。視認性に優れた14.3インチ(グレードにより12.3インチ)の大型ディスプレイを2枚配置し、往年のパジェロを彷彿させる「3連メーター」を現代的なデジタルマルチメーターとして再現。インパネやドアトリムには、日本の伝統工芸「木目込み」に着想を得た縫製技法が施されたソフトマテリアルを採用するなど、フラッグシップにふさわしい上質感を創出している。
悪路走破性を研ぎ澄ます最新のメカニズム
骨格にはラリーの現場で鍛え上げた高剛性ラダーフレームを採用。高張力鋼板の拡大やフレーム断面積の大型化により、軽量化を果たしながらねじり・曲げ剛性を大幅に高めた。足まわりはフロントにダブルウイッシュボーン、リヤには新開発の5リンク式リジッドを採用し、圧倒的な路面追従性を確保。さらに「悪路快適性」を重要な開発指標に掲げ、ボディマウントの強化などにより、キャビンに伝わる不快な振動を徹底的にシャットアウトしている。
パワーユニットには、新開発の専用2.4L直4クリーンディーゼルターボエンジンを搭載。最大トルク480Nmを低回転域から発生させ、新開発のスポーツモード付き8速ATとの組み合わせにより、オンロードでの力強く滑らかな加速とオフロードでの繊細なコントロール性を両立させた。
四輪駆動システムは、走行シーンに応じて2H/4H/4HLc/4LLcを選択できる「スーパーセレクト4WD-Ⅱ(SS4-Ⅱ)」を継承。ここに、ブレーキによる左右輪間のトルクを制御するAYCや滑りやすい路面での安定性を高めるASTC、ABSを統合制御する車両運動統合制御システム「S-AWC」を組み合わせた。路面状況に合わせて選択可能な7つのドライブモード(ノーマル/エコ/グラベル/スノー/マッド/サンド/ロック)により、どんなに苛酷な環境下でもドライバーへ絶大な安心感を提供する。
現代のフラッグシップに求められる先進装備 ボディサイズは全長4920㎜×全幅1925㎜×全高1910㎜、ホイールベース2870㎜。最低地上高230㎜、アプローチアングル30.4度、デパーチャーアングル25.8度と、本格オフローダーとして申し分のない数値(いずれも20インチタイヤ装着車)を確保。
室内は3列7人乗車のパッケージング。フロントおよび前後ドアウインドーを遮音ガラスとしたほか、防音材の最適化により、全席で会話が弾む静粛性を獲得している。
安全面では、高速道路同一車線運転支援機能「マイパイロット」や三菱車初の緊急時車線維持支援機能[ELA]、前進時交差車両検知警報システム[FCTA]に加え、事故の際に前席の乗員同士の接触を防ぐSRSセンターエアバッグを含む8つのエアバッグを標準装備。

さらに、悪路走行時に車両前方や下部の路面状況をシースルー感覚で視認できる「フロントアンダーフロアビュー」付きの3Dマルチアラウンドモニターや、ヤマハと共同開発した12スピーカーのプレミアムオーディオ「ダイナミック サウンド ヤマハ アルティメット」など、快適性や利便性を高める装備も満載だ。
「尖った商品・ブランドの強化」を掲げる三菱の新たな時代を告げる旗手として、満を持して登場した5代目パジェロ。王者の名に恥じない完成度を備えたこのクロカンSUVが、再び日本の道を、そして世界の悪路を席巻する日はもうすぐだ。
■パジェロ主要諸元 〈4WD・2.4L直4ディーゼルターボ・8速AT〉
【寸法・重量】
全長:4920mm
全幅:1925mm
全高:1910mm
ホイールベース:2870mm
トレッド:前1630mm/後1630mm
最低地上高:230mm
室内長:2775mm
室内幅:1575mm
室内高:1235mm
車両重量:2460kg
【パワートレーン・性能】
エンジン種類:直列4気筒DOHCディーゼルターボ
総排気量:2439cc
最高出力:150kW/3500rpm
最大トルク:480Nm/1750〜2500rpm
使用燃料:軽油
最小回転半径:5.8m
トランスミッション:8速AT
駆動方式:4WD
【諸装置】
サスペンション形式:前ダブルウイッシュボーン/後5リンク式リジッド
ブレーキ:前後Vディスク
タイヤサイズ:255/55R20
〈文=ドライバーWeb編集部〉









