
エリカ・バドゥ(Erykah Badu)が7月に来日。7年ぶりに開催されるフェス「SOUL CAMP 2026」に出演し、ビルボードライブでも公演を行う。彼女の歩みと来日公演の見どころを、音楽ジャーナリスト・林剛に解説してもらった。
今夏、エリカ・バドゥとザ・ルーツがそれぞれ来日公演を行う。初来日はともに30年近く前だが、今なお現役で、パフォーマンスも進化し続けている。かつて両者はザ・ルーツのクエストラヴたちが立ち上げたオンライン・コミュニティ「Okayplayer」の仲間としても話題を集め、ディアンジェロを含むソウルクエリアンズの文脈でも語られてきた。エリカのデビュー・アルバム『Baduizm』(1997年)でザ・ルーツが「Otherside Of The Game」などを演奏/制作すれば、ザ・ルーツ初のグラミー受賞曲「You Got Me」(1999年)ではエリカがフックを歌っていた。が、共同体的な動きを見せながら、両者はそれぞれのやり方で我が道を歩んでいる。
テキサス州ダラス出身のエリカ・バドゥは、ディアンジェロを送り出したキダー・マッセンバーグの後押しで96年12月にソロ・デビュー・シングル「On & On」を発表し、今年でデビュー30年目を迎える。演劇の経験を生かして俳優としても活動し、アンドレ3000、The D.O.C.、ジェイ・エレクトロニカそれぞれとの間にもうけた3人の子供たちを育てながら、自らのアートを追求してきた。
地元ダラスの仲間と作った楽曲をもとに、ボブ・パワーの力も借りて作り上げたデビュー・アルバム『Baduizm』は、ディアンジェロの『Brown Sugar』(95年)とともにヒップホップ世代の新しいソウルとしてR&Bの扉を押し広げた。それにちなんだ98年の初来日公演は、97年発表のライブ作品『Live』と同じくマイルス・デイヴィス「So What」のフレーズで開幕。頭にターバンを巻き、お香を焚きながらアンク(エジプト十字)を掲げて歌うスピリチュアルなパフォーマンスは今も鮮烈な記憶として残っている。2000年リリースの『Mama's Gun』は、現在も側近を務める同郷の鍵盤奏者RC・ウィリアムズ(RC&ザ・グリッツ)らのほか、J・ディラやジェイムズ・ポイザーがソウルクエリアンズとして楽曲制作に関わり、オーガニックで自由度の高いソウルを歌った作品として知られている。
以後も、ヒップホップやクラブ・ミュージックに接近した『Worldwide Underground』(2003年)、70年代ジャズ・ファンクを進化させた『New Amerykah Part One (4th World War)』(2008年)、その続編『New Amerykah Part Two (Return of the Ankh)』(2010年)と作品を重ねた。2015年には電話をテーマにしたミックステープ『But You Caint Use My Phone』を発表。それ以降、本人名義のアルバムは途絶えているが、ライブを含め露出は多く、来日公演ではサンダーキャットを帯同し、バック・コーラスに無名時代のデュランド・バーナーも起用していた。客演オファーも絶えず、近年もジェイミーXXやラプソディのほか、RM(BTS)のソロ作『Indigo』(2022年)の「Yun」に参加するなど、ジャンルや世代を越えた新しい才能との交流も盛んだ。
そうした中で昨年届いたのが、ジ・アルケミストとのコラボ・アルバム『Abi & Alan』(表題は両者の本名にちなんだもの)を制作中とのニュースである。先行シングルとして、モブ・ディープfeat.クール・G・ラップ「The Realest」をサンプリングした「Next To You」も発表。アルバム完成にはもう少し時間がかかるようだが、昨年6月には新作に関連した来日公演をビルボードライブで行った。ジ・アルケミストをはじめ、カンナビノイズとしても活動するRC・ウィリアムズ、R.フリー、ジャボーン、S1ことシンボリック・ワン、DJ A1ら鍵盤奏者/MPC奏者がエリカを囲むという珍しい形態のライブで、ヒップホップ濃度の高いパフォーマンスに称賛が集まった。『Mama's Gun』のリリース25周年でもあった昨年は記念アナログを発表し、それにちなんだツアーも行っている。
約10年ぶりの出演となる今夏の「SOUL CAMP 2026」ではバンドセットで、「An Intimate Night with Erykah Badu」と題したビルボードライブ公演(※全公演完売)ではRC・ウィリアムズとのデュオ編成で臨むという。ステージでのエリカは自身でもMPCを操り、宇宙と交信するようなコズミックな音世界を生み出す。彼女のライブは過去の名曲をクラシックとして披露するだけでは終わらない。今回も新しく創造的なパフォーマンスで未来へとつないでくれる気がしている。

「SOUL CAMP 2026」
2026年7月4日(土)東京・SGCホール有明
OPEN / START 14:00
出演:Erykah Badu / The Pharcyde / Knxwledge
DJ KOCO aka SHIMOKITA
DJ YANATAKE / MC YOU-KID
チケット:
スタンディング 17,000円(税込)※整理番号付
座席指定 25,000円(税込)
※中学生以下は入場無料(スタンディングエリアは後方のみ)
※オフィシャル先着先行予約
6/12(金)18:00-6/18(⽊) 23:59
※一般発売日:6/20(⼟)15:00〜
公式サイト:http://soul-camp.jp
An Intimate Night with Erykah Badu
2026年7月1日(水)ビルボードライブ横浜
2026年7月6日(月)ビルボードライブ東京
2026年7月8日(水)ビルボードライブ大阪
[1st] 17:30 START / [2nd] 20:30 START
ビルボードライブ公式HP:https://www.billboard-live.com/