1995年から1996年にかけ、テレビ朝日系で放送された特撮テレビドラマ『重甲ビーファイター』の30周年を記念し、2026年2月21日、東京・池袋「新文芸坐」にて、『放送30周年記念 重甲ビーファイター ビートルブレイク上映』と題したイベントが開催された。テレビシリーズから厳選された4本をスクリーン上映したほか、メインキャスト・スタッフによるトークショーや、主題歌、挿入歌を歌唱した石原慎一のミニライブ、ブルービートの撮影会など、盛りだくさんな内容でファンを魅了。
ここでは当日のもようをレポートすると同時に、イベント終了後に出演者の方々からいただいたアフターコメントをご紹介していこう。
昆虫戦士の勇姿が劇場のスクリーンで復活
1982年『宇宙刑事ギャバン』から始まる「メタルヒーロー」の系譜を継ぐ『重甲ビーファイター』は、人類の科学の粋を集めた強化アーマーと、地球生命の代表である「昆虫」の神秘的な力が融合して誕生した3人の戦士(ブルービート、ジースタッグ、レッドル)の活躍を描く物語。本作では、進歩した文明の代償として失われつつある自然を取り戻そうという「地球環境保護=エコロジー」が重要なテーマに選ばれた。異次元の侵略者ジャマールは、地球の自然を汚し、生物の命を踏みにじる。これに対抗するビーファイターは人類だけでなく、地球に生きる動物、昆虫、植物などあらゆる生命を守る使命を担う「強さ」と「優しさ」を兼ねそなえたヒーローとして描かれた。
誕生30周年を記念し、東映ビデオから2026年6月10日より、『重甲ビーファイター DVD COLLECTION』(1・2)が発売される。本イベント受付では、1・2セットの予約販売が行われた。
東映ビデオと共同で主催を務めたのは、これまで数々の特撮上映イベントを手がけてきたロボ石丸氏。今回上映されたのは、当時『重甲ビーファイター』で助監督を務めた演出家・鈴村展弘監督と石丸氏がテレビシリーズから厳選した4本のエピソードだった。全53話の中からどの話が選ばれたのかは当日まで明かされず、上映直前までファンの期待を高めていた。
「ビートルブレイク上映」ラインナップは次のとおり。
魔道士ジャグールによって「悪の昆虫戦士」=ブラックビートが誕生する第19話「誕生闇の新戦士」
ビーファイターを支えるアースアカデミアの向井博士(演:笹野高史)が、自ら開発した強化アーマーを装着して「ムカイダーK3」となる第38話「博士!愛の重甲」
ブラックビートに「邪甲」する黒衣の男「シャドー」が、その素顔を初めて明かす第43話「見た!黒の素顔」
人類の存亡をかけた戦いと同時に、ブルービートとブラックビートの「最後の対決」が描かれる第51話「光と影の終止符」
忘れえぬ30年前の戦いの日々
上映終了後、ブルービート/甲斐拓也を演じた土屋大輔、ジースタッグ/片霧大作を演じた金井茂、ブラックビート/シャドー役の土屋圭輔、プロデューサー・日笠淳氏がステージに登場。鈴村監督がMCを務め、トークイベントが始まった。
上映された4つのエピソードは、どれも登壇者の思い出に残る傑作ぞろい。コメントを求められた大輔は「上映を観ていて、ずっと泣いていました。当時はオールアフレコだったので、撮影とアフレコで同じセリフを二度言っている。だから、どの話でもかなり細かい部分まで記憶が残っています。本当に懐かしい……」と、思い出深い作品を改めて、ファンと一緒にスクリーンで観られた嬉しさを語った。
金井は30年前のことをふりかえり「ビーファイターをスクリーンで観たのは、第1話の試写以来。あのときの、これから俺たちの1年が始まる……みたいな気持ちを思いだしました。30年後のいま見返すと、演技がちょっとクサいですけどね(笑)」と、自身のデビュー作となった『ビーファイター』に全力を注いでいた当時の思いを語った。
圭輔は双子の兄・大輔より先に俳優として活動し、1993年『五星戦隊ダイレンジャー』でキリンレンジャー/天時星・知(カズ)を演じて人気を博した。『重甲ビーファイター』では、拓也と同じ顔を持つシャドー役で第43話より登場する。それまで『ダイレンジャー』第25話や『忍者戦隊カクレンジャー』(1994年)で「双子共演」は実現していたが、お互いの存在をかけて激突する「拓也VSシャドー」の関係性は、2人にとっても特に思い出深いという。圭輔は『ビーファイター』での共演について「2人とも、似てたよね。一緒に美容院へ行って、同じ髪型にしてくださいってお願いしてました(笑)。一度、拓也とシャドーの衣装を入れ替えて撮った写真があったけど、たぶん誰も気づかないと思う」と、「拓也のクローン」として生まれた悪の戦士シャドーの役作りを徹底していたことを明かした。
『重甲ビーファイター』で、それまで「メタルヒーロー」路線の作品を手がけてきた堀長文氏と共にプロデューサーを務めた日笠氏は「『宇宙刑事シャイダー』(1984年)のころはまだ若手のポジションでしたけど、その後いろいろな作品について経験を重ね、『ビーファイター』のころになると自分の意見がけっこう出せるようになりました。この路線ではひさびさに、巨大メカによる特撮が多くなりました。意識的に『宇宙刑事』のころへ戻ろうとしたのです」と、制作の狙いを語った。30年前のキャスト陣の頑張りについては「当時の映像をちゃんと観返したのは久しぶり。みんな、こんなにカッコよかったのかと改めて驚きました。今回の収穫です」と、今もなお親交のあるキャストたちの若き日の姿に感動したことを打ち明けた。
最後にマイクを手にした大輔は「第51話で拓也がシャドーに向かって言った『俺の心の中で、永久に生き続ける』という言葉を思いだしました。今日来てくださったみなさんの心の中に、ビーファイターが永久に生き続けてくださったら嬉しいです。またお時間があるとき、ビーファイターの戦いを観返してください」と、感慨深い表情を浮かべつつ熱いメッセージをファンに贈った。
魂でつながる3人のビーファイター
そしてこの直後、『ビーファイター』ファンにとってたまらないサプライズ演出が行われた。「二代目レッドル/鷹取舞」を演じた巴千草からの「生電話」が大輔のスマホにつながったのである。初代レッドル/羽山麗(演:葉月レイナ)に代わって第22話「ヒロイン初体験」から登場した舞は、底抜けの明るさとバイタリティで拓也、大作とたちまち意気投合し、ファンからも大好評をもって迎えられた。今は俳優を引退している巴だが、マイクを通じて聞こえてきた声は元気な舞そのもの。久々に仲間の声を聞くことができた大輔、金井、圭輔の顔も自然にほころんでいた。やがて巴による「3人で言おうか、重甲って!」の提案を受け、大輔、金井、巴が声を合わせて「重甲!」のかけ声を披露。声だけとはいえ、ビーファイター3人そろいの重甲が実現したことで、客席からは興奮のどよめきと拍手がまきおこった。
大興奮! 石原慎一がミニライブで熱唱
トークコーナーに続いて、石原慎一による『重甲ビーファイター』ミニライブが始まった。石原は「重甲ビーファイター」(オープニングテーマ)、「黒き十字架 BLACK BEET.」、「戦え!!メガヘラクレス」、「しあわせはいつも遅れて来るから」、「出撃!ビートマシン」、「地球孝行」(エンディングテーマ)の6曲を、軽快なトークを織り込みながらダイナミックに熱唱。ミニライブの枠を大幅に超えた盛りだくさんな内容に、ファンのボルテージも急上昇した。
ふたたびステージに立った拓也(大輔)は、ビーコマンダーを構えて「重甲」ポーズを決めた。するとインセクトアーマーが瞬時に形成され、青き昆虫戦士「ブルービート」がその雄姿をファンの前に現した。
出演者によるアフターコメント
ここからは、トークショー出演者(鈴村展弘監督、日笠淳プロデューサー、土屋圭輔、金井茂、土屋大輔)によるイベント終了直後のコメントをご紹介していこう。
鈴村展弘監督
「今回来てくださったファンの方たちから『30年たってもビーファイターが今の自分の指針になっている』と言われると、あのときスタッフとして参加できてよかったなと思います。『ビーファイター』は私が助監督としてついた作品としては4作目。当時はがむしゃらにやっていただけでしたが、改めて映像を観返すと懐かしさと共に新しさも感じられ、よくできているなと感心しました。4本上映しましたけれど、ブラックビート/シャドーを中心としたシリアスな話がメインになる中で、コミカルな回が1本くらいあってもいいかなと思い、第38話を強く推しました。笹野さんが回想シーンで、やけに不自然なカツラを被っていたのが面白かったですよね(笑)」
日笠淳プロデューサー
「今日の上映で、個人的に印象深かったのは第43話、シャドーが素顔をあらわして、みんなが驚くあたりですね。あそこから終盤にかけて、いろいろやりすぎたかなと思えるくらいストーリーがシリアスになっていきました。『重甲ビーファイター』は予定よりも1ヶ月、放送が延びることになり、頭を使って、若干無理をしつつ(笑)エピソードを作っていたのを思いだします。第52、53話でジャンパーソンやブルースワットが出てくるのも、そういう理由からでした。イベントには当時子どもだった人たちがたくさん来てくれたみたいですね。彼らが30年の時を経て、ふたたびヒーロー(ブルービート)に会えてよかったと思います。また条件がうまくあえば、他のヒーローやヒロインとの再会を果たせる催しをやってもらいたいです」
土屋圭輔
「小さいころに好きだったヒーローたちに、大人になって会いに来てくれた。その気持ちだけで嬉しくなりますね。僕も大輔も、まだまだ元気でいなくちゃって思います。上映エピソードで特に印象的だったのは、第51話で僕(シャドー)が拓也の前で消滅するくだりです。もちろん30年後のいま観返すと恥ずかしいところもありますけど(笑)、あのときの自分ができることを精一杯やったという意味で、忘れられないですね。ああ、俺だけ消えちゃって切ないなあって(笑)。シャドーと拓也、兄弟であそこまでガッツリ共演した作品も、他にはないですから『重甲ビーファイター』には思い入れが強いです。またファンのみなさんと、どこかでお会いできればうれしいですね」
金井茂
「当時は無我夢中でやっていて、力が入っていましたね。たいへんだったこともたくさんあったはずなのですが、今では楽しかった思い出しか残っていません。上映作品の中では、向井博士が活躍する第38話がすごく面白くて、大好きです(笑)。また第43話でシャドーが帽子を取って素顔をあらわすところ、拓也と同じ顔が出てきて周囲のみんな……敵も味方もビックリする、あのストップモーションがすごくいいですね。今観返しても、鳥肌が立つような興奮を覚えます。『ビーファイター』は地球環境を守るヒーローでしたけれど、私も近年「地球孝行隊」と題して街の美化活動を行っています。最初は単純に、目の前のごみを拾うと街がきれいになるという自己満足的な面白さだったところ、SNSで活動のことを広めてみると、ファンの方たちが遠方からかけつけてくれたりして、大勢の人たちが盛り上げてくださった。これもビーファイターからもたらされた『ご縁』だと思っています」
土屋大輔
「今日イベントに来てくれたみなさんが、僕と同じくらい『重甲ビーファイター』が大好きでいてくれている……。そう思うと、また泣いちゃうかもしれません(笑)。ファンのみなさん、ひとりひとり抱きしめたいくらい愛おしく思っています! 上映作品ではやっぱり拓也とシャドーが対決する第51話が特に好き。すべてのキャスト、スタッフの心が同じ方向を向いていて、はりつめた空気でみんなほとんど会話していなかったですね。最後に拓也が目を開くシーンを撮ったときの熱い思いは、今もなお僕の心の中で鮮明に残っています。またいつか、甲斐拓也としてファンのみなさんとお会いしたいですね。そんな時が来るまで、お互いに元気でいましょう!!」
『重甲ビーファイター DVD COLLECTION VOL.1・2セット』は2026年6月10日発売。東映ビデオオンラインショップでの購入特典として、『放送30周年記念『重甲ビーファイター』ビートルブレイク上映 トーク部分ダイジェスト』を収録したスペシャルディスク(DVD)が付属する。
(C)東映





































