SPYAIR・YOSUKEが明かす「喉を痛めないシャウト」の極意と、しらスタが驚愕した“4種の発声”使い分けとは?
チャンネル登録者数200万人を超えるカリスマボイストレーナー「しらスタ」と、シンガーソングライターのYOSUKEこと岸洋佑がお届けするTOKYO FMのラジオ番組「シアーミュージック presents しらスタのボイトレディオ」(毎週火曜21:00~21:30)。“聴くだけで歌が上手くなる”をコンセプトに、人気アーティストをゲストに迎え、プロのボーカルテクニックから明日から試せるアドバイスまで、ディープな音楽トークを繰り広げる番組です。

4月14日(火)の放送は、ロックバンド・SPYAIR(スパイエアー)のボーカル、YOSUKE(ヨウスケ)さんが登場。番組の名物企画「明日カラオケで歌いたくなる! しらスタのソングコメンタリー!!」にて、最新アルバム『RE-BIRTH』収録曲で、アニメ『勇者刑に処す 懲罰勇者9004隊刑務記録』の主題歌としても話題の「Kill the Noise」を徹底解剖しました。

(写真左から)岸洋佑、SPYAIR・YOSUKEさん、しらスタ

◆SPYAIR・YOSUKEが「ボイトレディオ」へ降臨!

しらスタ:こんばんは、しらスタです!

岸:こんばんは、アシスタントの岸洋佑です! さあ、今夜はとんでもないゲストをお迎えしています。ロックバンド・SPYAIRのボーカル、YOSUKEさんです!

YOSUKE:SPYAIRボーカルのYOSUKEです。よろしくお願いします!

岸:ついに来てくださいましたね。実はおしらさんとYOSUKEさんは、今日が初めましてなんですよね?

しらスタ:そうなんです。でも、私、実は勝手に「初めまして」な気がしていなくて(笑)。YouTubeでSPYAIRさんの「オレンジ」という楽曲の歌唱解説をやらせていただいたことがあって、もうずっと歌声を聴き込んでいたんです。

YOSUKE:その動画、観ました! めちゃくちゃ嬉しかったです。

岸:SPYAIRは2023年4月にYOSUKEさんが新ボーカルとして加入し、現在の体制で活動されています。3月にニューアルバム『RE-BIRTH』もリリースされました。おめでとうございます! 加入から3年、ようやく届いたフルアルバムですね。

YOSUKE:ありがとうございます。この3年間、地に足をつけて一つひとつの楽曲と向き合ってきた集大成のような1枚です。僕にとっては、これが本当の意味でのデビューアルバムだと思っています。

岸:今日はそんなSPYAIRの最新曲を、おしらさんがこれでもかというほど深掘りしていきます!

◆「明日カラオケで歌いたくなる! しらスタのソングコメンタリー!!」

しらスタ:ここからはこちらの企画をお送りします。「明日カラオケで歌いたくなる! しらスタのソングコメンタリー!!」。ボイストレーナーの私、しらスタが、アーティストご本人の前でその曲の凄さを熱く語り倒すという、少し恐れ多い企画です。今回はアルバムの5曲目に収録されている「Kill the Noise」について語らせてください!

岸:作詞は(SPYAIRメンバーの)MOMIKENさん、作曲はUZさん。アニメ『勇者刑に処す』の主題歌にもなっていますが、どんな楽曲でしょうか?

YOSUKE:アニメの世界観にマッチするダークでズッシリ重い空気感がありつつ、その内に秘めた熱さが伝わるような楽曲になっています。

しらスタ:そうなんですよ! アニメとの関連性だけでも3時間は語れるんですが、今日はYOSUKEさんの「ボーカル」に絞って、その超絶テクニックを解剖していきます!

◆ポイント①:冒頭わずか4行に「4つの発声」が潜んでいる!?

(♪曲:イントロ〜冒頭が流れる)

しらスタ:ちょっと止めてください! いきなりなんですけど、ここ、事件です!!

岸:いきなり(笑)。

しらスタ:最初の「Whatever it takes 譲れないその胸の火花を散らして Just Kill the Noise」。たったこれだけの歌詞の中に、YOSUKEさんはなんと「4つの発声」をぶち込んでいらっしゃいます。

YOSUKE:4つ……?

しらスタ:分析させてください。まず「Whatever it takes」は、めちゃくちゃ艶やかなミックスボイス。そこから「譲れなーい」でフワッと裏返るファルセット。次に「その胸の」で鋭い系のガナり。そして最後の「Just Kill the Noise」で、ズシッと重く深いガナり。つまり、ミックス、裏声、鋭いガナり、深いガナりの4種類。これを流れるように使い分けているんです。

YOSUKE:言われてみれば、確かに使ってますね!

しらスタ:自覚なしですか! これが天才か……。

岸:改めて聴いてみましょう。皆さん、今の4つを聴き分けてくださいね!

(♪曲:冒頭部分を再度再生)

しらスタ:ほら、かっこいい! お忙しいですよ、喉が(笑)。これ、歌い回しは最初から決めていたんですか?

YOSUKE:いや、感覚ですね。なんならこのイントロ、最後に録ったんですよ。

しらスタ&岸:ええーーー!!

YOSUKE:最初はファルセットも入れてなくて、1行目からもっとガッツリ行く案もあったんです。でも、ディレクションをしてくれているtasukuさんと相談して、「この重い雰囲気に合わせるなら、もっと中間(の成分)が欲しいよね」となって。それでこの歌い回しになりました。

しらスタ:なるほど、だからこその「艶やかなミックスボイス」なんですね。この曲を最後まで聴くと、実はこの「ど真ん中の綺麗なミックス」ってほとんど出てこないんですよ。他はもっと地声寄りに重く歌ったり、ノイズを混ぜたりしている。だからこそ、この冒頭の「キラッ」とした艶が際立つんです。

◆ポイント②:喉を壊さない「エフェクター」としてのシャウト

(♪曲:強烈なシャウト部分が流れる)

しらスタ:はい、来ました! これは何ですか!?

YOSUKE:これは……“叫び”ですね(笑)。

しらスタ:いわゆる「デスボイス」や「ノイズ唱法」と言われる技術ですが、これ、気合で出しているんですか? どうやって習得されたのでしょうか?

YOSUKE:いつからできるようになったか、自分でもわからないんです。高校生の頃からこういうジャンルの音楽が好きで、スタジオで爆音の中で見よう見まねでやってたら、いつの間にか。

しらスタ:練習して身につけたわけじゃないんだ!

YOSUKE:でも、出し方のイメージはあるんですよ。僕の場合は、声の“芯”を使いません。鼻と口の間あたり、上のほうで鳴らす感覚です(実演:ハーーーッ!!)。だからマイクもこの辺(鼻のあたり)に当てて歌うこともあるんです。

しらスタ:すごい! あの、ボイストレーナーとして分析しますと、こういうノイズ系の発声って、実はミックスボイスや裏声のような、“軽い声”がベースになっていることが多いんです. 地声で力任せに「あー!」と叫ぶのとは全く別物なんですよね。

YOSUKE:感覚は近いです。ギターのエフェクターに近いんですよ。“アコギ(地声)”に無理やりディストーション(歪み)をかけると崩壊しちゃうけど、“エレキ(薄い声)”なら綺麗に歪んでくれる。

しらスタ:その例え、完璧です! 効率の良い発声ができているからこそ、この爆発力のあるノイズが出せる。

YOSUKE:そうですね。だから実は、普通に歌うよりシャウトしているほうが喉を消耗しないんです。

しらスタ&岸:うわ、出た!!

しらスタ:使いこなせている人だけが言えるセリフですね。皆さん、素人が真似すると一瞬で喉を壊すので気をつけてください!

◆ポイント③:スティーヴィー・ワンダーに通ずる“リズムのタメ”

しらスタ:続いて、Aメロの歌い方にも注目してください。

(♪曲:Aメロ。崩れ落ちた 夢の亡骸を 踏みつけても〜)

しらスタ:ここ、リズムの取り方がめちゃくちゃ“後ろ”じゃないですか? なんか、スティーヴィー・ワンダーみたいだなって思ったんですけど。

YOSUKE:スティーヴィー・ワンダー! ルーツにはそこまでないんですけど、でも“後ろに溜める”のは意識しています。

しらスタ:やっぱり! 多くのロックボーカリストは「崩れ落ちた!」って前に突っ込んでいくタイプが多いんですが、YOSUKEさんは子音を長く残して、ギュンギュンと後ろに引っ張るように歌っている。この絶妙なタメと、SPYAIR特有のシンコペーションが合わさって、独特のグルーヴが生まれているんです。

YOSUKE:ライブだと心拍数が上がってどうしても前に行きがちなので、レコーディングでは特に体に叩き込むように、後ろを意識して歌いましたね。

しらスタ:そこまで気づく人、なかなかいないでしょ(笑)?

YOSUKE:いや、初めて言われました。めちゃくちゃ嬉しいです。

◆ポイント④:アニメの世界観を補完する「執念のビブラート」

しらスタ:もう1つ、サビ前のフレーズ。ここだけ急にビブラートが暴れ出すんですよ。

(♪曲:Bメロ。時効がないなら 朽ちたままの 誓いも果たせるかい?)

しらスタ:「時効がな~いなら~」のところ、細かくて速いビブラートがかかっていますよね。これ、意識的ですか?

YOSUKE:そこは語尾のニュアンスというか、感覚でやっていました。

しらスタ:ここが私の“オタク的分析”なんですけど、このアニメ(勇者刑に処す)の設定って、大罪人が「勇者の刑」として、死んでも蘇生されて人類のために戦わされ続けるという、出口のない地獄のような物語なんですよね。その“時効がない”という絶望感や無限に続くループを、この細かい震えるようなビブラートが表現しているように聞こえて、アニメファンとしては胸熱なんです!

YOSUKE:流石です(笑)。

◆日本語がしんどかった!? 洋楽ルーツゆえの苦悩

岸:今回じっくりYOSUKEさんの歌声を聴いて思いましたが、やっぱりルーツは洋楽ですよね?

YOSUKE:もう、洋楽でしかないですね。高校を卒業して組んだバンドも、最初は全部英詞でした。SPYAIRに入って、こんなにガッツリ日本語を歌うようになって、最初の1年は本当にしんどかったです。

しらスタ:そうだったんですか!

YOSUKE:日本語って「一語一音」じゃないですか。その独特のリズムについていけなくて。でもその試行錯誤があったからこそ、今の「洋楽的なアプローチ」と「丁寧な日本語唱法」が混ざったスタイルになったのかもしれません。

しらスタ:なるほど。サビで聴けるガナり気味のパワフルなハイトーンがYOSUKEさんの本来の姿で、Aメロの丁寧な節回しはSPYAIRに入ってから手に入れた新たな武器。そのハイブリッドが「Kill the Noise」という曲を、唯一無二のレベルに引き上げているんですね。

◆エンディング:涙を「喰らい」の歌詞に隠された凄み

しらスタ:最後にこれだけ言わせて! サビの終わり「涙を喰らい Just Kill the Noise」。ここ、涙を“拭う”でも“流す”でもなく“喰らい”なんですよ。この歌詞、重くないですか?

YOSUKE:MOMIKENさん、本当にうまいですよね。

岸:いやあ、今日は1曲の中にどれだけの技術と想いが詰まっているか、おしらさんの解説で本当によくわかりました。YOSUKEさん、最後に改めてこの曲を聴く皆さんに一言いただけますか。

YOSUKE:はい。僕自身も新しい挑戦を詰め込んだ楽曲です。ぜひ、今日お話しした細かいポイントにも耳を傾けながら、繰り返し聴いてもらえたら嬉しいです。

岸:それではお送りしましょう。SPYAIRで「Kill the Noise」。

(♪曲:SPYAIR「Kill the Noise」フルサイズをオンエア)

<番組概要>

番組名:シアーミュージック presents しらスタのボイトレディオ

パーソナリティ:しらスタ、YOSUKE(岸洋佑)

放送日時:毎週火曜 21:00~21:30

番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/f/voitradio/message

番組公式X:@voitradio_tfm