LIFULLは7月24日、「新築マンション価格調査 2026」を発表した。同調査は、「LIFULL HOME'S」に2026年1月~5月に掲載された神奈川県、埼玉県、千葉県の新築マンションデータをもとに行われた。
マンション価格はエリアや立地だけでなく、同じ建物でも部屋ごとに価格や面積が異なるケースが多いため、平均価格の1平米(㎡)あたり平米単価を算出し、比較した。
小田原市・青葉区が急騰、神奈川県の1億円超えは4エリア
2026年1-5月に掲載された神奈川県の新築マンションは32エリアあり、平均平米単価は109.6万円、前期比104.2%と緩やかな上昇となった。しかし、平均価格が最も高いエリアは1億5,324万円の小田原市で、2位は横浜市青葉区の1億2,014万円となり、平米単価の上昇率はどちらも前期比190%と急騰している。
神奈川県において2026年の平均平米単価上位20エリア、且つ2025年に掲載があるエリアについて2023年からの推移をみると、平米単価175万円超の「高位価格帯」を横浜市中区・西区が維持する一方、小田原市(対前期比196.1%)と横浜市青葉区(同193.7%)が急激に右肩上がりしている。川崎市の中原区、幸区、川崎区、多摩区、高津区などは、100万円~150万円の「中堅~上位価格帯」の狭いレンジに密集し、なだらかな上昇傾向を示している。
埼玉県は浦和市・大宮市の「二大巨頭」が牽引
2026年1-5月に掲載された埼玉県の新築マンションは26エリアあり、平均平米単価は88.6万円、前期比110.4%。埼玉県内で最も平均価格が高いエリアはさいたま市浦和区の9,494万円、平米単価は145.5万円だった。さいたま市南区(南浦和駅や武蔵浦和駅周辺など)は平米単価対前期比が144.3%と、大宮区(126.8%)や浦和区(117.1%)を抑えて、さいたま市内でもトップの伸び率だ。このほか、東武東上線や東京メトロ有楽町線・副都心線が直通する人気エリアが急伸している。朝霞市の平米単価の対前期比は127.8%(平均価格5,164万円)、和光市は111.2%(平均価格7,139万円)と非常に強い伸びが見られる。
また、平均専有面積では、越谷市(58.85㎡)や戸田市(59.88㎡)は、ファミリー向けのマンション市場でありながら専有面積が60㎡を割り込んでいる。狭小化が進むエリアがある一方で、久喜市(77.54㎡)、鴻巣市(75.78㎡)、飯能市(75.31㎡)などは専有面積が75㎡を超え、広さを確保できるエリアも存在している。
埼玉県において2026年の平均平米単価上位20エリア、且つ2025年に掲載があるエリアについて2023年からの推移をみると、他エリアを引き離して上方に位置する「さいたま市中心部」と「その他エリア」の乖離。さいたま市浦和区(平米単価145.5万円)と大宮区(同135.5万円)が牽引している。一方で、都心隣接の川口市や戸田市などは平米単価100万円超で堅調に推移する中、「標準価格帯(80万円未満)」では多くのエリアが横ばい傾向にある。
千葉県では船橋市・柏市が急騰、「億ションエリア」に変貌
2025年1-5月に掲載された千葉県の新築マンションは14エリアあり、平均平米単価は85.2万円(期比115.1%)と前期からさらに上昇している。平均価格は7,581万円と神奈川県と同水準だが、平均専有面積が75.41㎡と周辺3県で最も広いという強みがあり、平米単価を下げられるコスパ面で有利。
また、船橋市が平均平米単価144.5万円(対前期比153.7%)、柏市が126.1万円(対前期比156.1%)と、この2市が千葉県内の上昇率ツートップ。どちらも平均価格が1億円を超え「億ションエリア」となった。一方で、松戸市(平均価格5,300万円、平米単価75.3万円)、八千代市(平均価格5,654万円、平米単価74.1万円)、印西市(平均価格5,295万円、平米単価69.2万円)などは、いずれも平米単価が70万円前後、対前期比も100%~103%台と安定し、平均専有面積も70㎡以上を確保している。
千葉県で2025年に掲載があり且つ、2026年の平均平米単価について2023年からの推移をみると、2025年に中堅価格帯に位置していた船橋市(144.5万円)は「高位価格帯」のトップへ、柏市(126.1万円)は「準高位価格帯」へ一気に駆け上がった。東京に隣接する市川市や浦安市が横ばい・微増傾向にある中、千葉の二大拠点であるこの2エリアが下克上を起こした様相だ。供給物件によって平均価格が左右されやすい新築市場において、市川市は都心隣接、交通至便という地理的優位性と、実需層のニーズも強く、安定した価格推移から成熟したエリアとうかがえる。
船橋や柏が狂乱の急上昇を見せる一方で、松戸(75.3万円)、八千代(74.1万円)、印西(69.2万円)の安定感は、金利上昇に怯える一般実需層への安心材料である。上部エリアとのギャップが広がれば広がるほど、「予算を抑えて堅実に広い家を買う」という選択肢としてこの3エリアが際立つ。
都心の新築マンション価格高騰が周辺エリアにも波及
調査結果を受け、LIFULL HOME'S総研 副所長の中山登志朗氏は次のように考察する。
都心および周辺エリアの新築マンション価格高騰が止まらない。これは円安による資材価格の高止まり、人件費の高騰、地価の上昇、住宅性能適合義務化など、いくつものコストプッシュ要因が重なって発生しているが、この状況に加えて"ナフサショック"が発生したことにより、新築マンションの供給自体も急減している。このような価格高騰に際して、ユーザーは都心方面への交通アクセスの良好なエリアでの新築および中古マンションの購入を検討し始めており、首都圏での実需層の居住ニーズは、ほぼ選択の余地なく周辺3県(および都下)へと移行している。
今回の価格検証結果の通り、周辺3県でも横浜市および川崎市中心部、さいたま市浦和区および大宮区、千葉県市川市、船橋市、柏市などで高額物件の分譲実績があり、概ね8~9,000万円台、もしくは1億円を超える平均価格に達しているエリアも登場している。これは都心周辺での購入を見送ったユーザーが、予算を維持したまま周辺3県で物件を探すと、地域一番物件と目されるステータス性の高い物件および都心周辺よりも1.5~2倍程度専有面積が広い住戸の購入が可能になるため、都心とほぼ同水準の価格帯であっても"割安感"が醸成されることに起因する。このような高額物件の波及は船橋市や柏市だけでなく、小田原市、相模原市緑区、千葉市美浜区などでも認められ、宛ら"首都圏版ローカル億ション"の様相を呈している。
ただし、価格が上昇していると言っても、神奈川県の平均価格は7,633万円、埼玉県5,972万円、千葉県7,581万円と、同時期の東京23区の平均価格16,884万円の半額以下で、自治体単位では4~5,000万円台のエリアも少なくないため、価格と利便性のバランスを考慮しつつ、購入を検討する余地は十分あると考えられる。
このようなマンション価格の乖離を考慮すれば、東京都の35歳以上のファミリー層が14歳以下の子供を連れて周辺3県に数多く転出している状況は、新築マンションを含め住宅価格(および賃料)の高騰によるものとほぼ断定でき、郊外化のトレンドは今後も継続する可能性がある。






