東急電鉄は8日、多客時・イベント時の運行および職員への技術伝承を目的として動態保存する8500系8637編成の車両撮影会を実施した。4月19日に予定している一般向けの有料乗車・撮影イベントに先立ち、動態保存車となった4両編成の8500系が公開された。
8500系は1975年、新玉川線(現在の田園都市線渋谷~二子玉川間)と半蔵門線の相互直通運転開始に伴う乗入れ車両としてデビュー。8000系をベースに一部仕様変更したオールステンレス製の車両で、当初は4両編成だったが、輸送力増強のため増備が続き、最終的に10両編成化。同社最多の400両(10両編成×40編成)が製造されたという。
外観は車体側面のコルゲート(プレス加工された波状の板)をはじめ、大半の編成で採用された前面の赤帯(赤色は東急電鉄のコーポレートカラー)も特徴だった。田園都市線を中心に活躍し、相互直通運転を行う東京メトロ半蔵門線や東武スカイツリーラインに乗り入れたほか、東横線や大井町線でも使用されたが、後継車両(5000系、2020系)の導入が進み、2023年1月に惜しまれつつ東急電鉄から引退したとのこと。最後まで活躍した編成が8637編成だった。
2024年8月、東急電鉄は8500系8637編成を4両編成に短縮した上で、本線走行が可能な動態保存車とすることを発表。大井町線・田園都市線(大井町~長津田間)とこどもの国線を運行区間とし、多客時・イベント時に臨時列車および団体臨時列車で運行予定としていた。復活後の運用について、期待の声も多数寄せられたという。今回、準備が整ったことを受けて、一般向けの有料乗車・撮影イベントを開催することとなった。
動態保存車となった8637編成は、渋谷方先頭車(1号車)から8637号車(M2c)、8797号車(M1)、8980号車(T)、8537号車(M1c)の4両編成。この編成は10両だった現役当時から他の8500系と異なる青帯を採用しており、4両化した後も8637号車の車体前面と、片方の車体側面(海側)に同編成オリジナルの青帯を残した。一方で、反対側の車体側面(山側)は帯をなくし、8537号車の前面を赤帯とするなど、一般的な8500系の外観も再現している。
4両化にともない床下機器も変更。8637編成が10両だった当時、8973号車(3号車)と8980号車(8号車)に補助電源装置(SIV)を搭載していたが、4両化で8980号車のみ残り、補助電源装置は1台に。そこで、万が一の不具合に備えて1台追加し、池上線・東急多摩川線で使用していたものと同じ装置を8637号車に搭載したという。先頭車に補助電源装置を付けたことで機器の配置を変更する必要も生じ、もともと先頭車に搭載していたバッテリーを8797号車、コンプレッサーを8980号車へ移設。通常はコンプレッサー1台に対し、大型のタンクを2台搭載するが、4両化した8637編成はタンクを1台とし、3号車に移設したとのことだった。
車内設備に関して、先頭車の8637号車、中間車の8980号車に車いすスペースを新設。あわせて非常通報装置も設定した。一方で、ロングシートの中仕切りやモケットの色は現役当時の雰囲気を残し、ドアに挟まれないよう注意を促すステッカーに描かれた熊のキャラクターも当時のまま。引退から3年以上が経過し、どこか懐かしさも感じる内観となった。ドア横の広告枠を活用し、動態保存車8500系と最新形式2020系の違いなども紹介。列車無線に関して、デジタル化も検討したが今回は簡易型の移動可能な無線機で対応することになったとの説明もあり、運転台に無線機が置かれていた。









