芸能界入りに反対した母、プロ雀士になって変化
――芸能界入りを目指した当初、お母さまは反対されていたそうですね。
ずっと止められていました。「そんなの、お金にならないからやめな」「売れるわけがない」と言われていて、「それより勉強して、ちゃんとした企業に入りなさい」と教えられた家庭でした。
自分から事務所に応募するのは無理だと思っていたので、「スカウトされたら入ろう」とずっと考えていました。それで今の事務所にスカウトされたことがスタートでした。
――その後、お母さまの反応に変化は?
麻雀プロになってから、すごく応援されるようになりました。母は麻雀がすごく好きなので、麻雀プロになって良かったなと思います。対局を見た母からは、「もっとこう打ちなさいよ」とアドバイスされることも。的確かと言われたら、的確なわけないんですけど(笑)。
「私にとって本当に特別な役」国士無双への思い
――相手はプロですからね(笑)。リード曲のタイトルにもなっていますが、岡田さんにとって「国士無双」とはどのような役ですか?
本当に変わっている役です。麻雀は基本的に4面子1雀頭という、組み合わせを全部で5つ作るゲームですが、国士無双は唯一、そうした組み合わせを何も作らない役なんです。 麻雀の中でもかなり特殊ですし、必要な牌を一つひとつそろえていくところも面白い。国士無双という四字熟語のもともとの意味も面白いですよね。
私のことをあまり知らない人でも、国士無双13面待ちの動画を見てくださっている方もいるので、私にとっては本当に特別な役なんだと思います。
――13面待ちの場面については、今も聞かれますか?
よく聞かれますね。「なぜリーチしたのか」「何を考えて、あんなに長い時間を使ったのか」とか。特別な決勝戦で、いろいろな条件があったので、あの場面では迷いました。聞かれたら、その時に考えていたことを今もよく話しています。
――13面待ちでの和了は人生で初めてだったそうですが、対局後はどのような心境でしたか? 自分だったら興奮して眠れなくなりそうです(笑)。
それが意外と冷静だったんですよ(笑)。国士無双自体はよく見かけるので、正直、私にとっては国士無双をあがったことはどうでもよくて、その決勝戦で優勝できたことの方が、とにかくうれしかったです。
あの動画が、後になってここまで再生されるとは全く思っていませんでした(2026年8月21日時点で1,974万再生 『麻雀最強戦チャンネルpresented竹書房』より)。すごく珍しい役満であることは間違いないですが、これほど多くの人に知ってもらえるチャンスになるとは思っていなかったんです。
麻雀プロとしては、役満をあがっただけで優勝できなかったら、それほど喜ばしいことではありません。「良かった、勝てて」という感じです。
――確かに、役満をあがってもその後も対局は続きます。
そうなんです。負けたら恥ずかしいじゃないですか、役満をあがっておいて(笑)。優勝できて本当にホッとしました。あれで対局が終わりだったら最高ですが、まだ続きがあったので、あがった瞬間もすごいストレスで。「これで優勝できなかったら、どれだけ叩かれるんだろう」と考えたりもしました。
――それほど冷静でなければ、プロは務まらないわけですね。
たぶん、プロになるような人は役満をあがっても、何とも思わないはずです。
岡田紗佳が思う“唯一無二の人”は「松田聖子さん」
――国士無双には、「世に二人といない優れた人物」という意味もあるそうです。岡田さんにとって, “唯一無二”だと思う人はいますか。
難しいですけど、松田聖子さんですかね。私はアイドルがすごく好きなんです。今のアイドルはグループで活動して、その中から一人の推しを見つけて好きになることが多いと思います。でも、若い女の子が一人で日本中の視線を集めて、歌で魅了する。本当に唯一無二の存在だと思います。松田聖子さんの曲は聴いていましたが、特にデビューしてから数年間の、初期の曲がすごく好きです。
――「13面待ち」を目指すように、岡田さんはモデル、タレント、プロ雀士、Mリーガー、そして歌手と肩書きが増えています。次に加わりそうなのは「俳優業」ですか?
それはよく聞かれますね。でも、どう答えればいいのかちょっと難しいです。俳優と麻雀の仕事は、スケジュール的に両立が厳しいと思いますし、そもそも私がドラマや映画に全く興味がないんです。映像作品を全く見ないので、今まで「やりたい」と一言も言ったことがありません。
――アニメは見るそうですが、声優はいかがですか?
ちょっと滑舌が悪いので(笑)。やりたくないわけではないんです。「できないだろうな」「向いていなさそう」と思っています。滑舌が悪い役や、中国語を使う役、麻雀を打つ役など、役を選べばできるかもしれません。でも、いろいろな役を演じ分けられるかと言われたら、絶対にできないと思います。
「麻雀は一生揺るがない」もし出会っていなければ芸能界引退も
――新たな分野へ挑戦すること自体は好きですか?
チャレンジするのはすごく楽しいですが、すごく労力が必要なこと。一つひとつをきちんと安定させてから、次へ進みたいです。次から次へと、めちゃくちゃチャレンジしていけるタイプではありません。
麻雀プロになってから、しばらくテレビにはあまり出ていませんでした。プロになって10年ほど経ち、ある程度落ち着いたことで、ようやく歌手にチャレンジできるメンタルを持てたのだと思います。今すぐ次のことを、とはあまりなれないですね。
――ご自身のことをよくわかっていらっしゃるのですね。仕事を選ぶ際の基本的なスタンスは?
基本的には来るもの拒まずなので、「やりたくない」ということはなく、来たらやります。ただ、その中でも向き不向きはあると思うので、続けられることを続けていきたいです。
――活動の軸は、やはり麻雀ですか。
麻雀ですね。これは一生揺るがないと思います。麻雀の試合が、一番自分をエキサイトさせてくれます。
――麻雀との縁がなければ、どのような人生を歩んでいたと思いますか?
芸能活動はやめていたでしょうね。それほど仕事もなかったので。モデル業だけでは難しかったです。大学4年生の時に、たまたまいただいた麻雀の仕事。それがなければ、大学を卒業して、きっとどこかに就職して別の人生を歩んでいたはずです。
■プロフィール
岡田紗佳(おかだ・さやか) 1994年2月19日生まれ、東京都出身。青山学院大学在学中にファッション誌『non-no』の専属モデルとして活動し、2017年に日本プロ麻雀連盟所属のプロ雀士となる。Mリーグでは「KADOKAWAサクラナイツ」のメンバーとして活躍。モデル、グラビア、タレントなど幅広い分野で活動し、2026年7月22日にシングル「国士無双LOVE」で歌手デビューを果たした。




