映画で俳優デビュー、そしてテレビドラマデビューを飾ったNHK連続テレビ小説『どんど晴れ』から20年弱。テレビに映画に舞台にと、活躍を続けている比嘉愛未の最新出演ドラマが『にこたま』(FODとPrime Videoで26日配信スタート、毎週金曜20:00最新話配信)だ。話題を集めた配信ドラマ『1122 いいふうふ』の原作者・渡辺ペコ氏による同名原作コミックのドラマ化であり、恋人、結婚、家族といった身近なテーマの“当たり前”を見つめ直す、より今響く作品になっている。

比嘉が演じるのは、キャリアを重ねる中で妊娠が発覚し、人生の選択に向き合うことになる女性・高野ゆう子。一見、強く見えて奥に思いや事情を抱える女性を演じることの多い比嘉だが、高野が口にする「大丈夫」は、自分自身の口グセでもあるという。そんな自分に向き合い、故郷の“おばあ”に言われた言葉も胸に、これからも「自分で納得して選択してアップグレードしてきたい」と語った。

  • 比嘉愛未 撮影:望月ふみ

    比嘉愛未 撮影:望月ふみ

役柄と同じ「大丈夫」が口グセに

――長年同棲を続けてきたカップルの温子(橋本愛)と晃平(瀬戸康史)を軸に、晃平の同僚・高野も交えた大人たちの葛藤を見つめていく物語です。本作が決まったときの感想を教えてください。

今回のお話を頂く前に、渡辺ペコさん原作のドラマ『1122 いいふうふ』が話題になっていました。静かにうごめいている人間模様が面白いなと思って、私も拝見していたんです。ドラマから入って原作も読みましたが、渡辺さんの世界観や愛情が好きだと感じていました。価値観が凝り固まっていない柔軟性といいますか。そんなところでのオファーだったので純粋に「これはうれしい!」というのが最初でした。

――今回の作品も原作を読まれて。

はい。はじめは内容的に最近描かれたものだと思ったのですが、12年前くらいの作品ということで驚きました。その間に、結婚観や男女の向き合い方とか、個人の生き方といったものがだいぶ変わりましたから。12年前よりも、いまの、特に働いている女性に響く人が多い作品だと感じました。

――高野は未婚の状態で妊娠に気づき、人生のターニングポイントに立つ働く女性です。共感する人がより多いキャラクターかなと。

そうですね。私自身、一番好きなキャラクターです。妊娠に関しては、私は現実では経験がないので、まずは彼女自身を考えていきました。忙しい母親のもとで育って、孤独を抱えた幼少期だったのかなと。あまり表情を変えることのない今の高野が出来上がったのも、自分が生きていく上での処世術というか、自分を守る術だったのかなと感じました。キャリアを積み重ねていったのも、そうした理由が大きいのかなと思います。

私はありがたいことに、家族の支えのある環境で育ちましたが、早くに親元を離れました。そして芸能の世界でがむしゃらに走ってきました。喜びもあったけれど、もちろん傷つくこともありました。そうしたなかで自分のガードを作ってきた自覚はあったので、そういった部分は彼女にすごく共感しました。

――高野もガードを作って生きてきたのだろうと。

本当の自分が弱いということも自覚しているんですよね。それで逆に頑張ってしまう。私、口グセが「大丈夫です」なんです。

――「大丈夫」と言う人は、大丈夫ではないことが多いです(苦笑)

自覚しているのに、クセで「大丈夫」と言ってしまうんです。高野も、第1話の最後に、「大丈夫」と口にします。彼女の場合は、自分の決めたことを伝えていて本心なんですけど、でもそこに意地も入っているというか。そのいじらしさや不器用さが共感できて、この人のことをもっと深堀りしたいと感じました。

――比嘉さんは、強く見える女性を演じることが多いですが、それだけではない、奥に深みを感じさせてくれます。比嘉さん自身の持っている魅力であり武器なのかなと。

え!褒められた! …って、すぐ茶化しちゃう。恥ずかしくなっちゃって(笑)。でもたしかに演じる人物が表面的になってしまっては、見ている人に伝わらないと感じています。それにしても本当にそういう役が多いです。何かを抱えながら、それでも強く進む女性、みたいな(笑)。それを私が演じることで、最終的には誰かの背中を押せたなら幸せだなと思ってやってきました。高野はちょっと形は違いますけど、彼女も強さの奥に思いを抱えた女性ではありますね。そういう使命があるのでしょうか(笑)