毎年8月に甲子園で開催される「全国高等学校野球選手権大会」。2026年の第108回大会は8月5日開幕ですが、その出場校を決める「地方大会」のうち、J:COMエリア内の300試合以上が、7月4日~26日にかけて「J:COMチャンネル」で生中継されました。

全国各地で、強豪校から新興校までさまざまな高校が甲子園を目指してぶつかり合い、ときには番狂わせも起きた今大会。固唾を飲んで自分の母校の活躍を見守っていたという人も少なくないのでは?

今回、その番組制作に携わった元球児のJ:COM 映像制作部 星野光一さんにインタビューを実施。高校野球への熱い想いや、試合を生中継する意義、地方大会ならではの見どころについて話を伺いました。

  • J:COM 映像制作部 星野光一さん

    J:COM 映像制作部 星野光一さん

甲子園に憧れた少年が、今度は球児を映す側に

──星野さんが野球に関わることになったきっかけについて教えてください。

小学3年生くらいのときに、甲子園の中継映像を見て「かっこいいな」と思い、親に「野球をやってみたい」と言って近くの少年野球クラブに入ったのがきっかけですね。それ以降、小中高と野球を続けてきました。

──映像制作の仕事に就いたのも野球に関わりたいという思いからなのでしょうか。

もともと野球以外にもバラエティやお笑いが好きで、中学生くらいのときから「将来はテレビの仕事がしたい」と考えていたんです。そこで、大学で映像制作の勉強をしてテレビの制作会社に就職しました。主に情報番組やバラエティ番組などを手掛けていたのですが、ときにはスポーツ番組を担当することもあり、それが野球の番組だとやっぱりすごく楽しくて。

そんな中でキャリアアップを考えているとき、たまたまJ:COMの中途採用の募集を見つけたんです。そしてJ:COMが高校野球の地方大会を生中継していることを知り、その仕事に携われるのであれば「めちゃくちゃいいな!」と。なかば好奇心から応募したのですが、縁があって入社することになり現在に至っています。

──現在はどのような業務に携わっているのでしょうか。

映像制作部の千葉・茨城特番チームというところで番組の制作に携わっています。高校野球や花火大会など、基本的に生中継の仕事が多いですね。リアルタイムで視聴者の方に情報をお届けするので緊張感がありますし、映像のプロとして初めて関わる業務もありますので、新鮮な気持ちで取り組んでいます。

高校野球に関しては、J:COMに入社した昨年から茨城大会の生中継に携わっています。現場から送られてくる映像をスタジオの副調整室(サブ)のシステムで管理するプロデューサー的な役割です。元球児の立場からすると、地方大会の1回戦から複数のカメラが入って一挙手一投足を映してもらえて、しかも自分の名前が画面に表示されるのは、正直うらやましいですね。僕のときはなかったので(笑)。

──元球児ならではの感想ですね。

人生で一度きりの機会だったりもするので、伝え手としての責任は大きいですよね。だから、テロップで名前を出すとき間違えないように細心の注意を払ったり、試合に出ている選手だけでなくベンチメンバーや伝令に向かうメンバーなどもしっかり映すようにしたり……。今年は2回目で少し慣れてきたこともあって、そういった細かい部分にまで気を配りつつ、同時に中継全体を俯瞰的に捉えることができたかなと思っています。

元球児だから分かる「試合が動く瞬間」を映像で伝える

──元球児の経験が地方大会の中継で活かされることはありますか?

選手の立ち姿や雰囲気を見たときに、なんとなく「ここから試合が変わってくるな」と感じることはあります。必ずしも元球児だからというわけではなく、野球が好きな人であれば経験があることだとは思いますが。

たとえば、ピッチャー交代の際の投球練習を見てエース格が出てきたなと感じたり、バッターが出てきたときの構えを見て「この選手打ちそうだな」と思ったり。そんなとき、現場のカメラマンやディレクターに「試合の流れが変わりそう」「今のプレーをリプレイ保存しておいてください」などと伝えるようにしています。

──それは心強いですね!

みなさんベテランのスタッフばかりなので僕が言うまでもないのですが、野球ファンが心くすぐられるシーンは自分なりに熟知しているつもりではいるので、微力ながらも役に立てるといいなと。

僕もそうだったのですが、高校3年生だとこのくらいの時期に部活を辞める人が多いですよね。その最後の“勇姿”を映像に残せるのは選手にとっても、伝え手である僕にとっても、大きな意義のあることだと思っています。

──中継をしていてテンションが上がる瞬間はありますか?

中継のある期間は好きな野球をずっと見ていられるわけですから、僕にとってはまさに天国のような仕事で。いいプレーがあったりすると、つい「おーっ!」「打った!」と声が出ちゃうこともあります。僕だけじゃなく、周りのみんなも同じですが(笑)。

そうした中でもテンションが上がるのが、無名チームが印象的な試合を見せてくれたとき。今年も、部員数が少なく数年前まで連合チームでしか出られなかった高校が、甲子園に出場経験のある強豪校を破るという番狂せがあって、めちゃくちゃアツくなりました。部員の層の厚みに大きな差があるのに勝ち上がってくるのはカッコいいですよね。

──そんなところも地方大会の魅力ですね。

地方大会、それもとくに1回戦だと“部活の仲間たち”という感じのノリがあって、ちょっとしたやりとりにも笑顔にあふれている気がします。「頑張って力を出し尽くせば結果はどうあってもいいじゃん。でも勝てたら最高だよな」というメンタリティですね。ピンチのときでもピッチャーとキャッチャーが柔らかい表情でやり取りしていたり、チームのみんなで集まって肩組んだり。

そんな青春っぽさや、楽しんでプレーしている雰囲気なども、地方大会ならではの魅力。伝え手としては、そうしたグラウンドに立つ選手の表情までしっかり映していきたいという気持ちでいます。彼らこそが高校野球の主役だと思うので。

──高校野球地方大会の中継に関して、今後やってみたいことはありますか?

現在J:COMでは300以上の試合を中継していますが、もっと多くの試合を視聴者の方にお届けできたら嬉しいですね。地域の方々に喜んでいただくコンテンツを作るのがJ:COMの使命ですし、僕が今も高校球児だったら自分が出場している試合が中継されないと「なんで?」と思ってしまいますから。こうした中継を通じて、野球はもとよりスポーツ全体への貢献ができればいいなと思います。

ちなみに、J:COMのエリア外の方や加入されていない方でも、高校野球の総合情報サイト「バーチャル高校野球」でライブ配信や見逃し動画を楽しむことができるので、スマホなどで見てもらえると嬉しいです。ご自身の母校の試合が配信されている場合もあると思うので、ぜひ応援してみてください!