4月も1ヶ月近くが過ぎ、新しい環境に飛び込んだ方も、ようやく生活のリズムが整ってきた頃ではないでしょうか。そこで改めて考えたいのが、「お金の使い方」です。新年度は、家計を見直す絶好の機会。もう一度自身のお金と向き合い、計画的な資産形成を目指しましょう。

この記事では、家計管理のコツや、貯蓄・投資へのお金の振り分け方についてわかりやすく解説します。新生活のスタートに合わせて、”お金の初期設定”を見直し、より安心して生活できる仕組みをつくっていきましょう。

まずは家計簿アプリと紐づけて収支を確認する

「新年度こそ、貯蓄や投資をがんばりたい」と思う人も多いかもしれません。しかし、これらをいきなり実行するのではなく、まずは毎月のお金の流れを把握することから始めてみましょう。収入に対してどれくらい使っているのか、何にどれだけお金がかかっているのかが見えていなければ、適切な貯蓄額や投資額も決められません。

そのために有効なのが、「家計簿をつけること」です。ただし、毎回手作業で細かく記録しようとすると、手間がかかって続かないケースも少なくありません。そこで活用したいのが、家計簿アプリです。銀行口座や電子マネー、クレジットカードと紐づけることで、日々の入出金情報を自動で収集してくれるため、手軽に家計の全体像がわかります。

さらに、アプリによっては、支出をカテゴリに分けてグラフで「見える化」してくれたり、その月のお金の使い方をレポートにまとめてくれたりする機能もあります。

こうした機能を活用すれば、「食費が思ったより多い」「今月は交際費を使い過ぎた」と気づきやすくなります。このように、まずは家計簿アプリを取り入れるだけでも、大まかな家計の姿が見えてくるものです。

家計は「固定費」と「変動費」に分けて考えよう

家計を整理するうえでは、「固定費」と「変動費」に分けて考えることも重要です。住居費やサブスクの費用、保険料などの固定費は毎月の金額が基本的には変わらないため、把握しやすい支出といえます。

一方で、食費(外食費)、日用品費、交際費、娯楽費といった変動費は、使い方によって金額が上下します。そのため、これらについては毎月の予算をあらかじめ設定しておくことが大切です。家計簿アプリには、カテゴリごとに予算を設定できる機能が備わっているものも多く、使い過ぎを防ぐ仕組みとして役立ちます。

また、見落としがちなのが、「年単位で見たときの支出」です。生活にかかるお金は毎月の支出だけでなく、旅行や帰省の費用、固定資産税や自動車税といった税金、火災保険料など、年単位での支出も発生しています。

これらの支出を考慮せずにいると、せっかく貯めたお金をその都度取り崩すことになり、「なかなかお金が貯まらない」という状態に陥りやすくなります。

そうした事態を防ぐためには、年単位でかかるお金をあらかじめ見積もり、毎月の給与やボーナスの一部から計画的に備えていくことが大切です。ボーナスがない、もしくは安定しない場合は、年単位でかかる支出の総額を12で割り、毎月少しずつ積み立てていく方法が現実的でしょう。

先取り貯蓄で確実にお金を貯めよう

家計の流れを把握できたら、次に取り組みたいのが「どのようにお金を貯めるか」です。確実にお金を貯めていくためには、「先取り貯蓄」という考え方が欠かせません。

先取り貯蓄とは、生活費としてお金を使う前に、あらかじめ貯める分のお金を取り分けてしまう方法です。つまり、「残ったら貯める」のではなく、「先に貯めてから使う」というルールにするのです。

なかなかお金が貯まらない人の中には、まず生活費にお金を使い、「余ったら貯めよう」と考えているケースが少なくありません。しかしこの方法では、支出が多い月にはほとんどお金が残らず、結果的に貯蓄が後回しになってしまいます。予定外の出費が重なれば、その月はまったく貯められないということも起こりがちです。

そこで有効なのが、先取り貯蓄の仕組みです。毎月の収入からあらかじめ一定額を貯蓄にまわし、残りのお金で生活するようにすれば、無理なく、確実に貯蓄を積み上げられます。はじめは少し窮屈に感じるかもしれませんが、生活費をその範囲に合わせていくことで、自然とお金の使い方も整っていきます。

先取り貯蓄を実践する方法としては、銀行の「自動積立」を利用するのが一般的です。給与が振り込まれる口座から、毎月決まった日に自動的に別口座へ資金を移す設定にしておけば、自分で操作しなくても貯蓄が進んでいきます。

また、勤務先にある場合は、「財形貯蓄制度」を活用するのもひとつの方法です。給与から天引きされるため、こちらも確実に貯められる仕組みといえるでしょう。

なお、貯蓄額を決めるときは、収支を確認しながら生活に無理のない金額に設定することもポイントです。

貯蓄はいざというときの「生活防衛費」のため

お金を貯める仕組みは理解できても、「そもそも何のために貯蓄をするのだろう」と感じる方もいるかもしれません。そこでここでは、貯蓄の目的について改めて確認しておきましょう。

貯蓄の一番の目的は、いざというときの「生活防衛費」を準備することです。生活防衛費とは、失業や病気といった予期せぬできごとが起きた際にも、当面の生活を維持できるようにあらかじめ用意しておく現金を指します。

急に収入が減ったり、働けない期間ができてしまったりしても、住居費や食費、光熱費、通信費などの生活費を一定期間まかなえる、いわばセーフティーネットの役割を果たしてくれる存在です。

では、どのくらい準備しておけばよいのでしょうか。生活防衛費の目安は、以下の通りです。

・会社員や公務員…生活費の3ヶ月〜6ヶ月分
・自営業者…生活費の6ヶ月〜1年分

自営業の場合、収入が不安定になりがちで、傷病手当金がないなど社会保障も薄いことから、より手厚い備えが必要です。そのため、会社員や公務員より多めに生活防衛費を確保しておくと安心です。

なお、生活防衛費は、普通預金など必要なときにすぐ引き出せる形で準備しておきましょう。価格変動のある金融商品で運用してしまうと、必要なタイミングで元本割れしている可能性もあるからです。

もしもまだ十分な貯蓄がない場合は、まずはこの生活防衛費を優先的に貯めることを目標にしましょう。投資を始めるにしても、その前に土台となる資金をしっかり確保しておくことで、安心してお金の運用に取り組めるようになります。

また、前々章で解説した「年単位でかかる支出」についても、貯める仕組みを整えておくと、家計管理や資産形成がとてもうまく進みます。

そして、貯蓄は生活防衛費や年単位の支出だけでなく、比較的近い将来に使う予定のあるお金の準備にも活用できます。たとえば、マイホーム購入の頭金や車の購入費用など、おおむね10年以内に使う予定のお金については、元本保証があり、かつ引き出しやすい金融商品で備えておくのが基本です。具体的には、定期預金や個人向け国債といった商品が選択肢になるでしょう。

投資を始めるときの6つの考え方

家計管理や貯蓄に関する設定ができたら、次は投資についても考えてみましょう。近年はNISA制度の拡充などにより、投資を始めやすい環境が整ってきていますが、やみくもに始めるのではなく、基本となる考え方を押さえておくことが大切です。投資を始める際は、以下の6つのポイントを意識しましょう。

1.生活防衛費を優先する

投資を始めたいと思ったら、まずは生活防衛費の準備は十分か確認してみましょう。急な収入減などに備えるための資金が確保できていない状態で投資を始めるのは、リスクが高いといえます。

貯蓄が十分でないのに無理に投資にお金をまわしてしまうと、いざというときの資金をすぐに用意できず、生活に影響することもあるでしょう。まずは生活防衛費をしっかり確保することが、投資の土台になります。

2.投資の目的を明確にする

投資を始めるときは、いつ、何のために使うお金なのかをはっきりさせることで、適した運用方法やリスクの取り方が見えてきます。

たとえば、老後資金のように長期間使う予定のないお金と、数年後に使う予定のあるお金では、選ぶべき商品や運用スタイルは異なります。近い将来使うお金であれば、リスク商品ではなく元本保証の商品を選ぶなど、目的と時期に合わせた使い分けが大切です。

3.必ず余裕資金で行う

投資には基本的に元本割れのリスクがあるため、生活費や近い将来に使うことが決まっているお金を投資にまわすのは避けるべきです。日々の生活に影響がない範囲で、余裕資金を使うことが基本となります。

4.少額からスタートして様子を見る

投資は、少額から始めて様子を見ましょう。最初から大きな金額を投資するのではなく、「損しても大丈夫」と思える範囲の金額からスタートすることで、値動きに対する感覚や自分の許容できるリスクを把握しやすくなります。実際に経験しながら学んでいくことも、投資を続けるうえで大切なポイントです。

5.無理なく続けられる仕組みをつくる

相場の動きに一喜一憂して売買を繰り返すのではなく、毎月一定額を自動で積み立てるなど、感情に左右されにくい仕組みを整えることで、無理なく継続しやすくなります。特に忙しい人ほど、手間をかけずに続けられる方法を選ぶことが重要です。

6.「長期・積立・分散投資」を基本とする

最後に、「長期・積立・分散投資」を基本としましょう。投資は短期間で大きな利益を狙うものではなく、時間を味方につけて資産を育てていくものです。長期的な視点でコツコツと積み立て、複数の資産や地域に分散することで、リスクを抑えながら安定したリターンを目指せます。

お金の初期設定を完了させよう

新生活のお金の管理では、まず家計簿アプリなどを使って収支を見える化し、お金の流れをつかむことが大切です。そして、先取り貯蓄の仕組みで確実にお金を貯め、投資は目的をはっきりさせたうえで余裕資金で始めましょう。家計管理・貯蓄・投資の初期設定を整えることが、これからの生活の安心につながります。