悪気のない同乗者から愛車が被る災難について|『Octane』UKスタッフの愛車日記

『Octane』UK寄稿者による愛車レポート。今回は、2001年アウディ TTに四半世紀乗り続けるエヴァンが、同乗者から受ける”愛車の災難あるある”について綴る。

16歳の頃、小切手を使いたくてウズウズしていた私は、市バスに乗っている時に、シボレーのディーラーに停まっているブリティッシュ・レーシング・グリーンの1980年MGBを見つけるやいなや購入してしまった。友人のスティーブを迎えに行き、彼とドライブに出かけた。すると彼はタバコを取り出し… ドアパネルを焦がしてしまった。わかってもらえると思う。車好きなら誰もが感じる、あの絶望感。16歳の頃から、今に至るまで……

その後、ホンダCRXを新車で購入し、ディーラーを出て、お祝いをしにビーチへ向かった。戻ってみると、ドアに巨大なへこみができていた。素晴らしい車だったが、こんなに大きなへこみが… もう返品はできないだろうか?そして、ダッシュボードに足を置く女の子。家具と勘違いしているかのように。それは、私たちの最初で最後のデートとなった。

どれほど気を付けても、何か起きてしまう。おじいちゃんに、クライスラー・レバロンの中で怒鳴られたことがあった。私がパワーウィンドウで遊んでいたからだ。上げて、下げて、上げて、下げて… 今ならわかる。車というのは、高価な鉄、つまり「貴金属」といえる代物なのだ。

このアウディTTは絶好調だ。25年も経たクラシックな車にしては頑丈で、この小さな車は今も私を驚かせ続けてくれる。エンジンはいつもすぐにかかるし、常に信頼できるこのTTは、愛情を込めて手入れをすればそれに応えてくれる。そんな喜びを改めて実感させてくれる車だ。いつも他の車から離れたところに駐車し、必ず手洗いで洗車し、カメラ機材は決まった方法で積み込むようにしている。私はこの車のことは、隅々まで全て知り尽くしているつもりだ。

ここで私の友人、デイブを紹介しよう。誰の人生にもきっと、一人くらいは”デイブ”のような人がいるはずだ。彼は私が撮影する時、時々手伝ってくれる本当にいい人なのだが… 私のかわいそうなアウディよ。私が撮影している間は、彼がアウディで後をついて走ってくる。Uターンをした際、彼がアウディを縁石から落としてしまい、プラスチック製のアンダーカバーが割れてしまった。そのとき私はコブラを運転していたのだが、その音は私にもはっきりと聞こえた。とても大きな音で、私は恐怖で縮みあがった。

先日、別の撮影現場で、背景にアウディが写り込んでいたときのこと。「ねえデイブ、アウディが写らないように少し下げてくれないか?」と頼んだ。彼がバックさせると、何かが砕けるような音が聞こえた… 助手席側のリアに泥除けがぶら下がっていた。「おっと、ごめん」

私はそれをねじで固定し直したが、案の定、また外れた。そして、ついになくなってしまった。25年間、細心の注意を払って乗り続けてきたというのに、こんな姿で人前に出られるわけがない。ああ、なんて恥ずかしいのだろう。

朝のコーヒーを片手に、私はパソコンで検索を始めた。どうやらあれは純正のオプションアクセサリーだったようで、いまや入手不可能だった。全米の解体業者に電話をかけてみたが、どこにもなかった。探し始めて2時間が過ぎた頃、フェイスブックでイギリスのTTスペアーズという店を見つけた。本当に?イギリスにあるということ?しかし、泥除けが買えるのはここだけなのだろうか?その店には1セットが揃っていた!ただ、200ポンドもするうえに送料と関税も加算された。

部品は数日で届き、自分で取り付けた。もう二度と外れることはないだろう。ネジではなく、ボルトで固定したからだ。最近でも、駐車するときは他の車から離れたところに停めている。だが今では同乗者一人ひとりを、クリント・イーストウッドのような鋭い目つきでじっと見てしまう。私のアウディが、”デイブ”にされたような仕打ちを二度と受けることがないように…

文:Evan Klein