BINIが日本の夏にやってくる──サマソニ前に聴くべきベストソング25選

フィリピン発の8人組ガールズグループ、BINIがSUMMER SONIC 2026に出演する。母国で”Nation's Girl Group(国民的ガールズグループ)”と称され、P-popの新たな波を牽引してきた8人は、8月14日(金)に大阪、16日(日)に東京のステージへ。サマソニでの初対面を前に、彼女たちの魅力が掴める25曲をおさらいしておきたい。

Aiah、Colet、Maloi、Gwen、Stacey、Mikha、Jhoanna、Sheena──ABS-CBNのアイドル育成プログラム「Star Hunt Academy」のもとで2019年に結成されて以来、BINIは着実に上昇曲線を描いてきた。2021年のデビュー後、明るく緻密に作り込まれたポップ・シングルと、ひたむきなパフォーマンスを積み重ねて熱心なファンベースを築き、やがてバイラルヒットを足がかりにメインストリームへと進出。P-popの波を牽引する存在として、その地位を確かなものにした。Rolling Stoneフィリピン版が、これまでのベストソング25曲を選び、ランキング形式で紹介する。

25.「No Fear」

BINI初期のEDMダンス・ポップ路線に、夏らしいギターの刻みを差し込んだ「No Fear」は、いま聴くとどうしても時代を感じさせる。メンバー自身もまだヴァース〜コーラス〜ヴァースという楽曲構造に慣れている途上で、言ってしまえば、ヴァースを受け渡しながら力強いコーラスへ着地する術を模索していた時期の一曲だ。モチベーショナルなダンストラックとしても、フェス仕様のEDMアンセムとしても、ドロップはやや笑ってしまうほど大仰。古さは否めないが、それでも確かな第一歩ではある。—Elijah Pareño

24.「Kabataang Pinoy」

Jonathan Manaloが手がけ、もとはThe Itchywormsが『Pinoy Big Brother: Teen Edition 1』のために歌った楽曲。2022年版ではBINIとSB19がタッグを組み、厚みのあるアンサンブルへと生まれ変わった。"We Are the World"的なショーケースとして、各人の持ち味が発揮される構成であり、その楽しみ方こそが正解だろう。ポップな磨き上げが楽曲を引き上げている一方で、ギターが支えるロック的な骨格はオリジナルの精神をしっかり残している。—Pie Gonzaga

23.「Born To Win」

「Born To Win」は、フルートのアクセントとダンスホール/トラップの影響を、力強いボーカルと組み合わせている。ただし、それが必ずしも最良の相性を生んでいるとは言いがたい。2021年のデビューアルバムのタイトル曲である本作は、当時のサウンド・パレットが彼女たちの出発点をいくらか窮屈にしていたことを示すと同時に、結成当初から成長が不可欠だったことも浮かび上がらせる。—Elijah Pareño

22.「Paruparo」

ここでようやく、私たちはBINIらしいBINIへと戻ってくる。獰猛で、スタイルにおいて柔軟で、フィリピン語でメッセージを届ける力に突き動かされたグループとしてのBINIだ。「Paruparo」は、メロディの強さ、ボーカル・ハーモニー、そして背中を押すようなリリックをひとつに束ねている。パンデミック初期から上昇を続けてきたグループの姿が、ここにはある。—Elijah Pareño

21.「Super Crush」

正直に認めよう。コーンチップスの広告のために作られた曲をこのリストに入れることには、最初こそためらいがあった。だが「Super Crush」は、否定しようのないバップである。疾走感あるジャージークラブのビートを軸に、遊び心を前面に出しながらもコントロールは手放さない。唯一気になるのは、フックは機能しているのに、コーラスが何か爆発的な展開へ向かうと見せかけて結局どこにも行き着かない点だ。それでも、ブランディング施策であろうとなかろうと、「Super Crush」は良質なポップソングがどこからでも生まれうることを証明している。—Pie Gonzaga

20→16位

20.「Kinikilig」

「Parang may spark」と、Aiahは「Kinikilig」で歌う。その自然で力みのないコードスイッチングこそ、BINIを広く知らしめた魅力のひとつだ。Colet、Mikha、Maloi、Sheenaがラップパートを支えるさまも楽しい。ギターリック、グルーヴィなベースライン、そして"kilig"という感覚を音へ変換する才覚に支えられたポップトラックである。まだ試運転のようにも感じられるが、2021年の時点でBINIが初期のつまずきをすでに振り払い始めていたことを示す、十分に良い兆しだった。—Elijah Pareño

19.「Blink Twice」

「Blink Twice」は、BINIの楽曲のなかでもとりわけグローバルに成功した一曲だ。Normani、Ciara、Ariana Grandeらを手がけてきた米国のミュージシャン、Marqueze Parker(別名Leather Jacket)が共同プロデュースに名を連ねている。ヒップホップ寄りのビートを取り入れながらも、BINIらしいバブルガムな艶はしっかり残り、少しフラーティーな表情も覗かせる。リリック面ではやや反復が目立つが、UKやニュージーランドでのチャート入り、さらには『Good Day New York』でのパフォーマンスが、この曲の国際的な吸引力を物語っている。—Pie Gonzaga

18.「First Luv」

ウェディングテーマを思わせるローファイなループが流れたあと、「First Luv」のシンセラインが入ってくる。その瞬間、これから訪れるものへの期待が立ち上がる。「no one else but you」といったラインが、柔らかなベースラインと穏やかなオーケストラ調のテクスチャーに乗って進んでいく。ミニマルなプロダクションと、少し不思議なハイハットの処理を備えたこの曲は、2025年を通じて英語詞中心の流れを辿っていたグループが、フィリピン語と英語のダイナミクスを本格的に受け入れようとしていた時期に登場した。—Elijah Pareño

17.「Out Of My Head」

「Out Of My Head」は、BINIが完全にダンス・ポップ・モードへ突入した一曲であり、2025年のEP『BINIverse』に収められたエネルギッシュな一撃だ。グループの多面性を際立たせる楽曲でもある。BINIはギアを自在に切り替え、洗練されたプロダクションとカリスマ性、そして制御の効いたパフォーマンスを両立できる──そのことを証明している。—Pie Gonzaga

16.「Katabi」

BINIのなかでも穏やかで、より厳かな質感を持つ「Katabi」は、ポップが必ずしも爆発的なフックやダンスナンバーに頼る必要はないことをBloomsに思い出させてくれる。ポップミュージックはR&Bのテクスチャーへ自然に踏み込み、グループのジャンル的な射程を広げることもできるのだ。ほぼ全員に見せ場が用意されている点も、ガールズグループがもっとも輝くのは各メンバーがしっかり噛み合っているときだという証明になっている。親密なアコースティックギターを基調としたプロダクションの上に、ハーモニー、高音、ボーカルランが浮かび上がる本作は、心地よいペースチェンジをもたらしている。—Elijah Pareño

15→11位

15.「Honey Honey」

近日リリース予定のEP『Signals』に先駆けて発表された2曲のシングルのうちのひとつ。「Honey Honey」は、甘さと粘着質のフックに満ちた楽曲だ。「Like honey, honey drippin' for me」や「Who knew love could / who knew love could」といった反復が、曲全体をしっかりと支えている。軽やかで、耳に残り、力みすぎることなく抗いがたい魅力を放っている。—Pie Gonzaga

14.「Shagidi」

「Shagidi」は、子どもの頃の遊び場のゲームを、ほとんどクラブ仕様と言っていいものへと反転させた曲だ。リズムにはアフロビーツの影響が織り込まれている。BINIの明るく弾けるようなダンストラックと比べると、いくらか粗い。だが、それがいい。ざらつきがあり、パーカッシブで、ビートがすべてを前へと押し出し、触覚的なエネルギーを生み出している。コンセプトとしては遊び心に満ちているが、実際の仕上がりはよりタフで、グループの音楽的パレットを刺激的な方向へ広げている。—Pie Gonzaga

13.「Zero Pressure」

「Zero Pressure」でBINIは、アルペジオのベースラインとドラマティックなシンセパッドを軸に、80年代シンセポップを呼び込む。プロダクションにもリリックにも、切迫感が刻み込まれている。「I got fire in my blood when I move / No, you won't catch me holding out for a miracle」というラインは、TWICEの「I Can't Stop Me」やDua Lipaの「Physical」のようなヒットを思い起こさせる。—Pie Gonzaga

12.「Cherry On Top」

ドラムンベースは、BINIがプロダクション面で選んできた方向性のなかでも、もっとも意外な転換のひとつだと認めざるをえない。彼女たちにとって初の全編英語詞シングルとなった「Cherry On Top」は、メンバー全員が非ネイティブの言語環境へ踏み込んだという意味でも、賛否を呼んだ一曲だった。明るくカラフルなプロダクションと、「I'm the cherry on top」と何度も歌われる効果的なフック。この曲は、BINIがより大きな領域へ足を踏み入れた瞬間であり、そうする理由も十分に伝わってくる。—Elijah Pareño

11.「Diyan Ka Lang」

「Diyan Ka Lang」は、風通しのいい90年代R&Bポップへと身を預ける。軽やかでありながら、同時にエモーショナルでもある。ゆったりとしたグルーヴはボーカルに呼吸する余白を与え、ラップヴァースはうれしいサプライズとして機能する。抑制のなかに自信があり、背後で熱を帯びるシンセが鳴っていても、過剰に作り込まれた感じはない。ここでBINIは、メロディとムードに身を任せながら、何度でも戻ってきたくなる一曲を届けている。—Pie Gonzaga

10→6位

10.「Na Na Nandito Lang」

2024年の『Talaarawan』収録曲のなかでもとりわけ強い一曲である「Na Na Nandito Lang」は、BINIがポップソングを書くことにいかに長けているかを示している。「nandito lang ako」というラインはシンプルだが、誰もがそれを瞬時に説得力あるものとして届けられるわけではない。だがBINIはその方程式を完全に掌握している。緊密なシナジーと、各メンバーの声質への明確な理解が、満足度の高いフックへとつながっていく。より深いシンセラインとサブベースを備えたバブルガムポップが曲にさらなる推進力を与え、P-popの同時代のライバルたちを軽々と追い抜いている。—Elijah Pareño

9.「I Feel Good」

Flip MusicのBojam De Belenが共同作曲・共同プロデュースを手がけた「I Feel Good」は、『Born To Win』を経て、より大きなステージへと歩みを進めようとしていた2022年のBINIを捉えている。フックはより大きく響き、野心的なプロダクションは輝きを増し、全員が歌うことでグループとしてのポテンシャルがはっきりと示された。広がりのあるコーラス、高揚感をもたらすヴァース、そしてバブルガムなエネルギーへと完全に結びつくケミストリー。その野心は明確だ。より大きな存在へと向かう直前のグループとして、十分に磨き上げられた一曲であり、そのことは聴けばすぐにわかる。—Elijah Pareño

8.「Unang Kilig」

"初恋の最初の段階"をコンセプトに掲げた「Unang Kilig」は、世界各地でのパフォーマンスを経たBINIが放った、正式なカムバックの一撃だ。2026年までにP-popをめぐる競争はさらに激しさを増していたが、この曲は彼女たちがなぜ"Nation's Girl Group"の称号を背負うのかを改めて証明している。Jeremy GlinogaがManalo、Rox Santosとともに手がけたことで、コラボレーションは即効性を帯びた。MaloiとAiahによる「Give me a sign!」は甘やかな自信を漂わせて響き、コーラスを通じて各メンバーをそれぞれの輝く場所へと押し出していく。「Unang Kilig」は近年の楽曲群を凌駕していると言っていい。必要なのは、力強いコーラス、厚く重ねられたハーモニー、そして誰もが知る恋の感覚へまっすぐ伸びる一本の線だけなのだ。—Elijah Pareño

7.「Ang Huling Cha Cha」

「Ang Huling Cha Cha」の最初のヴァースは、いい意味でこちらを欺く。また90年代R&Bポップの回帰なのだろう、NewJeansあたりの系譜にある曲なのかもしれない──そう思わせる。たしかにタイトルには"cha cha"とあるが、だからといって本当にそこへ行くとはかぎらない。そう高をくくっていると、2024年のEP『Talaarawan』でこの曲を初めて聴いたとき、プリコーラスでキューバン・チャチャチャへと急旋回し、そこからラテンダンスと現代的なポップを融合させたコーラスへ突入する展開に驚かされる。「Ang Huling Cha Cha」は遊び心に満ち、驚くほどまとまりがよく、全体として聴く喜びにあふれた一曲だ。—Pie Gonzaga

6.「Na Na Na」

このガールズグループは、「Na Na Na」で2021年のBINIとは何だったのかを決定的なかたちで切り取ってみせた。当時、パンデミックによって誰もがロックダウンのなかにいた。このシングルは、そのトンネルの先に見えた光だった。サウンドは無垢で、リリックは前向きで、そして徹底的にキャッチー。キッチュ、キャンプ、そして集団としてのガールフッドという感覚を、テクニカラーのポップの枠組みへと溶け込ませ、4分という尺を実際より短く感じさせる。長く残るために作られたイヤーワームであり、ポップソングライティングの妙を示す一曲である。—Elijah Pareño

ベスト5

5.「Pantropiko」

「Pantropiko」は、太陽をたっぷり浴びた純粋な幸福そのものだ。もっとも明るく輝くバブルガムポップに、フィリピンの海辺のターコイズブルーの浅瀬からそのまま立ち上がってきたようなトロピカルハウスの質感が重なる。2024年、この曲から逃れることはほとんど不可能だった。TikTokではユーザーたちがBINIの振付を真似し、その抗いがたいリズムに合わせて踊った。だが、バイラルな広がりの先にあるのは、BINIがもっとも磁力を帯び、もっともプレイフルに輝く瞬間でもある。BINIが「Pantropiko」をリリースしなかった世界など、私には想像できない。—Pie Gonzaga

4.「Karera」

BINIの「Karera」は、きらめくファンク風味のコーラスと、重要なメッセージを結びつけている。メンバーのColet、Mikha、Staceyに加え、ヒットメーカーのNica del Rosarioが共同で手がけたこの曲は、ストレートなポップソングであり、キャッチーで、同時に心に残る。自分のペースで進むことをめぐる核心的なアイデアは、きらびやかなサウンドのなかでもはっきりと届いてくる。そして「Kabataang Pinoy」と同じく、こうした曲においてBINIは、目的意識と励ましを備えた音楽を愛するフィリピンのリスナーの心を見事につかんでいる。—Pie Gonzaga

3.「Huwag Muna Tayong Umuwi」

2022年の『Feel Good』に収録された本作は、BINIのサウンドとケミストリーが明確に変化したことを示す一曲だった。特別なのは、ミッドテンポのなかで彼女たちが歌い、きわめてエモーショナルなパフォーマンスを届ける姿を聴ける点にある。グラムロック寄りのギターから、上昇していくEDMシンセラインまで、プロダクション上の手がかりは幅広い。長い一日の終わりに、まだ帰りたくないという切望の物語を描きながら、曲はより慎重で意図的なペースへと進んでいく。この曲の美しさをさらに高めているのは、グループ全体のボーカル・ハーモニーとランの強さだ。それらが積み重なり、力強いエンディングへと結実していく。—Elijah Pareño

2.「Lagi」

この曲をリピートしながらキャンパスを歩き、人生で初めて本気になった同性への恋を思い浮かべる──それに代わる感覚はない。Manaloがプロデュースしたこの曲は、90年代ポップからそのまま引き出されたようで、サウンドにおいてもテーマにおいても中毒性が高い。「Lagi nang umaawit / umaawit mula kusina hanggang sa sala」というラインは、恋に落ちたときの浮き立つような、すべてを飲み込んでいく感覚を捉えていると同時に、この曲が聴き手に及ぼす作用そのものを映し出している。シンセのアクセントはノスタルジックで、全体を通して思わず追いかけたくなるボーカルランにも事欠かない。なかでも勝利感に満ちたラストコーラスは、この曲最大の見せ場だ。恋に落ちる高揚を体現している──そして、私たちはみんな、こういうラブソングが好きなのではないだろうか。胸の内にある感情を声の限りに宣言したいなら、BINIは「Lagi」という完璧な増幅装置を用意してくれている。—Pie Gonzaga

1.「Salamin, Salamin」

「Oh, hello there, misteryoso!」は、ウインクと笑顔を伴って着地する。そしてそれは、その場に居合わせていなければわからない類いのポップカルチャー的瞬間のひとつだ。そこからグループは、冒頭からぴたりと噛み合った、引力のあるヴァースを次々と駆け抜けていく。ファンキーなベースラインとギターリックが全体を支え、「Ayaw maniwala, aye!」のようなチャントは、愛すべきチープさを帯びたエネルギーで耳に残る。

飾り立てる必要はない。そろそろ本題に入ろう。これは決定的なBINIの楽曲である。観客に愛され、ソングライティングとしても成功し、ポップを信じる者たちの意識から決して離れないフックを備えている。4分にも満たない時間のなかで、この曲はひとつの事実を明確に示してみせる。BINIは「Salamin, Salamin」をリリースしたことで、"Nation's Girl Group"の称号を正当に勝ち取ったのだ。—Elijah Pareño

SUMMER SONIC 2026

8月14日(金)・15日(土)・16日(日)

東京会場:ZOZOマリンスタジアム & 幕張メッセ

大阪会場:万博記念公園

※BINIは8月14日(土)大阪会場、16日(日)東京会場に出演

https://www.summersonic.com/

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