
江ノ電「極楽寺駅」から徒歩6分(350m)、メジャーな観光ルートから少し外れたところに、熊野新宮(くまのしんぐう)が鎮座しています。
この知る人ぞ知る名所を、みなさまにも知っていただけたら、とても嬉しいです。
熊野新宮の歴史
社伝によると、こちらの熊野新宮は鎌倉時代の1269年(文永6年)、忍性菩薩(にんしょうぼさつ)が勧請しました。以来、極楽寺の鎮守として崇敬され、また鎌倉幕府からも手厚く保護されながら歴史を重ねています。
1928年(昭和3年)に付近の八雲神社と諏訪神社を合祀し、極楽寺・稲村ガ崎の鎮守として人々の信仰を集めてきました。
なお、稲村ガ崎の熊野権現社(くまのごんげんしゃ)は境内神社(飛び地)となります。
熊野新宮の御祭神
こちらの熊野新宮には、以下に紹介する神様がたが祀られています。
日本武尊(やまとたけるのみこと)
景行天皇(けいこうてんのう。第12代)の皇子で、知略や武勇を発揮して東奔西走の大活躍を魅せた古代史上屈指のヒーローです。
様々な苦難を乗り越える中で、弟橘媛命(おとたちばなひめのみこと)との悲恋は人々の胸を打ち、様々な作品で愛されてきました。
最期は神の怒りにふれ、あえなく衰弱死してしまいますが、その魂は白鳥に変じて飛び去ったと伝わります。
速玉男命(はやたまおのみこと)
御神名の由来は「速い魂≒吐きつけられた唾の男神」。かつて伊弉諾命(いざなぎのみこと)が、妻の伊弉冉命(いざなみのみこと)と離縁するときに、吐き出した唾から生まれました。
これは彼女に対する侮辱ではなく、唾に込められた清めや魔除けの霊力をもって、互いの関係を清算するためだったのです。
そのエピソードから、トラブルの円満解決や縁切りなどのご利益で信仰されてきました。
素戔嗚命(すさのおのみこと)
元は八雲神社の御祭神で、天照大御神(あまてらすおおみかみ)の弟神として知られています。
御神名の由来は「荒(すさ)ぶる男の神様」。その名のとおり暴れん坊で、乱暴狼藉のあまり高天原(たかまがはら。天上世界)を追放されてしまいました。
しかし、八岐大蛇(ヤマタノオロチ)退治をキッカケに、持て余していた力を人々のために発揮するようになったのです。
建御名方命(たけみなかたのみこと)
元は諏訪神社の御祭神で、信州(長野県)の諏訪大社から勧請されてきました。
御神名の由来は「猛々しい(建)水辺の(御名方)神様」。水辺とは諏訪湖を指し、その本性は水や風を司る龍神あるいは蛇神と考えられています。
狩猟や農耕の神様としてだけでなく、軍神としても厚く崇敬され、戦国大名の武田信玄が信仰したことでも有名です。
熊野大神(くまののおおかみ)
現地の由緒書きには存在が記されていませんが、神奈川県神社庁のホームページにはその存在が明記されています。
熊野大神は熊野三所権現(さんしょごんげん/みところごんげん)とも呼ばれるとおり、三柱の神様を総称することが多いものの、メンバーは必ずしも固定されていません。
一般的には家津美御子神(けつみのみこがみ)・速玉神(はやたまのかみ)・牟須美神(むすみのかみ)の三柱が祀られ、それぞれ素戔嗚命・伊弉諾命・伊弉冉命と同一視されています。
熊野新宮の見どころ
こちらの境内には見どころがたくさんあるので、今回はその一部をピックアップしました。
カッコ可愛い獅子と狛犬
こぢんまりとしながら弱さを感じさせない、カッコ可愛いフォルムの獅子と狛犬が、永年の風雨に耐えながら境内を守護していました。ピンと突っ張った両前脚に、内心の緊張感が伝わるようです。
「本当は怖いけど、僕たちがしっかり守らなくちゃ!(心の声を想像)」自信はないけれど、いざとなったらとても強い、そんなキャラクターを想像しました。
背中に美しく流れる鬣(たてがみ)や、無駄のない肉づきにも、秘めたる実力が感じられます。
青空に映える社殿の屋根
ご覧ください。シャープで力強い反りが青空に映えて、まるで大鵬(おおとり)が天を舞うような美しさでした。
こちらは1927年(昭和2年)の再建時に整備されたもので、およそ百年にわたり御祭神の威儀を表わしています。
令和の大修理を通じて今後ますます信仰を集め、霊験をあらたかにしていくことでしょう。
精巧な鳳凰・龍・獅子たち
屋根の下に施された彫刻もまた見事なもので、鳳凰・龍・獅子と霊獣たちが勢揃いしていました。
また、社殿両袖にも彫刻があるので、お時間の許す限り鑑賞されるのがおすすめです。
柱にめり込んだ?半擬宝珠
ケーキにトッピングされたクリーム(あるいはドラクエのスライム)みたいな飾りを、擬宝珠(ぎぼし)と言います。寺社建築に多く施されている装飾で、写真の擬宝珠をよく見ると、柱に半分めり込んだようになっていました。
この半擬宝珠は珍しいもので、他の寺社でも見つけられたら、ラッキーかもしれません。
まるで宴会?車座になった石碑群
境内の片隅に、石碑や石塔がコの字形に居並んでいました。
右から聖徳太子・庚申供羪(供養)塔・白川神社&長崎寺社・神武天皇・国常立尊(御嶽山神社、八海山神社、三笠山神社)・大穴牟遅&少名毘古那・三十三度登山・不動明王・富士浅間大社…… 神仏が車座になって、宴会でも開いているようですね。
かつてこの辺りが住宅開発された際、遷座してきたのでしょう。それぞれの由来についても、機会を作って深掘りしたいですね。
丸まっこい石灯籠
狛犬の傍らにちょこんとたたずむこちらの石灯籠は、永年の風雨によって、すっかり丸まっこくなってしまいました。
何ともユーモラスで健気なたたずまいが、きっとみなさんの心に刺さることでしょう。
開花が楽しみ!見事な梅林
社殿に向かって右後方には、見事な梅林が広がっていました。
取材時はちょうど青梅の季節でしたが、花の季節には、馥郁(ふくいく)たる香りが境内を優しく包み込んでくれることでしょう。
隠れた梅花の名所として、要チェックです。花の季節を狙って、また参拝したいと思います。
まとめ
今回は、鎌倉市極楽寺に鎮座する熊野新宮を紹介しました。地元民でもあまり参拝しない隠れ家的な神社ですが、鎌倉を堪能するなら、ぜひ一度は参拝してほしいところです。
観光名所として有名な極楽寺(ごくらくじ)や成就院(じょうじゅいん)とあわせて、散策ルートに加えてみてはいかがでしょうか。
熊野新宮
参拝時間
24時間
※照明が暗いので、夜間の参拝はご注意ください。
主な祭礼
歳旦祭(さいたんさい) 1月1日天王祭(てんのうまつり。夏季例祭) 7月第1日曜日秋季例祭(しゅうきれいさい)・鎌倉神楽(かまくらかぐら) 9月9日アクセス
所在地:神奈川県鎌倉市極楽寺2-3-1
江ノ電「極楽寺駅」から徒歩6分(350m)
駐車場:なし(公共交通機関のご利用がおすすめです)
連絡先
管理元神社:御霊神社(鎌倉市坂ノ下)
電話:0467-22-3251
The post 【鎌倉 観光スポットレポ】熊野新宮 - 見どころ満載!知る人ぞ知る隠れた名所 first appeared on 湘南人.




















