新人たちの中で主に追ったのは、かのんさん、ことじさん。ロイさんの3人。メインのアシスタント業務をこなしながら、自ら担当できるヘアカラーのモデルを積極的に集めて店の売り上げに貢献している、かのんさんには「向上心や上昇志向があるのですが、同期の中で全然ギスギスしていないんです。いい意味で“同期よりも私が上に行きたい”という気持ちが強い子だなと思いました」と印象を語る。
いつも遅くまで練習を続ける“コツコツ型”のことじさんについては、「めちゃくちゃ頑張り屋だけど、自分に自信がないところがあったので、“この子を応援したい”という気持ちが芽生えました」と率直に明かす。
今回の取材中、モデル料金を支払ってことじさんに髪を切ってもらったものの、「僕の髪は強いくせ毛で、コトジさんを“正解がわからない”と戸惑わせてしまいました(笑)」というエピソードも。その後、彼女から「もう一回切らせてください」と志願を受け、ガッツを感じたそうだ。
そして、ロイさんを追ったのは、「分かりやすく、ずっと迷っていたので、彼がどういう選択をするのかなと思って、気になったんです」と、今回のドキュメンタリーの主人公に。結果として入社から半年で店を辞め、故郷に帰ることになったが、その後も彼を追い続けた。
「上京物語」というタイトルだが、「富山に帰ったら終わりというのは考えていませんでした」と、自然と取材を続けていた鴨下D。ロイさんには「ここで(取材は)終わりね(笑)」と言われたこともあったそうだが、「どういう選択をしても、僕はロイくんの今後を見ていきたい」と思いを伝え、後編では地元・富山での姿を描いている。
様々な要素を含む「モチベ」
この3人を含めた同期たちの関係性も、今回の見どころの一つ。鴨下Dが「僕はちょっと近づけないくらいです(笑)」と表現するほどの仲の良さで、ロイさんが店を去る決断を伝えた際には、皆が心から惜しんでいた。明確なチームプレーの仕事ではなくても、「朝から晩まで本当に同じ店で過ごし、同じ苦楽を共にしているというのが大きいと思います」と、その理由を分析する。
そして彼らが繰り返し口にするのが、モチベーションを略した「モチベ」という言葉。カジュアルに使っていることから、軽い言葉に聞こえがちだが、自らのコンディションを確認したり、奮い立たせたりと、様々なケースで耳にしたことで、「決して薄っぺらい言葉ではなく、“モチベ”の中にはいろんなものが含まれている気がしました」という。
ことじさんが練習をしなければいけないのに、同期から「一緒にやろう」と言われるまで自分から動けない状態で「モチベがない」と発していたのを見て、鴨下Dは「表面上のやる気の出なさではなくて、自分の気持ちや状態を細かく見つめているような気がしました」と、若者たちの繊細な思いを受け止めた。
後編の見どころについては、まずロイさんの選択を挙げ、「美容師という仕事に対して楽しさを見いだせなかった彼が、どういう人生を歩んでいくのかを見届けてもらえたら」と呼びかける。
また、ことじさんについても、「不器用なりに、自分のペースで進んでいく中で、1年を経てどういうふうに変わっていくのか、見てもらいたいです」と予告。かのんさんも含めた同期たちが、それぞれの速度で成長していく姿に注目だ。


