電通は7月24日、unerryと共同で実施した「猛暑下における生活者の外出行動調査」の結果を発表した。土曜日の昼間の外出率は、猛暑日の基準となる最高気温35℃に達する前の31℃前後から低下し始め、猛暑日の土曜日には外出時間を夕方以降にずらす傾向が確認された。

  • 土曜日の昼間(12時〜14時台)は、最高気温31℃前後から外出抑制の傾向が見られた

    土曜日の昼間(12時〜14時台)は、最高気温31℃前後から外出抑制の傾向が見られた

調査の概要

近年、最高気温35℃以上の猛暑日の増加が全国的な課題となっており、2026年4月には気象庁が最高気温40℃以上の日を「酷暑日」と定義するなど、暑熱環境への対応の重要性が高まっている。一方で、生活者が実際にどの気温水準で行動を変えるのか、その影響が地域や曜日によってどう異なるのかは十分に明らかになっていなかったとされる。

調査は、気温上昇が生活者の外出行動に与える影響を把握するため、unerryが運営するリアル行動データプラットフォーム「Beacon Bank」に蓄積された人流ビッグデータを用いて実施した。

2025年6月1日〜9月30日の全国47都道府県を対象とし、500m以上の移動を外出と定義。極端な天候の影響を除くため、7時〜23時台に3mm以上の降雨があった日と都道府県は集計から除外している。国土交通省の「全国都市交通特性調査」のデータを用いた分析は70都市を対象とした。

気温と外出率の関係性

全国47都道府県を対象に、平日・土曜日・日曜日別の12時〜14時台の外出率を調べたところ、土曜日は最高気温31℃前後から外出の抑制が始まっていた。猛暑日の土曜日は、最高気温30℃未満の日と比べて9時〜16時台の外出率が低下する一方、18時〜22時台は上昇し、日中の低下幅は14時台の1.9ポイント、上昇幅は19時台の1.3ポイントが最大となった。 これに対し、平日の猛暑日は日中の外出率がやや低下したものの、18時以降の上昇は19時台の0.4ポイントが最大で、夕方以降へのタイムシフトは限定的だった。日曜日の猛暑日は13時台から14時台にかけて外出率が3.2ポイント低下するなど、日中の外出抑制が大きかったが、夕方以降へのシフトは19時台の0.5ポイントにとどまった。

  • 猛暑日の土曜日は日中の外出が抑制され、夕方以降へシフト。平日と日曜日はシフトが限定的だった

    猛暑日の土曜日は日中の外出が抑制され、夕方以降へシフト。平日と日曜日はシフトが限定的だった

地域別では、土曜日の外出のタイムシフトは宮崎県が1位、佐賀県が2位、長崎県が3位となるなど、九州地方で顕著に表れ、上位10県には比較的緯度が低い県が多かった。また、土曜日の夕方以降への外出シフトと日曜日の日中の外出抑制がともに顕著な地域として、宮崎県、鳥取県、徳島県などが挙げられた。

ただし、土曜日のタイムシフトが起きづらい都道府県や、日曜日の外出抑制傾向が大きい県はさまざまな地方から入っており、気温の高さと外出行動の変化の大きさは必ずしも単純には連動しないことが示されたとしている。

  • 土曜日のタイムシフトと日曜日の外出抑制に関する都道府県別上位10県。宮崎県、鳥取県、徳島県はいずれの上位10県にも入った

    土曜日のタイムシフトと日曜日の外出抑制に関する都道府県別上位10県。宮崎県、鳥取県、徳島県はいずれの上位10県にも入った

また、「全国都市交通特性調査」に基づき、休日の移動が自動車中心の都市と、鉄道やバスなど公共交通機関の利用度が高い都市を比較したところ、公共交通機関の利用度が高い都市の方が、土曜日の夕方以降へのタイムシフトが起きづらい傾向が見られた。両社は、日常の買い物などを500m以内で賄いやすい都市構造なども影響していると考えられるとしている。

  • 公共交通機関の利用度が高い都市は、自動車移動中心の都市に比べて夕方以降へのタイムシフトが小さい

    公共交通機関の利用度が高い都市は、自動車移動中心の都市に比べて夕方以降へのタイムシフトが小さい

調査担当者は、行動変化が31℃前後から表れ始めている点について、WBGT(暑さ指数)31℃以上で熱中症リスクが高まるとされる基準に近く、生活者が暑さを意識して行動を変え始める一つの目安を示している可能性があると解説している。企業や自治体にとっては、31℃前後を目安に暑熱対策や注意喚起、需要変化への対応を検討することが有効と考えられるとしている。

なお、兵庫県、大阪府、神奈川県、愛知県などでは、外出パターンの変化が比較的小さい傾向が確認された。調査担当者は、地下街や駅直結施設などの都市インフラが充実していることに加え、暑さへの適応が進んでいることなどが要因として考えられるとしている。