放送倫理・番組向上機構(BPO)の青少年委員会が2月の会合で、ABCテレビのバラエティ番組『探偵!ナイトスクープ』(毎週金曜23:17~)に寄せられた視聴者意見をめぐり議論を行い、その議事概要を公表した。

同番組の企画に対しては、「ヤングケアラーではないか」といった指摘が視聴者から寄せられ、出演家族へのSNS上の批判なども発生していた。委員会では、番組演出のあり方や出演者保護の観点などについて意見が交わされた。

  • BPO事務局が入る千代田放送会館

    BPO事務局が入る千代田放送会館

問題となったのは、12歳の男児が「6人きょうだいの長男を代わってほしい」と番組に依頼し、芸人のリポーターが弟妹5人の世話役となって家事や育児を担当する様子が描かれた放送。

この内容に対し、視聴者から「長男が疲弊している姿は“ヤングケアラー”に相当するのではないか」「児童相談所に通報すべきではないか」といった声が寄せられたほか、両親の育児放棄を疑う意見も上がった。

これを受けてABCテレビは、番組放送後に公式サイトで声明を発表。番組には編集や構成上の演出が含まれていること、12歳男児の依頼文は番組用に構成・改稿したものであることを明かした。その上で、取材対象となった家族が「SNSなどで強い批判や誹謗中傷、詮索にさらされている」とし、強い懸念を表明している。

青少年委員会の担当委員は「今回のような演出を行えば、母親が運用するSNSのアカウントも存在することから、両親への批判や誹謗中傷が殺到する可能性は想像できたのではないか」と指摘。「出演者の保護という観点に抜かりがなければ、ここまで大きな事態にはならなかったのではないかと感じる」と述べた。

一方で、この委員は「放送局の声明を読めば、すでにその点について自覚的であり、重く受け止めていることが分かる。これ以上の追及は必要ないだろう」とも報告している。

別の委員は、放送内容を踏まえた上で、「6人きょうだいが育児放棄されている子どもの顔ではないことは、番組をきちんと見れば分かる」と言及。「12歳の長男も学校に通い、好きなバスケットボールを習っている。これが児童相談所に通報すべき案件かと問われたら、絶対に違うと思う」との見解を示した。

さらに、別の委員は「受け手がどのような人かによって、番組の受け取り方は変わる」と指摘。ヤングケアラーが社会問題として広く認識されている状況を踏まえ、「問題意識の高い人ほど敏感に反応してしまう可能性がある。放送局は、こうした反応が起こり得ることも考慮する必要があるだろう」と述べた。

また、別の委員はSNS上での反応が家族に与える影響にも言及。「両親がネットで責められる状況を見て、12歳の長男は“自分がしてしまったことなのではないか”と感じてつらかったのではないか」と推察。その上で「放送局には、この件を警鐘として受け止めてほしい。一般の人を番組で取り上げる際、一つの家族が大きな試練に直面する可能性があることを踏まえ、そうした事態を避けるための配慮を共有してほしい」とまとめた。

この会合ではこの件以外に大きな議論となる番組はなく、「討論」に進む案件はなかった。