東映が製作した人気特撮シリーズ「スーパー戦隊シリーズ」の第29作『魔法戦隊マジレンジャー』(2005年)が、今年(2025年)で放送開始20周年を迎えた。これを記念して、12月14日には東京ドームシティ・シアターGロッソにて『魔法戦隊マジレンジャー 20th Anniversary お久しぶり!魔法家族 ~マージ・ジルマ・マジ・ジジル~ at シアターGロッソ』という豪華イベントが開催されることとなった。

『魔法戦隊マジレンジャー』の大きな魅力は、「魔法」をモチーフとしたファンタジックな世界観と、家族愛、兄妹愛をストレートに打ち出した感動的なドラマ展開である。

  • 12月14日開催『魔法戦隊マジレンジャー 20th Anniversary お久しぶり!魔法家族 ~マージ・ジルマ・マジ・ジジル~ at シアターGロッソ』

    12月14日開催『魔法戦隊マジレンジャー 20th Anniversary お久しぶり!魔法家族 ~マージ・ジルマ・マジ・ジジル~ at シアターGロッソ』

かつて、天空聖者たちに封印された地底冥府インフェルシアがふたたび地上へと侵攻を開始。魔法使いの母(マジマザー)深雪(演:渡辺梓)の5人の子どもは、魔法戦隊マジレンジャーに「魔法変身」し、力を合わせてインフェルシアと戦う運命を受け入れる。

呪文を唱えればなんでも思いどおりになると思われがちな「魔法」だが、高度な魔法を使いこなすためには、それなりの「人間力」が必要になる。本作では「勇気」というキーワードを用いて、家族を想う兄妹ひとりひとりが勇気をふりしぼることで、新しい呪文が降臨するという設定を採用。インフェルシアとの過酷な戦いを通じて、三男マジレッド=魁(演:橋本淳)、次男マジイエロー=翼(演:松本寛也)、次女マジブルー=麗(演:甲斐麻美)、長女マジピンク=芳香(演:別府あゆみ)、長男マジグリーン=蒔人(演:伊藤友樹)が少しずつ人間として、魔法使いとして成長を重ねる姿がドラマチックに描かれた。途中、天空聖者サンジェルことマジシャイン=ヒカル(演:市川洋介)が魔法の「先生」となり、次第に激化するインフェルシアとの戦いに対抗できるよう兄妹を導いていった。

家族の絆の大切さや、兄妹が力を合わせて困難に立ち向かう尊さを描き上げた『魔法戦隊マジレンジャー』。ここでは1年間にわたる魔法使いたちの壮絶な戦いから、いくつか「感動のエピソード」をピックアップ。再視聴の手引きとなるよう簡単な解説を試みた。

Stage.2 勇気を出して ~マージ・マジ・マジカ~

前回となる第1話で、初めて「魔法変身」を行ったマジレンジャー。しかし母・深雪を失った悲しみが深すぎて、翼や芳香はインフェルシアとの戦いを続けていくことができない。そんな2人だが、深雪の残した「最後のメッセージ」を聞いたことがきっかけとなって戦う勇気が復活する。

2人の「あきらめない」という気持ちに魔法が応え、新たなる呪文によってマジレンジャー5人がそれぞれ巨大な「マジマジン」へ変身する力を得る。今回で、母だけでなく亡き父親も魔法使い=天空聖者であったことが判明。地上界(人類)を守るため、命をささげた両親の思いを受け継ぎ、悪と戦う決意を固める翼、芳香の勇気が観る者の胸を打つ。

Stage.27 俺たちの絆 〜マジーネ・マジーネ〜

冥獣人四底王のひとりシチジューローの剣により、小津兄妹の「絆」が断ち切られてしまった。このため、魁、翼、麗、芳香は蒔人との共同生活を拒絶し、戦いのときだけしか集まらないようになる。戦う意思や正義の心はそのままでも、お互いを思いやることのできない5人は著しく戦力がダウン。失われた弟・妹との絆を取り戻そうと懸命に努力する長男・蒔人の姿を通じて、マジレンジャーがただ敵と戦うために結成されたチームとは違い「兄妹戦隊」でなければならない「理由」が明確に語られている。

冷静に事態を見守っていたヒカルは、兄妹の「奇跡を起こす絆の力」を目の当たりにして、蒔人を「新しい伝説の作り手」だと確信。兄妹愛、家族愛のすばらしさを過酷な試練と共に描いた傑作エピソードだ。

Stage.28 永遠に… 〜ジルマ・マジ・マジ・マジーネ〜

翼が心惹かれた美女・間宮レイは冥獣人ネリエスの手先にされており、美しい歌声で人間を次々に惑わせる役割を担っていた。レイがすでにこの世の者ではないと知りつつも、翼は彼女を連れて逃げようとする。今回は、常にトレーニングを欠かさないストイックなボクサー・翼にスポットを当てた切ないラブストーリー。

はかなげな美しさを秘めたレイをネリエスから引き離し、助けたいと願う翼の情熱的な行動に注目したい。大きな樹の下で寄り添い、見つめ合う2人がほんの少しだけ、安らぎの時間を過ごすシーンが強い印象を残す。やがてレイは完全にネリエスの体内に取り込まれてしまうが、それでも翼は懸命に呪文を唱え、彼女を救い出そうとする。彼の強い愛の力が、ヒカルをも驚かせる「奇跡」を呼び起こすシーンは圧巻といえる。

Stage.44 母さんの匂い ~ジルマ・ジルマ・ゴンガ〜

恐るべき冥府神のひとり・トードの「コレクション」となって、深雪が生きていることが判明した。マジレンジャーはついに深雪を助け出すことに成功するが、トードはコレクションを奪われるくらいなら……と深雪を破壊してしまった。かつてない衝撃を受けるマジレンジャーだが、翼は決してあきらめず「感覚をとぎすます呪文」を唱えて深雪を見つけ出そうと努力を続ける。

およそ1年もの間、インフェルシアとの戦いを得てたくましく成長した5人の兄妹と、深雪が涙の再会を果たすシーンが今回の見どころ。これまでの彼らの苦難の数々を見守ってきた視聴者としても、心がゆさぶられるほど喜ばしい瞬間であった。一方、小津家の父である天空聖者ブレイジェル=勇(演:磯部勉)の変身した姿・ウルザードが奈落の底に落下するというサスペンスも盛り込まれ、次回に興味をつないでいる。

Stage.47 君にかける魔法 ~ルルド・ゴルディーロ~

絶対神「ン・マ」が復活し、世界崩壊の危機が迫る中、来たるべき戦いに備えてヒカルが天空聖界マジトピアへ戻ることになった。しかしそれは、互いに想いを寄せあう麗との永遠の別れを意味していた。旅立ちの前にヒカルと麗がしばし戦いを忘れ、動物園でデートを行うほほえましい場面が見られた。やがてヒカルは決意を固め、麗にプロポーズを敢行。父・勇と母・深雪もこれを祝福し、スピーディに段取りが組まれて小津家での結婚式が挙げられた。

「戦いが終わった後(最終回)」や「後日談」ではなく、作戦のための偽装結婚でもない、テレビ放送の途中で結婚式まで進んだ戦隊ヒーロー同士のカップルは、マジシャインとマジブルーが「スーパー戦隊シリーズ」史上唯一(2025年現在)。魔法戦隊から「魔法家族」に発展を遂げた瞬間である。これから命を懸けた壮絶な戦いが始まるという中にあって、不安な思いを断ち切り、お互いを強く思いやるヒカル&麗の勇気と愛情にあふれた行動が、観る者の心をも熱くさせた。

  • 放送20周年を記念し、TVシリーズのBlu-ray「魔法戦隊マジレンジャー Blu-ray COLLECTION」(全3巻)も12月3日に発売

    放送20周年を記念し、TVシリーズのBlu-ray「魔法戦隊マジレンジャー Blu-ray COLLECTION」(全3巻)も12月3日に発売

今回ご紹介した以外にも、『魔法戦隊マジレンジャー』には愛と勇気に満ちた感動的なエピソードや、視聴者に大きな夢や冒険心を与えてくれるファンタジックなエピソードが多数存在する。何度も絶望的な苦境に立たされた小津兄妹だが、それでも決してあきらめず、兄妹の絆、家族を思いやる心を信じて戦い続けた。彼らのひたむきな姿は20年を経た現在でも、変わらぬ輝きを放ち続けている。

(C)東映