テレビ画面を注視していたかどうかが分かる視聴データを独自に取得・分析するREVISIOでは、23日に放送されたNHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』(総合 毎週日曜20:00~ ほか)の第32話「賤ヶ岳の決闘」の視聴分析をまとめた。
「わしは織田家家老、柴田勝家じゃ!」
最も注目されたのは20時36分で、注目度74.0%。前田利家(大東駿介)と柴田勝家(山口馬木也)が、雪の陣幕で刃を交えるシーンだ。
「佐久間勢、敗走にござりまする!」雪が降り積もる柴田側の陣幕で毛受勝照(中山義紘)が口惜しげに柴田勝家に報告した。連なった家臣たちも皆うなだれている。勝家は硬い表情で床几から立ち上がった。そこに前田利家が現れる。「羽柴を迎え撃つ! 備えよ!」勝家は勝照たちに指示を飛ばし人払いをする。
2人きりになると、勝家は利家を見据える。「なぜかは聞かん。もはや聞いたところで意味のないことよ」佐久間盛政(遠藤雄弥)が救援を求めているにもかかわらず、利家は命令に従わずに動かなかった。しかし勝家はその真意を問いただそうとはしない。「仏門にお入りくださいませ。秀吉(池松壮亮)にはそれで手を打たせまする」「わしも見くびられたものよの」利家の進言を勝家は一笑に付した。
「この戦、まだ負けるとは思うておらぬ。うぬの首をあげて、やつらに見せつけてやるわ!」言葉が終わると同時に勝家は刀を抜き放ち、一気に斬りかかった。瞬時に反応した利家も抜刀して迎え撃つ。「腕押しのようにはいかんぞ!」雪が舞う中、2人の刀は激しくぶつかり火花を散らす。「死にたくなければ、わしを殺せ!」勝家の一撃で利家は思わず刀を手放す。だが利家はそのまま腰の鞘も投げ捨てると、陣幕にあった槍を手に取った。
再び利家と勝家の刃が交わる。槍の又左の異名通り、利家の槍は刀以上の鋭さを見せ、勝家に迫る。しかし勝家は刀一本で利家の槍を見事にさばいている。やがて勝家のこん身の一撃が利家の槍を弾き飛ばし、そのまま首元に刀が迫った。しかし勝家はそれ以上刀を振るわず、「うぬのような弱き者を斬っても寝覚めが悪うなるだけじゃ。二度とその面をわしに見せるな!」と言い放つとその場から離れていく。
利家はその場に崩れ落ちた。「わしは! 親父殿に、上様の後を継いでほしかった! 親父殿と共に、新しき世をつくりとうござりました!」涙ながらに利家は勝家の背中へ胸の内をぶつける。すると勝家は足を止め振り返った。そして、ゆっくりと利家へ近づいていく。「わしは織田家家老、柴田勝家じゃ! 今更、変わることなどはできん」と拒絶し、さらにうずくまる利家に合わせて膝をつく。「その願いは、別の者と果たせ」と告げる。その顔は先ほどとまるで違い、優しさに満ちていた。
そして今度は振り返ることなく、利家の前から去って行く。利家はあふれる涙を必死にこらえながら、遠ざかる勝家へ深く頭を下げた。
「利家にとって勝家は正真正銘の親父だったね」
このシーンは、前田利家と柴田勝家の鬼気迫る激突に、視聴者の注目が集まったと考えられる。
中川清秀(すがおゆうじ)の離反をきっかけに、柴田勢は一気に羽柴勢に襲い掛かる。小一郎(仲野太賀)も奮戦するが、田上山砦は陥落寸前だった。しかし秀吉が戻ってくると戦況は一変。佐久間盛政は敗走し、逆に柴田勢は追いつめられる。盛政の敗因は利家が援軍に向かわなかったことだった。
腹心の部下である利家の裏切りにも勝家は動揺せずに刀を抜き放つ。お互いの意地がぶつかり合うが、勝家が利家を制した。勝家に本音を吐露する利家。しかしその願いは勝家には届かなかった。北庄城での一件ですでに勝家は利家の心中を察していたのだろう。名を出さずとも秀吉のもとへ向かうように利家の背中を押すのだった。
SNSでは「勝家も今の織田家に先がないことも、利家の心が秀吉の方へ向きつつあることも分かっていたんだろうな」「裏切られても背中を押してやれる懐の大きさよ。利家にとって勝家は正真正銘の親父だったね」「不器用だけど親父らしい勝家、かっこよかった!」と勝家の漢気に称賛が集まった。
力及ばず敗走した佐久間盛政だが、勝家の姉と佐久間盛次の息子で勝家にとっては甥に当たる。鬼玄蕃という異名で知られる猛将で、加賀一向一揆との戦いなどで武功を重ねた。賤ヶ岳の戦いでも中川清秀の守る大岩山砦を攻め落とす。
作中では前田利家の手にかかった清秀だが、史実ではこの時に盛政に討たれている。この勢いのまま盛政は高山右近(市川知宏)の守る岩崎山砦も撃破するなど快進撃を続ける。しかし美濃大返しで戻ってきた秀吉の反撃を受け、敗走して捕らえられた。最終的に秀吉への服属を拒み京都で処刑された。
父・佐久間盛次の従兄だった佐久間信盛が織田信長(小栗旬)から追放された時は、盛政も一族関係から自主的に一時閉居したとされている。また盛政はかなり大柄であり、一説には身長6尺、約182cmもの長身だったという伝承がある。

