トイレに軟禁、不審者に追跡、食あたり…地理芸人トフィー 過酷すぎるヨーロッパ1人旅の果てに出会った「一生忘れない景色」とは?
放送作家・脚本家の小山薫堂とフリーアナウンサーの宇賀なつみがパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「日本郵便 SUNDAY’S POST」(毎週日曜15:00~15:50)。今回の放送は、地理芸人として活躍するトフィーさんをお迎えして、地理を学ぶことの面白さを教えていただきました。

(左から)パーソナリティの小山薫堂、トフィーさん、宇賀なつみ

◆「なぜ?」を紐解く トフィーが語る地理の本質

トフィーさんは1992年生まれ、広島県呉市の出身。松竹芸能に所属し、地理や地政学、世界の国、都道府県雑学をテーマに活動しています。地図や地形、地名、鉄道、地政学など地理をテーマにしたネタや発言で注目されていますが、高校教師として勤務した経験もあり、現在は芸人活動と並行して非常勤講師も務め、メディアやSNSなどを通じて地理の面白さを伝えています。

かつては「地理が苦手で大嫌いな子だった」と語るトフィーさんが、なぜそれほどまでに地理の虜になり、その面白さを世に伝える道を選んだのでしょうか。トフィーさんは「地理は暗記科目ではない」と断言します。「地理は『なぜ?』っていうのを紐解いていく地球上の理(ことわり)、略して地理なんです。地球上を理解する、略して地理なんです」と語ります。

例えば、「ヒマラヤ山脈」。その名前や標高を覚えることには何の意味もない、とトフィーさんは言います。面白いのはその先にあります。標高7,000メートルという高地で、海の生物である「アンモナイトの化石」がなぜか見つかるという事実です。富士山の2倍以上もの高さがある場所に、なぜ海の生き物が生きていた痕跡があるのか。その理由を「海ごと隆起したからアンモナイトの化石が見られる」と紐解いていくことこそが、地理の本当の楽しさだといいます。

国際情勢も地理的な視点で見ると理解が深まります。ホルムズ海峡の緊張も、イランとイラクの民族・宗教の違いや、1979年のイラン革命という背景を知れば、ニュースの裏側が見えてきます。ただ、こうした難しい話をそのまま伝えると関心はなかなか持ってもらえません。そこでトフィーさんは、まず「思わず聞きたくなるような構成」を入り口にするそうです。

「1979年にイランで革命が起きました。アメリカ大使館のアメリカ人が人質になってしまいました。アメリカは何とかして助けないといけません。どうやって助けたでしょう?」というクイズを投げかけるのです。正解は、偽の映画の撮影スタッフになりすましてイランに潜入し、人質を救い出すという作戦でした。これは映画『アルゴ』として実話に基づき制作された作品ですが、身近なエンタメを間に挟むことで、遠い国の社会情勢が一気に自分事として近づいてくるといいます。

◆地理が抱える「人気低迷」の構造

お笑いライブのステージでは、さらに「クスッと笑える地理ネタ」へと昇華させます。「ハリー・ポッターの額の傷、よく見たら佐渡島」といったシルエットネタや、「スマホを落として画面が割れたひびの入り方が、よく見たら福島県の県境」といった、SNSでも反響を呼ぶような独自の視点で、地理の楽しさを発信し続けています。

一方で、近年、高校のカリキュラム改定によって「地理総合」として地理が全高校生に必修化されました。これは大きなチャンスである反面、現場は深刻なピンチに直面していると指摘します。なぜなら、大学入試の仕組みによって、学校現場に「地理の専門家」が圧倒的に不足しているからです。

「地理の先生がいないのに地理だけ開講されているから、正直面白くない地理の授業がおこなわれてる可能性が高い」とトフィーさん。そんな現場を救うために、自身のYouTubeチャンネルで高校の地理の全授業動画を公開しています。全国の困っている先生たちに「僕の授業を参考にしてください」という想いで、地理教育の底上げに奔走しています。

◆旅の終わりに出会った、ギリシャの夕焼け

番組の後半、手紙をテーマにしたコーナーでトフィーさんが披露したのは、「ギリシャの夕焼け」に宛てた一通のドラマチックな手紙でした。

2年前、1ヶ月をかけてヨーロッパを一人旅したトフィーさん。行く先々で容赦のない雨に見舞われ、冷たい西岸海洋性気候に心も体も冷え切ってしまいました。オランダとベルギーの国境にあるレストランではトイレの鍵が壊れて丸1時間閉じ込められ、イタリアでは切符詐欺に遭いかけ、フランスの地下鉄では何者かに追いかけ回されるという、まさに満身創痍の旅でした。最後にたどり着いたギリシャでも、ピスタチオに当たってビーチで動けなくなってしまう始末。

そんな限界ともいえる瞬間に目の前に広がっていたのが、息をのむほど美しいギリシャの夕焼けだったと言います。「この夕焼けを見るためだったんだ、ヨーロッパに来たのは。すべてをあなたの美しさが優しく洗い流し、晴らしてくれたのです。一生忘れません」と番組内で手紙を読み上げる場面もありました。

最後に、トフィーさんが今一番おすすめする国は「ウズベキスタン」。遊牧民の文化が残り、肉料理や麺料理が驚くほど美味しいこと、そして観光地化されすぎていない純粋な人々の温かさに触れられるのが魅力だそうです。さらに、いつか行ってみたい場所として挙げたのはペルーの「マチュピチュ」。そこには、かつて初代村長を務めた福島県出身の日本人・野内与吉さんの足跡があり、今もどこか日本の温泉街のような情緒が残っていて、歴史と地理のロマンが詰まった場所でもあるそうです。

<番組概要>

番組名:日本郵便 SUNDAY'S POST

放送日時:毎週日曜 15:00~15:50

パーソナリティ:小山薫堂、宇賀なつみ

番組Webサイト: https://www.tfm.co.jp/post/

番組公式X:@sundayspost1