連続テレビ小説『あんぱん』のスピンオフとなるオーディオドラマ『さいごのうた』が、NHK-FMにて1月3日(22:00~22:50)に放送される。主演はMrs. GREEN APPLEの大森元貴。『あんぱん』本編に続き、数多くの名曲を生み出した昭和の名作曲家・いずみたくさんがモデルのいせたくやを演じている。本作の制作の経緯や裏話などを制作統括の倉崎憲チーフ・プロデューサーに聞いた。
『あんぱん』は漫画家・やなせたかしさんと妻・暢さん夫婦をモデルに、朝田のぶ(今田美桜)と柳井嵩(北村匠海)が『アンパンマン』にたどり着くまでを描いた物語(NHK ONEで総集編が配信中)。『さいごのうた』では、たくやの晩年を描く。日本のミュージカルでアメリカ公演を成功させるという夢を叶えるも、嵩とのアンパンマンミュージカルの作曲中、突然倒れてしまうたくや。「もう仕事はできない」と告げられ絶望していたある日、看病する妻・薫から「嵩さんから」と一通の手紙を渡される。そこには、ミュージカルの新しい歌詞が書かれてあり、たくやは嵩とのある約束を胸に、最後の力を振り絞ってメロディーを紡ぐ。
倉崎氏が初めてラジオドラマを手掛けたのは2013年放送の『世界から猫が消えたなら』(妻夫木聡主演)。そのときから「ラジオドラマはとても奥深い」と感じ、『あんぱん』を担当する前から、朝ドラのCP(チーフ・プロデューサー)を務める機会があったらスピンオフとしてオーディオドラマも作りたいと考えていたという。
「数年前からオーディオドラマ班のCPからも相談されていて、ラジオドラマをもっと多くの人に届けたいということで、大河ドラマや朝ドラなど強いコンテンツを関連付けてラジオドラマにしていくことが、ラジオドラマの魅力を伝えることにもなると思っていました」
実際に『あんぱん』のスピンオフオーディオドラマが動き出したのは、2025年の夏頃だった。
「『あんぱん』をあらゆるアウトプット、表現で届けたいという思いが強く、いくらでもスピンオフが作れるなと思っていて。『あんぱん』の収録の終わりが見えてきた頃に、すでに映像のスピンオフはやることが決まっていましたが、いろんな形で物語を作りたいという思いがあったので、オーディオドラマ班にも相談して『あんぱん』のスピンオフをやりたいと話したら、ぜひやってくださいと言っていただけて、何ができるかブレストし始めました」
脚本は『あんぱん』に脚本協力として参加していた三谷昌登氏、演出も『あんぱん』に携わっていた小林彩里氏が担当。彼らと話し合いを重ねる中で、本編で描けなかったたくやの晩年を描くことに決まった。
「本編で描けなかったのですが、いずみたくさんが手掛けた最後の曲は描きたいなと思っていて。晩年ご病気になられて、やなせさんから『すすめ!アンパンマン号』の作曲を依頼されるも病床で自分は書くことすらできなくなってしまって、奥さんに代わりに書いてもらったというのは史実なんです。すごいエピソードだなと思って、執念というか、やなせさんといずみたくさんの絆の強さを物語るエピソードですし、オーディオドラマでいせたくやの晩年の物語を描くことになりました」
声が本業の大森だからこそ「オーディオドラマにハマると」 本人も快諾
大森の才能にも魅せられ、大森を主演にしたいという思いもあったという。
「大森元貴さんの声はすごいなと改めて思うんです。オーディオドラマは初挑戦らしく、大森さんのいろんな表現を個人的にも見てみたいという思いもありましたし、大森さんの才能の凄まじさを、オーディオドラマでまた違った彼の魅力を引き出せるのではないかなというゾクゾク感やワクワク感がありました。声が本業の方なので、声が勝負のオーディオドラマにハマると思いましたし、大森さんを愛している人は世の中にたくさんいるので、多くの人に届けられるのではないかなという期待も含めてオファーさせていただきました」
大森本人も「やりたい! 絶対やる!」と快諾したそうで、制作が実現。倉崎氏は、収録で改めて大森の声の魅力を感じたと語る。
「声だけの世界ですが、彼の芝居を聴いていると、すごく心地いいんです。声だけで表現しているのに、目の前にたくちゃんがいるように感じられて、こういう手振りしているんだろうなとか、こういう表情で歩いてきているんだろうなというのが想像できて」
声で勝負しているアーティストだからこその表現力が存分に生かされている本作。倉崎氏は「大森さんの声に日本中、世界中の人たちが惚れ、惹かれているわけで、オーディオドラマと大森さんの相性は抜群にいいと思いました」と語る。
