主要23作がそろった2026年冬ドラマ。今回もドラマ解説者の木村隆志が、主要新作の初回放送をウォッチし、俳優名や視聴率など「業界のしがらみを無視」したガチンコでオススメ作品を探っていく。

別記事(「近年でも最高水準」「さすがの完成度」「刑事ドラマに一石」2026年冬ドラマのオススメ5作は? ドラマ解説者が23作の傾向を徹底分析) において2026年冬ドラマの主な傾向を【[1]「オリジナルで真っ向勝負」の背景 [2]「嘘」が渦巻く物語が続出】の2つと解説。

おすすめドラマとして、『東京P.D. 警視庁広報2係』(フジ系 火曜21時)、『終のひと』(TBS系 火曜24時58分)、『リブート』(TBS系 日曜21時)、『ラムネモンキー』(フジ系 水曜22時)、『再会~Silent Truth~』(テレ朝系 火曜21時)の5作を選んだ。

本記事では、それらを含む主要22作のレビューと目安の採点(3点満点)を挙げていく。

『ヤンドク!』 月曜21時~ フジ系

出演者:橋本環奈、向井理、宮世琉弥ほか
寸評:“元ヤンキーの医者”という設定が「実話ベースなのに漫画原作ではないか」と誤解されがちなのが誤算か。医者になったきっかけやカテーテルとの二刀流など忠実な作品なのにもったいない感がある。橋本にヤンキーの役は過去作が思い浮かぶだけに、より大きな演技を求めている感があり、視聴者を選んでしまうほどの過剰さが気がかり。手術シーンのアニメ化は脳神経外科であることを踏まえれば妥当か。
採点:【脚本☆☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆☆】

  • 橋本環奈

    橋本環奈

『夫に間違いありません』 月曜22時~ カンテレ・フジ系

出演者:松下奈緒、桜井ユキ、安田顕ほか
寸評:実在の出来事をベースにした物語であり、「遺体の人違いによって、死んだはずの夫が帰ってきた」という第1話は見事。ただ、保険金詐欺、殺人、政治家汚職と、入口のテーマを離れて単にダメな人間たちのドラマになりつつある。「嘘をつき通せるのか」というテーマがブレるほどの大罪が続いたからか、逆にサスペンスは薄れてしまった。
採点:【脚本☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆☆】

  • 松下奈緒

    松下奈緒

『替え玉ブラヴォー!』 月~木曜22時45分~ NHK総合

出演者:北香那、天野はな、駒木根葵汰ほか
寸評:クラシックバレエとラーメンをモチーフにしつつ描きたいのは女の友情。仕事と恋でつまずき、親友から絶交された主人公の徹底した痛々しさに引きつけられる。勝ち気でデリカシーがなく空回りし続けるタイプの主人公は珍しい一方、牛歩のような成長を重ねる様子は帯ドラマらしい。フレッシュなキャストだけに5週で終わらせず続編も期待。
採点:【脚本☆☆ 演出☆☆ キャスト☆☆☆ 期待度☆☆】

  • 北香那

    北香那

『キンパとおにぎり~恋するふたりは似ていてちがう~』 月曜23時6分~ テレ東

出演者:赤楚衛二、カン・へウォン、ムン・ジフほか
寸評:このところ日韓の俳優を起用したラブストーリーが増えているが、ピュアさではトップクラス。良くも悪くも、まじめでさわやかな2人の恋を応援せずにはいられないムードが漂っている。となれば重要なのは2人を隔てる“障壁”だが、文化や価値観の違いだけでは盛り上がりに欠けそう。カン・へウォンは多くの日本人にとって新鮮なヒロインだけに、彼女をどう魅力的に見せるかが成否の鍵を握る。
採点:【脚本☆☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆☆】

  • 赤楚衛二

    赤楚衛二

『再会~Silent Truth~』 火曜21時~ テレ朝系

出演者:竹内涼真、井上真央、瀬戸康史ほか
寸評:「タイムカプセルをめぐって過去と現在を行き来する物語」は定番化しているが、「拳銃を隠した」という刺激的な設定でサスペンス感はアップ。原作小説からミステリーを深め、主人公を魅力的な人物にするなど連ドラ仕様の巧みな脚色が見られる。バディも性別を変えて江口のりこを起用するなどプロデュースの精度が高い。ただ、序盤は物語の進展がスローで、事件の衝撃が薄れはじめているのが気がかり。
採点:【脚本☆☆ 演出☆☆☆ キャスト☆☆☆ 期待度☆☆☆】

  • 竹内涼真

    竹内涼真

『東京P.D. 警視庁広報2係』 火曜21時~ フジ系

出演者:福士蒼汰、吉川愛、緒形直人ほか
寸評:笑いを排除した社会派ドキュメントのムードを漂わせながら、しっかりエンタメ作としての起伏を盛り込むなどバランスは上々。同枠で放送された『ストロベリーナイト』『絶対零度』『ジョーカー』のような怖さがありながら、それが犯人ではなく警察やメディアであるところがむしろ恐ろしい。隠蔽の闇、実名報道の功罪など、各話のテーマ設定もストレートで見応え十分。1話完結ではなく2話完結で1つのテーマをしっかり掘り下げている。刑事ドラマにおける「見やすさ重視」「解決ありき」の安易な1話完結にくさびを打つという点でも貴重。
採点:【脚本☆☆☆ 演出☆☆☆ キャスト☆☆☆ 期待度☆☆☆】

  • 福士蒼汰

    福士蒼汰

『テミスの不確かな法廷』 火曜22時~ NHK総合

出演者:松山ケンイチ、鳴海唯、恒松祐里ほか
寸評:発達障害を抱える裁判官は魅力たっぷり。生きづらさを抱えながらも、まっすぐに事件と向き合い、率直かつ誠実であり続けようとする姿に「理想の裁判官」を見る人は多いだろう。障害に由来した自信のなさと、「わからないことがわからないと、わからないことがわからない」と言い切れる力強さが同居した唯一無二の主人公を松山が好演している。弁護士役を演じる鳴海とのやり取りも含め、AIなどで表面的な効率を求めがちな現状へのカウンターを感じる作品。
採点:【脚本☆☆☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆☆】

  • 松山ケンイチ 撮影:蔦野裕

    松山ケンイチ 撮影:蔦野裕

『未来のムスコ』 火曜22時~ TBS系

出演者:志田未来、塩野瑛久、小瀧望ほか
寸評:入口は「子どものタイムスリップ」というライトファンタジーであり、さらに「主人公の夫・まーくんは誰なのか」をめぐるライトミステリーを加えたわかりやすさ重視の作品。「ヒロインのパートナーをめぐる3人の男」という設定は生見愛瑠主演の『くるり~誰が私と恋をした?~』に似ている。ただし、恋よりも突然の子育てに奮闘する物語は志田にフィット。軽いコンセプトのため没入感こそ少ないが、ほどよく共感を誘う『火曜ドラマ』に最適な作品に見える。
採点:【脚本☆☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆☆】

  • 志田未来 撮影:河鰭悠太郎

    志田未来 撮影:河鰭悠太郎