北海道日本ハムファイターズの清宮幸太郎(写真:産経新聞社)

気になるチーム失策数

 東京のF党としては待ちに待った(今シーズン初の)関東開催だった。4/21、22、23のロッテ3連戦。僕は第1戦、応援仲間5人でZOZOマリン上層階のシーニック・ボックスに陣取り、達孝太の投げっぷりに喝采を送った。ホームのソフトバンク戦で粉砕された直後だから、久々のスッキリした勝利に胸を撫でおろした。ただその快勝劇にもかすかな不安材料は見て取れたのだ。5対1で迎えた9回裏、ファイターズは抑えの柳川大晟をマウンドに送る。柳川はこの日、1安打2四球で「劇場」を演じる。まぁハラハラしたが、点差があったから何とかなるだろうとタカをくくっていた。実際、柳川はピンチをしのぎ、無失点で役割を終える。

 

 が、このイニング、守備の変更があった。ファースト清宮幸太郎に代わって清水優心。清水の1塁守備はそんなに見ないから、「お?」という感じだ。清宮は9回表、死球を受けていたからその影響かなと思った。が、試合後、新庄剛志監督は言下にそれを否定する。

 

「あれ、デッドボールじゃないよ。守備で交代させた。守備イップスだから代えとこうと思って」(新庄監督コメント)

 

 思えばこの言葉の意味を噛みしめるような3連戦だった。雨中の第2戦は7対9の大乱戦を失い、強風の第3戦は草野球並みのエラー続出で敗れる。雨や寒さはあったろうけど、集中力を欠いたプレーが気になった。僕はエスコンがあまりに環境が良くて、楽パやZOZOのようなアウトドア球場が苦手になってるんじゃないかと怪しんだくらいだ。ドーム球場は野球を単純にする。人工芝に慣れると土のグラウンドのバウンドに対応しきれなくなるし、インドアに慣れると風を読んだプレーができなくなる。僕はファイターズの選手に「ザ・プロフェッショナル」であってほしい。

 

 が、思いとはうらはらにファイターズはどうも別の方向に進んでいる。今シーズン、ファイターズの野球を象徴しているのはダントツのホームラン数とエラー数だ。ホームランは仙台の楽天戦(むちゃくちゃ寒い日だった)で1試合出なかっただけで、本稿執筆現在(4/17)、コンスタントに出続けている。このままのペースで行けばプロ野球記録を塗り替えることになるだろう。これに関してBS10の解説で吉井理人氏が面白いエピソードを披露していた。エスコンの設計図を見せられ、「ずいぶん狭い球場ですね」と言ったら、当時の吉村浩GMが「それに合わせたチームを作ります」と答えたというのだ。

ソフトバンク戦で痛感する「甘さ」

 ファイターズの選手層は確かに「エスコン仕様」になった。フィジカル、パワー系の選手が増え、かつバットの入れ方、打球角度を考えてバッティングを最適化している。OBの鶴岡慎也氏はよく「エスコンでのホームランの打ち方を覚えた」という言い方をする。これは本当にそうなのだ。エスコン初年度はビジターチームの方がホームラン数が多くて、僕は「ホーム球場の特徴を生かせていない」とコラムで苦言を呈したものだった。それが今やすっかり様変わりだ。

 

 思えば00年代のチームは「札幌ドーム仕様」だった。外野が広く、ホームランが出にくい札ドでは俊足好捕の外野手が花形になった。新庄剛志、稲葉篤紀、森本稀哲、糸井嘉男といったスターがどんな当たりも捕ってしまった。また攻撃面ではひとつ先の塁を奪う走塁術が決め手だった。札幌ドームのファイターズは走るチームだった。それも盗塁よりも走塁の意識において。

 

 WBCのトレンドを見ても野球はパワー化していくのだろう。ファイターズはその方向に進んでいるように見える。が、野球そのものの質が低い。それだと悪口みたいに聞こえてしまうから、言い直すと野球が「若い」というか「甘い」。ソフトバンクと試合をして「野球を知ってるなぁ」と思うのはホークスの方だ。小久保裕紀監督はピッチャーに「ソロならオッケー」と言い含めてるという。ホームラン数ダントツでも目下、ホークスに5連敗中だ。走者を進め得点を奪い切る執念において、肝心かなめの場面で1アウトを取り切る意思において、まだまだファイターズは遅れを取っている。ひと言でいえばソフトバンクは大人のチームだ。

 

 ファイターズの「甘さ」はこれもダントツのエラー数に端的に表れている。16日のロッテ戦、失策5は目も当てられなかった。ベテランの西川遥輝が不甲斐ない2失策。それから頭を抱えたのは清宮幸太郎と郡司裕也だった。清宮は新庄監督が第1戦後にコメントしたように本当にイップス気味だと思う。せっかく打撃好調なのに使い勝手が悪くなっている。「エラーにカウントされないエラー」もあった。満塁の場面でホームに送球せず、1塁送球を選んでしまった(もちろんロッテの得点になった)シーンなど、判断ミスとしか言いようがない。

 

 郡司裕也も様子がおかしい。清宮ほど顕著じゃないけれど、もしかしてイップス気味なのか。17日、ホームへ帰っての西武戦(1回戦)ではとうとう2人ともスタメンを外れてしまった。

 

 開幕前、優勝候補と騒がれながら、投打(と守)が噛み合わず、戦績は5割を切ってしまった。そしてホームラン数だけ快調に伸ばしている。新庄監督は「練習」しかないと言う。このチームはまだまだなのだ。「練習」して野球を覚えるといい。状況判断や読みに長(た)けた「ザ・プロフェッショナル」になるといい。このどん詰まりから抜け出していちばん上を目指そう。清宮も郡司も、伊藤大海もその苦しいところからよみがえれ。