弁護士法人浅野総合法律事務所が運営する「労働問題弁護士ガイド」は2026年7月21日、『職場での指導とパワハラ』についてアンケート調査の結果を発表した。同調査は2026年6月12日〜19日、全国の20代〜60代の男女300名を対象にインターネットで実施した。

  • 職場でパワハラを受けた、または見聞きした経験

    職場でパワハラを受けた、または見聞きした経験

「職場でパワハラを受けた、または見聞きした経験は?」という設問への回答では、最も多い回答は「身近で見聞きした」(41.7%)だった。次いで「自分が受けた」(41.0%)が僅差で続き、「一度もない」(16.3%)「その他」(1.0%)という結果になった。 両者を合わせると8割を超える人が職場のパワハラに何らかの形で接していることが明らかになった。一方で「一度もない」と回答した人は16.3%にとどまっており、パワハラと接点のない人はむしろ少数派であることが見受けられる。

  • パワハラだと思う言動の範囲

    パワハラだと思う言動の範囲

次の行為について、「パワハラだと思う」か「指導の範囲だと思う」か 「パワハラだと思う」という回答が最も多かったのは「『この仕事、向いていないのかもね』と本人に伝える」(86.0%)で、次いで「急ぎではないが、時間外・休日にチャットで連絡する」(76.7%)「飲み会への参加を勧める」(68.3%)が続いた。

一方で、「ミスが続いている間、難易度の低い仕事を任せる」(87.7%)「本人の実力より少し高い目標を設定する」(81.3%)などは「指導の範囲だと思う」とする回答が大半を占めている。 また「メンバーの前でミスを注意する」のように、「パワハラだと思う」(38.7%)と「指導の範囲だと思う」(61.3%)で評価が分かれる行為も見られた。同じ「指導」を目的とした行為であっても、その内容によってパワハラと受け取られるかどうかが大きく変わることが明らかになった。

  • パワハラの決め手

    パワハラの決め手

「同じ言動でも『指導』か『パワハラ』かを分ける決め手は?」(複数回答)という設問への回答では、最も多い回答は「言い方・口調の強さ」(87.0%)だった。次いで「業務上の必要性があるか」(64.7%)「頻度・しつこさ」(62.3%)「受け手がどう感じるか」(58.0%)「言った人の意図(悪意の有無)」(55.7%)が続いた。 特に「言い方・口調の強さ」が突出して高く、同じ内容を伝える場合でも、その伝え方への配慮が指導とパワハラを分ける大きな要素として意識されている様子がうかがえる。

  • 自分の発言に不安に感じること

    自分の発言に不安に感じること

「自分の何気ない言動が、相手にパワハラと受け取られるかもしれない」と不安に感じることについて聞いてみると、 最も多い回答は「たまにある」(45.3%)で、「よくある」(6.3%)と合わせると51.6%となり、半数を超える人が自分の言動について何らかの不安を感じていることがわかった。

次いで「指導や注意をする立場・機会がない」(21.7%)「まったくない」(15.0%)「ほとんどない」(10.7%)が続いた。 パワハラの問題は被害を受ける側だけでなく、指導や日常のやり取りを行う側にとっても、自分の言動がどう受け取られるかという不安につながっていることがうかがえる。

  • パワハラを受けた時の対応

    パワハラを受けた時の対応

パワハラを受けた・見たとき、どう対応したか尋ねると、 最も多い回答は「何もできなかった」(25.7%)だった。「我慢した」(21.7%)と合わせると47.4%にのぼり、半数近くの人が具体的な行動を起こせなかった、または我慢していたことがわかる。

そのほかの回答としては「パワハラの経験はない」(19.3%)「家族・同僚など身近な人に相談した」(14.0%)「反論・抗議した、または転職・退職を考えた」(10.3%)が続いた。「会社(上司・人事・相談窓口)に相談した」(5.3%)「社外(労基署・弁護士など)に相談した」(2.0%)はいずれも少数にとどまっており、相談が届きにくい実態がうかがえる。