
クリエイティブガールグループ・Ettone(エトネ)の4th Digital Single「1UP↑1DOWN↓」は、誰もがふと感じる”詰み感”をゲームに見立て、失敗や停滞さえ”物語の途中”として軽やかに肯定する1曲だ。プロデューサーのALYSAに加え、ゴスペルをルーツにしたソウルフルな表現とユーモア、リアリティあるリリックを持つシンガーソングライターのFurui Riho、Ettoneからkoyukiとyuzukiが楽曲の制作に参加。ボーカルが前へと引っ張る躍動感、豊かなハーモニー、そしてささやかな祝祭感を帯びたグルーヴによって、日々のアップダウンは新しいポップスへと変換されていく。その制作過程を4人が語った。
─「1UP↑1DOWN↓」が完成して、率直にどんな感想を持ちましたか?
koyuki:最初にこのトラックをいただいた時、一番最初に思ったのが、結構カラフルな感じだったんです。そこから一緒に歌詞を作って、完成形を聴いたら、本当に自分が最初に感じたこと、その”カラフルだけどちょっと波がある感じ”とか、”気持ちの浮き沈み”みたいなものがすごく表現されていて。もうそのままダイレクトに伝わってくる作品になっていて、「ああ、形になった」と、すごく嬉しい気持ちです。
yuzuki:私も、最初に色とりどりの印象を受けていて。で、この曲ってすごく”道”みたいな曲だなって、自分の中では思ったんです。道しるべの上に自分の気持ちが乗っているような感じがしていて。ラブです!
Furui Riho:私は、こんなに自分のクリエイティブを受け入れてくれる現場ってないなって思いました。それはALYSAちゃんもそうだし、Ettoneの2人も、メンバーみんなもそうだと思うんだけど、最初に声をかけてくれた時のALYSAちゃんの私への愛とか、Ettoneに対する愛とか、そういうものがすごくあって。それを受けて、私も本当に一生懸命頑張ろうと思って、この現場で曲を書いたんです。もちろん、他のアーティストに楽曲提供する時も全力投球だし、自分の楽曲もそうなんだけど、Ettoneに書いたこの曲は、自分が”あげたもの”だけど、自分のものになっているような感覚もあって。そのぐらい産み落とした感があるし、みんなで一緒に仕上げられたことが本当に嬉しい。歌詞も本当にいいものを作ってくれて、トラックも最後の最後までよくしてくれて、満足でしかないというか、「やってよかった」とすごく思わせてくれた機会でした。
ALYSA:私は、Rihoちゃんに声をかけたのが、最初はたぶん去年の4月か6月頃、それぐらいだったんです。Ettoneのデビュー前、ちょうど他にも声をかけていた方たちと同じぐらいのタイミングだったんだけど、Rihoちゃんが自分の制作とかツアーがあって、タイミングが合わなくて。そこから年末に制作する約束になって、その流れで入ったのが「1UP↑1DOWN↓」の制作現場でした。しかも、yuzukiが練習の時からRihoちゃんの曲を課題曲にして歌っていたんですよね。「LOA」だったよね。なので、yuzukiとkoyukiに今回はお願いしようと思ったんです。
トラックの雰囲気をRihoちゃんに合わせたわけでは全然なくて。最初は作家としての才能に惹かれて、そこから”ただ自分の曲を書くだけじゃなくて、人に曲を提供する時とか、他の人の色を混ぜながら作る時の2つのスイッチを持ってる人だろうな”って思ったんです。だから、こちらがRihoちゃんの得意そうなものに寄せていかなくても、Ettoneに一番いいものを書いてくれるだろうなっていう勝手な信頼があった。
そしたら、本当に熱量が弾けるようなものを書いてくれて。最初に上がってきたメロディもすごく良かったのに、「これよりももっといいものが書ける気がするから、一回持ち帰っていい?」って持ち帰って、また持ってきてくれて。あれがサビのメロディだった気がするんだけど、そういうふうに、あえて時間をかけて書き上げてくれた曲だったから、やっぱり私なりにもすごく力が入った曲でした。
それに、yuzukiとkoyukiが、まさか髪の毛がボサボサになりながら歌詞に向き合うとは思ってなくて(笑)。「こうかな」「ああかな」って、もう髪の毛がぐっちゃぐちゃになりながらやっていて。一応カメラが入っているから姿勢をちゃんとしようね……みたいな空気もどこかへ飛んでいって、完全にクリエイティブに入り込んでいた。そんな姿も見られたのが、私はすごく嬉しかったです。プロデューサーというかレーベルヘッドとしては、ものすごい愛情もあるし、絶対にこの曲はEttoneの名刺代わりになる曲だなと思っています。
─yuzukiさんとkoyukiさんはこの曲の歌詞を考える際に何を意識していましたか?
yuzuki:まず、ゲームの世界観っていうところは、koyukiが出してくれて、「あ、いいね」ってなって。そこから進んでいった感じです。私たちは性格が真逆で、私は結構内省的なタイプなんですけど、koyukiはポジティブで「どうにかなるよ」みたいなマインドがある。だから、その掛け合いがすごく面白くて。私が出したワードに対して、koyukiが「こういうふうに言ってみたらいいんじゃない?」とか、「こういうふうに付け足してみたら?」って返してくれたり。例えば、私は〈Aボタン連打〉をどうしても入れたくて、そういうときにも「ラスボスのところに入れたらどうかな」とか。ALYSAさんの助言もいただきながら、2人でしっかり作れたことが、自分の力にもなったし、楽しかったです。
koyuki:私だけだったら、ポジティブすぎるというか、もっと”ファイヤー!”な歌詞になっちゃうなって思ってて。でもそこを、yuzukiが私の並べた単語をうまく並び替えてくれたり、いい感じにマイルドにしてくれたりして。その作業の相性がすごく良かったんですよね。そこから、プライベートでも仲が深まったっていうか。本当に仲良くなったよね。実家にも来てくれたし、そういう時間も含めて、すごくいい制作だったなと思います。
yuzuki:人生観の勉強にもすごくなりましたし、Rihoさんの曲が普段から大好きなので、どうしても読み解いて聴いてしまうんですよね。「こうなのかな、ああなのかな」って考えながら聴いてきたこともあって。今回、Rihoさんからいただいた歌詞の元となるメモを見て、「やっぱりこういう歌詞が好きなんだな」って改めて思いました。ゲームの世界観に感情を乗せることも、2人で考えたことだったので良かったです。

左からkoyuki、yuzuki(Photo by Rika Tomomatsu)
ALYSA:元々、Rihoちゃんのメモに「ちゃんとした大人」っていう歌詞があったんですよ。”早起きして毎日ちゃんと仕事に行って、結婚して子どもがいて、休みが2日あって、運動してヨガにも行って、休日は家族で出かけて——それが「ちゃんとした大人」なんだろうか。でも私はそこから程遠い”という内容だったんです。そこには、”これがいい生活だよね”とされている表の部分と、そこに入れない自分の葛藤、自堕落に過ごしてしまうときもあるよねっていう部分、その対比がすでにあって。私はそこにすごく惹かれていました。そこから「1UP↑1DOWN↓」が生まれたんだと思います。
Furui Riho:やっぱり罪悪感があるんですよね。頑張らなきゃいけない、売れなきゃいけないっていう焦りもあるし、でも人間だから体調もやる気も日々変わるし、上がる日もあれば、落ち込む日もある。そういう時の自分に出会って、「なんで自分はダメなんだろう」って暗くなったりもする。でも、それでも人間って進んでいくなって、私はすごく思っているからこそ、それをゲームの言葉にして、ちょっとキャッチーな感じで伝わればいいなと思ったんです。〈ゲームオーバー〉も、一見ちょっと重いけど、コミカルに、キャッチーに捉えてもらえれば嬉しいなとか。あと、みんなが生きていく道とか、今やっていることに対して、自分もすごく共感する部分があったから、そこからめちゃめちゃ膨らみました。
─koyukiさんとyuzukiさんが、今回の歌詞で、お互いの個性が特によく出ていると思うフレーズはありますか?
koyuki:yuzukiが出してくれた〈エンドロールの先で笑いあえるよ〉ですね。自分が落ち込んで悲しい時って、人にずっといい顔なんてできないことがほとんどだと思うんですけど、それでもyuzukiってすごくあったかい人で、優しいというか、周りを包んでくれるような優しさがある。その〈エンドロールの先で笑いあえる〉っていう言葉が、yuzukiをすごく表現しているフレーズなのかなって思ってます。
yuzuki:私は、koyukiの〈Aボタン連打〉ですね。あれはもう本当に耳に残るから、どうしても入れたいって思ったし、あと〈kawaiiモブ〉とか、見ていて楽しい言葉を選ぶのがすごく上手で。個性が出てるなって思います。あと、RihoさんもALYSAさんも、私たちが考えやすいように、「この段落ではこういうことを言ってみよう」と一緒に掘り下げてくださったので、2人の個性がちゃんと出るように進んでいったのかなっていうのが、すごくありがたかったです。
─Furuiさんは、今回のこの曲にご自身の音楽的な要素として、どういうものを持ち込もうと思っていましたか?
Furui Riho:正直、最初から「こうしよう」っていうのは考えてなかったです。やっぱり音楽って、その場のノリとかで生まれて、結局一番最初に考えたものが一番良かったりするので。昔はすごく考えて作ってたんですけど、最近は”導かれるままに作っていく”のが正解のような気がしていて。今回も本当に身を委ねる感じでした。ALYSAちゃんのトラックに導かれるままに行ったし、自分の歌詞のアイデアを出した時も、みんなが「いい」って言ってくれたから、じゃあそっちに進もう、みたいな。でも2人がめちゃくちゃいい歌詞を書いてくれたから、自分でどうこう頑張ったというよりは、みんなで協力して進んでいった先に、すごく素敵な曲に仕上がった、という感覚です。

Photo by Rika Tomomatsu
ALYSA:引き出し方、めちゃくちゃうまかったです。「1UP↑1DOWN↓」っていうアップダウンの波があるよね、みたいな話になったあと、落ちサビで「とはいえ、人生そんなうまくいかないよね」みたいなコミカルな付け方をしていく、その発想が本当にすごかった。
koyuki:おもちゃ箱みたいな発想でした。
ALYSA:自分の色をそのまま出すだけじゃなくて、ちゃんと物語を組み立てるにはどうしなければいけないかを、ドローンで上から見てるみたいな感じがあって。ボーカルディレクションも全部そういう感じで、すごいと思ったし、わかりやすかったです。

Photo by Rika Tomomatsu
”歌い声”ではなく、その人自身の声を引き出す
─ボーカルディレクションについても聞かせてください。今回、特に意識していたことは何でしたか?
Furui Riho:私はナチュラルが好きなんです。その人の良さが、自分で作り上げて外にまとっているものじゃなくて、内側からそのまま出てくる自然さみたいなものが好きで。そこに、人に伝わる何かが眠っているなと思ってる。だから、歌い方も”歌い声”にならないように、喋ってるみたいな感じとか、そういうのはディレクションする時に大事にしてました。母音と子音の部分とか、細かく見ていたと思います。
koyuki:口の開け方とか、母音と子音のノリの話とか、全部すごかったです。
Furui Riho:でもそれも理屈としてではなく、一人ひとりの良さがちゃんと自然に出る形を探してトライしてみました。
─実際に一緒に作ってみて、Ettoneの印象は変わりましたか?
Furui Riho:変わりました。関わってみて一番感じたのは、みんながすごくピュアだっていうことです。それはALYSAちゃんもそうで、すごくまっすぐなんですよ。だから、自分の弱さを認めて、自分がダメだっていうことを歌にすることができる。それって本当はすごく勇気がいるし、きれいに見せようと思えばいくらでもできる。でも、それをちゃんとそのまま歌えるのは、やっぱり素直だからだと思います。しかも、ALYSAちゃんがそれぞれの個性を本当に大事にしているから、なおさらそのままの魅力が出るんだと思いました。
ALYSA:ありがとうございます。嬉しいね。このままでいきたいね。
Furui Riho:汚れないで(笑)。

Photo by Rika Tomomatsu
─ALYSAさん、サウンド面で言うと今回はかなり実験的な要素もあったんじゃないですか?
ALYSA:ありました。今回は本当に、Ettoneとしても実験的な曲だったと思います。まず、トラックの音数自体がかなり少ない。必要最低限の音しか入れていないので、一つひとつの音の置き方とか、何を入れて何を抜くかみたいなことは、めちゃくちゃやりました。しかも、Ettoneとして初めて女性シンガー/アーティストの方にコライトをお願いした曲でもあって。Rihoちゃんの持っているR&Bとかソウルの歌い方に、今のEttoneなら挑戦できるかもしれないって思ったんです。だから、あえてトラックの厚みを減らして、”声だけで勝負する”っていう実験でもありました。声でどれだけ厚みを出せるか、その声を音がどう支えられるかを、ひたすら探っていった曲でした。
Furui Riho:トラックがシンプルであればあるほど、一つひとつの音選びがものすごく大事になるんですよね。音数が少なければ少ないほど、ごまかしが利かない。だから今回の曲はすごく難しかったと思うし、そのこだわりはちゃんと伝わると思います。

左からFurui Riho、ALYSA(Photo by Rika Tomomatsu)
─MVの話も聞かせてください。今回、サンリオのキャラクターであるポチャッコとのコラボレーションの流れで、アニメーションMVになるそうですね。
ALYSA:はい。ここはもう完全に私の執念と執着心です(笑)。この3人が歌詞の世界観を作っている間、「8bitだよね」「ゲームっぽい」「飛んで跳ねてる感じもあるし、落とし穴に落ちてる感じもあるよね」とか、いろいろ言ってくれていたんです。それを聞いたときに、「平成の文脈で流行っていたキャラクターで、今回の8bit感と相性が良いものといったら……」と考えた末に出てきたのが、ポチャッコだった。やっぱりサンリオさんの「みんななかよく」という企業理念があって、それってすごくシンプルなんだけど、一番大事なことだよなって思ったんですよね。
サンリオさんのマイメロディやシナモロールのように、ふわふわした感じではないかもしれないけど、この曲にはポチャッコがすごくしっくりきたんです。MVでは、まずポチャッコが走って、その足跡が残る。そして、その同じステージの上を、その足跡をたどって先へ進んでいく。つまり、”誰かが走った道を、次の誰かが引き継いでいく”っていう作りになってるんです。そこが、今回の曲のメッセージとつながっているなと思っています。
Furui Riho:めちゃくちゃいいですよね。歌詞から始まった世界観が、ちゃんと映像にもなっていくのがすごく嬉しいです。
yuzuki:本当に嬉しいです。曲の中で描いていた”ゲームの中を進んでいく感じ”が、そのまま見える形になる感じがして。
koyuki:しかも、ただ可愛いだけじゃなくて、ちゃんと”引き継ぐ”っていう意味があるのがすごくいいなと思います。
ALYSA:そうなんです。ただのコラボじゃなくて、ちゃんと歌詞の世界観を映像に落とし込んだものにしたかったから。ここまで来られてよかったなと思っています。
─では最後に「1UP↑1DOWN↓」をこれから聴く人、そしてすでに聴いた人に向けて、一言ずつお願いします。
koyuki:この曲って、うまくいかない日や、落ち込む日があっても、それでも前に進んでいくような曲だと思うんです。だから、何か今ちょっとしんどいなと思っている人がいたら、そのままの自分でも大丈夫なんだって思えるきっかけになったら嬉しいです。
yuzuki:私にとっては、この曲は道みたいな曲なんです。だから、迷っている時とか、今どこにいるか分からない時に聴いてもらって、聴く人の気持ちに少しでも寄り添える曲になったらいいなと思っています。
Furui Riho:失敗とか停滞とか、そういうのも全部”物語の途中”なんだって、ちょっと軽やかに受け取れる曲になっていたら嬉しいです。ゲームみたいに、何度でもやり直せるし、何度でも進めるよっていう、そういう気持ちが伝わったらいいなと思います。
ALYSA:この曲は、Ettoneにとってすごく大事な名刺代わりの曲になると思っています。歌詞も、声も、世界観も、本当に4人で作った曲です。だからこそ、その一つひとつを受け取ってもらえたら嬉しいですし、MVも含めて、この曲の世界を楽しんでもらえたらいいなと思っています。

Photo by Rika Tomomatsu

4th Digital Single
「1UP↑1DOWN↓」
Ettone
配信中
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Furui Riho
幼少期からゴスペルクワイアで培った音楽的ルーツをもとに、作詞・作曲のみならず、ときには編曲にも携わる北海道出身のシンガーソングライター。
2019年に初の配信シングル「Rebirth」をリリース。2022年には1stアルバム『Green Light』を発表し、ミュージックラバーを中心に注目を集めると、Apple Music『Up Next』、2023年にはSpotify『RADAR: Early Noise 2023』に選出され、注目度を加速させた。
2024年4月には、「LOA」「Super Star」「ピンクの髪」など、飛躍のきっかけとなった楽曲を収録した2ndアルバム『Love One Another』をリリースし、同作を携えた全国5都市ツアーを完遂。
2025年3月にはZeppツアーを成功に導くと、京都アニメーション制作のTVアニメ『CITY THE ANIMATION』オープニング主題歌担当として「Hello」を書き下ろし。9月からは自身最大規模となる全国12カ所を巡る全国ツアーをやり遂げ、2026年3月には3rdアルバム『Letters』のリリースを発表。4月には自身初となるホールツアーを成功させ、2度目のBillboard Live Tourの開催を発表。
Billboard Live TAIPEI公演を含む⾃⾝初の海外公演にも踏み出し、表現力とスケールをさらに拡張している。
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