俳優の反町隆史、大森南朋、津田健次郎のトリプル主演で、“こんなはずじゃなかった”大人たちの再会と再生を描いた「1988青春回収ヒューマンコメディ」のフジテレビ系ドラマ『ラムネモンキー』(毎週水曜22:00~ ※TVer、FODで配信/FODで次話先行配信)の第1話が、14日に放送された。
UFOや、アニメ『機動戦士ガンダム』の話題など、80年代に流行りまくった懐かしいネタの数々に、SNSでは驚きや戸惑い、ツッコミや笑いなど、多くの反響が上がっている。
【第1話あらすじ】3人の記憶はどこまでが正解なのか
多澤物産の営業部長・吉井雄太(反町隆史)は公私ともに順風満帆だったが、贈賄の容疑で突然逮捕されてしまう。釈放されたが仕事には復帰できず、自宅待機を強いられる雄太。
映画監督の藤巻肇(大森南朋)は、こだわりの強さと偏屈さで徐々に仕事が減り、ついに自らが持ち込んだ連続ドラマの監督を外されてしまう。
そんな人生の岐路に立った2人のもとに、ある日、「キンポー」と名乗る人物からメッセージが届く。そこには「建設現場から人骨。丹辺市」というニュースのリンクが付いていた。メッセージの送り主・菊原紀介(津田健次郎)は、小さな理容室を営みながら認知症を患う母親の介護に追われていた。
1988年の丹辺市。2学期の初日、野球部を退部になった中学2年生の「ユン」こと雄太(大角英夫)は、映画研究部を作りたい「チェン」こと肇(青木奏)と「キンポー」こと紀介(内田煌音)から入部しないかと誘われる。しかしユンは2人を「おたく」と見下し、チェンとケンカになる。そこへ臨時教師の宮下未散(木竜麻生)が通りかかり、2人を仲裁する。「マチルダみたいだ」と見惚れるチェンとキンポー。
時は現代へ。雄太の元には裁判所から起訴状が届く。一方の肇もその日暮らしの仕事に追われる。どん詰まりの2人は紀介の理容室を訪れる。再会するなり、あの頃の空気が蘇る3人。かつて住んでいた丹辺市を訪れた雄太たちは、昔話に花を咲かせるうちに妙な記憶を思い出す。紀介が自宅で見つけたという紙には「行方不明」の文字とマチルダの写真が。
37年ぶりに再会した3人は、丹辺市へ。過去、映画研究会の部室があったレンタルビデオ店は「ガンダーラ珈琲」という喫茶店になっていた。そこで出会ったコミュ障の店員・西野白馬(福本莉子)の前で、ガンダムや映画ネタなど当時の話題で盛り上がりまくる3人。やがて話は、部活顧問だったマチルダへ移り、発見された人骨の話題に。そこで、実は白馬がその第一発見者だったということが判明する。
現場へ急行する3人と白馬。工事現場の泥をかき分けて見つけたのは、マチルダが使用していたボールペンだった──。
放送前の“警告”は本当だった!
今作は『コンフィデンスマンJP』『リーガルハイ』『デート~恋とはどんなものかしら~』『どうする家康』などを手がけた、古沢良太氏によるオリジナル脚本。そんな彼が放送前に発していた“警告”は本当だった!
古沢氏は公式ホームページでこのようにコメントを発表している──「中二病全開だったころの自分を、恥ずかしく葬り去りたいとずっと思っていたけれど、いつしか眩(まぶ)しく取り戻したいと思うようになっていました。そんな恥ずかしい気分で、迷える大人たちのちょっと変わった話を書きまして、素晴らしい方々が集まってくださいました。こっそり見てください。恥ずかしい気分になるかもしれませんので。だってどうせみんなも永遠の中二病でしょう?」
そう。本作は、どこか見ていて、その気恥ずかしさにムズムズしてしまうのだ…。
いや。「昨今のドラマの中でも抜群に面白い!」と感じた前提で、である。まずあだ名についてだが、「チェン」はジャッキー・チェン、「キンポー」はサモ・ハン・キンポー、「ユン」はユン・ピョウからのオマージュだと思われる。この当時はカンフー映画が大人気だったが、なかでも映画『プロジェクトA』など、ジャッキー、サモ・ハン、ユン・ピョウら豪華トリオが出演する映画は特にスペシャル感があった。
本作も反町、大森、津田と豪華トリオによるトリプル主演で、すでにそこに、あだ名からかぶせた仕掛けがあるように思う。──ではこれらの何が恥ずかしいのか?
まず、当時のカンフー映画ファンの間では、この3人のうち誰が好きかという派閥があった。筆者(※1972年生まれ)も当時、誰が魅力的かをさんざん友人たちと語り合い、喧々諤々(けんけんがくがく)と議論した記憶がある(結果、ユン・ピョウを選んだ)。
同じように、主演の3人も劇中で、ガンダムに出てくる女性登場人物のセイラ、フラウ・ボウ、ハモンの誰がいい女かで議論を重ねている。さらには、映画撮影で自分流のカンフーを披露する場面。…正直、筆者もこれ、やりました。カンフー映画のマネをしながら、カンフーっぽい動きを皆でやって遊んでいました。まだあの時、小学生だったんです、ごめんなさい、許してください…。
──と、いった風に、自分の黒歴史を見せられているようで気恥ずかしい(※この「黒歴史」という言葉も『ガンダム』シリーズから生まれた言葉である)。他にも、映画好きにはたまらない、デビッド・リンチやフランシス・コッポラなど、その名を出せばインテリ感が出せる監督の名前が挙がるなどしていた。筆者も、よくこれら監督の名を出してイキって映画を語っていました。ほんと、ごめんなさい、それが格好いいと思ってたんです…。
昨今、80年代を懐かしがるドラマが増えているが、メインカルチャーが取り上げられることが多かった。だが本作では、オタク系サブカルチャーで80年代を回顧している。その中二病的部分をえぐるのが異常に巧みだ。まさに「古沢氏の手のひらの上で、黒歴史を見事なまでに転がされた」、そんな感のある第1話だった。


