14歳で芸能界に入り、「モテたい」というシンプルな動機から始まったキャリア。そこから10年、俳優として歩み続けるなかで、寺本莉緒は一度立ち止まる決断をした。「頑張る理由がなくなってしまっていた」と振り返るその時間は、彼女に何をもたらしたのか。迷いながらも進み続ける現在地に迫る。(前後編インタビューの後編)

  • 寺本莉緒 撮影:佐藤容平

    寺本莉緒 撮影:佐藤容平

俳優として「何かを武器にしてより成長したい」

Netflixシリーズ『サンクチュアリ -聖域-』で演じた七海役は、「当たり役」として高い評価を得た。今年3月には、初主演映画『東京逃避行』が公開。俳優としてのキャリアを一歩ずつ着実に重ねているが、フィクションの世界で自分とは違う誰かを演じるという、正解のない行為は「まだとても難しいなと思っている段階」だそうだ。

「もちろん、その役にしっかり向き合って、全力でその時に出せる力をすべて出しているつもりなんですけど、いざ大きなスクリーンで自分を見た時に、自分がイメージしていたように映っていなかったり、感情は100%じゃなくて150%出さないと伝わらないんだと思ったり」

「作品を観てくださる方がいて初めて成立するものなので、意図したものが正確に表現できるようにならなきゃいけない。そのための課題が山ほどありますし、役者としてこれは誰にも負けないというものがまだ一つもなくて。なので、まだまだ未熟なんですけど、何かを武器にしてより成長したいなとは思っています」

歩みを止めない理由は明確だ。

「負けず嫌いなので、一度踏み入れた場所にはちゃんと爪痕を残したいなという気持ちです」

芸能活動を始めたシンプルな動機

本格的に芸能活動を始めたのは14歳の頃だった。オーディションで大手芸能事務所に所属し、中学2年生で地元広島から単身上京した。芸能界に入ったきっかけをたどると、意外にもシンプルな動機に行き着く。

「ただモテたくて(笑)。東京に出たくて、両親に話す理由として何が一番いいんだろうと考えたときに、芸能事務所に所属するという選択肢にたどり着きました」

「モテたい」から始まった芸能生活。そこから続けてこられた理由については、迷いなくこう言う。

「この仕事が好きなんだと思います。もちろん進路に悩むこともあったんですけど、先ほどお話したように負けず嫌いな性格なので、自分が決めたところまではゴールしたいという気持ちも強いので」

24歳になった今は「これを達成したら満足いく」というゴールは用意していないが、漠然と思い描く理想がある。

「今は当時みたいに『みんなにモテたい!』とは思わないんですけど、誰もが知ってる寺本莉緒になりたくて。知名度的にまだまだ全然ですが、グラビアをやってる寺本莉緒が好きな方がいてくれたり、お芝居をしている寺本莉緒が好きな方がいてくれたりするみたいに、いろんなジャンルで私のことを好きになってくれる人がたくさん増えたらうれしいです」