テレビ画面を注視していたかどうかが分かる視聴データを独自に取得・分析するREVISIOでは、3月29日に放送されたNHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』(総合 毎週日曜20:00~ ほか)の第12話「小谷(おだに)城の再会」の視聴分析をまとめた。

  • 慶役の吉岡里帆 (C)NHK

    慶役の吉岡里帆 (C)NHK

「わしの娘、慶でござる」と紹介され…

最も注目されたのは20時41~42分で、注目度77.6%。小一郎がのちの妻・慶(吉岡里帆)と再会を果たすシーンだ。

小一郎(仲野太賀)は信長(小栗旬)に呼び出されて岐阜城へ登城した。いつもは藤吉郎(池松壮亮)も一緒だが今日は1人である。「殿。御用と伺い参りました」頭を上げた小一郎に「うむ。小一郎、お主嫁を取れ」と、信長は前置きもなく切り出した。あまりに突然の申し出にあっけに取られている小一郎に、信長は「これは主命である」と有無を言わせず畳みかける。

信長は隣に控えている安藤守就(田中哲司)に視線を送り名を呼んだ。「はっ。入ってまいれ」守就が声をかけると、奥から1人の美しい娘が姿を現した。娘は守就の側に腰を下ろすと、うやうやしく頭を下げる。「わしの娘、慶でござる」そう紹介された小一郎は息をのんだ。慶の顔に見覚えがあったからだ。先日、直(白石聖)の墓参りに行った際に、たまたま顔を合わせた女だった。突然の再会に言葉が出ない。小一郎は慶から目が離せなかった。

  • 『豊臣兄弟!』第12話の毎分注視データ推移

    『豊臣兄弟!』第12話の毎分注視データ推移

「一言もセリフがなかったのにすごい存在感を出してきたな」

このシーンは、小一郎に突然持ち上がった美女との縁談に、視聴者の関心が集まったと考えられる。

藤吉郎とともに岐阜から戻った小一郎は、久々に家族との幸せな時間を過ごす。しかし周囲はみな結婚しており、直を失った小一郎は寂しさを実感していた。そんな小一郎の孤独を、母であるなか(坂井真紀)だけは気づいていた。

そんなある日、信長に呼び出された小一郎は妻を取るように命令され、安藤守就の娘の慶と対面する。慶の顔を見た小一郎はかなり動揺していた。どこか儚げな空気をまとう慶。直とはかなりタイプが違う。小一郎とは果たしてどのようなカップルになるのだろうか。

SNSでは「兄者は典型的な恋愛結婚で小一郎は典型的な政略結婚か」「成り上がりの有能と、仕官してきた有力者の娘ってのは丁度いい組み合わせかもね」「慶さん、一言もセリフがなかったのにすごい存在感を出してきたな」と、2人へのコメントが集まっている。竹中半兵衛(菅田将暉)も守就の娘を妻に迎えているので、小一郎と半兵衛は義兄弟になる。

慶は豊臣秀長の正室とされる女性で、史料上の名は慈雲院。作中では安藤守就の娘として登場したが、実名は不明であり出自も確定していない。高野山奥之院の石塔銘には慈雲院芳室紹慶と刻まれている。慶という名はここからとられたと推測される。大和郡山城に秀長とともに入り、豊臣家の一角を支えた。史料に乏しいものの、秀長の正室として家政や宗教儀礼を担い、豊臣家の内政面を支えたと伝わっている。

史実では豊臣秀長には3人の実子と3人の養子が存在した。正室である慈雲院との間に羽柴与一郎、側室である光秀尼との間に名称不明の長女と次女のきくが生まれている。また、養子として与一郎の妻だった智勝院、丹羽長秀(池田鉄洋)の三男・藤堂高吉、姉・とも(宮澤エマ)の三男・豊臣秀保を迎えている。与一郎は秀長の唯一の実子の男子で後継ぎと期待されたが、早世したために養子を迎えることにつながった。長女はのちに秀保に嫁ぐ。

きくは毛利元就の四男・穂井田元清の次男・毛利秀元に嫁ぎ、毛利家との関係強化を図った。智勝院は与一郎の妻となったが、与一郎の死後、森忠政に嫁いだ。藤堂高吉は秀吉が秀保を秀長の跡継ぎに推挙したため、家中に居づらくなり藤堂高虎の養子となる。秀保は秀長の正式な後継者として大和郡山100万石を継いだが、1595(文禄4)年に17歳で急死した。この兄弟はどうも男子には恵まれない。与一郎が存命であれば、徳川の天下はなかったかもしれない。