JTBは12月4日、「年末年始の旅行動向」に関するレポートを公開。本レポートは、各種経済動向や消費者行動調査、運輸・観光関連データ、JTBグループが実施したアンケート調査などから推計したもの。
アンケートは11月11日~13日、年末年始(12月20日~1月5日)に1泊以上の旅行(国内旅行は観光および帰省目的の旅行に限る、海外旅行は業務目的の旅行を含む)に出かける15~79歳の男女2,060人を対象にインターネットで行われており、前年までは調査対象期間を12月23日~1月3日(旧対象期間)としていたが、時勢に合わせ今年から12月20日~1月5日(新対象期間)に変更している。
今年の年末年始のカレンダーと旅行傾向
今年の年末年始は、三が日(1月1日~1月3日)に加え、12月27日・28日が土日、また1月4日が日曜日であることから、12月29日~31日が休みとなる人にとっては9連休となる。
年末年始の旅行意向については、25.1%が「行く、たぶん行く」と回答し、前年から2.4ポイント増加。ただし、旅行に行かない理由では、「家でのんびりしたいから」(前年比+9.7pt)、「年末年始は混雑するから」(同+11.1pt)、「年末年始は旅行費用が高いから」(同+7.7pt)、「感染症が心配だから」(同+1.4pt)が増加するなど、混雑を避けのんびりしたい心境と出費への懸念が上位に。また、旅行に対する考えでは、「旅行先では混んでいても、著名な施設や人気の高いスポットを訪れたい」が0.7ポイント減少し、「旅行先では密を避けるため、著名な施設や繁華街などの密集する場所は避けたい」が1.8ポイント増加するなど、オーバーツーリズムへの懸念が旅行者の行動に影響を与えているよう。
国内旅行の動向
旅行先を「日本国内」と答えた1,906人の旅行の傾向を分析したところ、日並びの良さもある一方で、物価高騰や経済状況の影響などから、前年に比べ日数はやや減少し、自家用車を使った旅行や、近距離の旅行が増加傾向となっている。
出発日は12月26日~31日に集中し、全体の51.8%を占める。なかでも「12月27日(土)」と「12月31日(水)」が最も多く、今年は前年に比べ、25日(木)以前の分散はやや弱い傾向にある。旅行日数は、物価高騰や先行きの不安などの影響もあってか「1泊2日」(35.8%)が最も多く、前年から5.9ポイント増加。日並びの良さもあり、「5泊6日」(5.5%)が0.4ポイント増加したものの、全体としては旅行日数を短くする傾向となっている。
同行者は「子供づれ(中学生まで)の家族旅行」(24.5%)が最も多く、3.9ポイント増加。旅行先は「関東」(23.1%)、「近畿」(17.7%)、「九州」(11.9%)の順で、その旅行先を選んだ理由を聞くと、「行きたい場所があるので」(33.5%)、「帰省先なので」(32.9%)、「泊まりたい宿泊施設があるので」(17.8%)が多かった一方で、「観光客などで混雑していなさそうなので」(7.2%)や「国際情勢や感染症などの心配がない地域なので」(4.4%)がいずれも増加傾向に。目的とともに快適性や安心を重視する傾向が見てとれる。
居住地別に旅行先を見ると、旅行先と居住地が同じ地方である域内旅行の割合は、「北海道」(68.5%)、「九州」(62.3%)、「東北」(50.0%)の順に高く、前年と比較すると、中部以外のすべての地域で域内旅行の割合が増加している。また、利用交通機関は「自家用車」(53.1%)が最も多く、前年より3.8ポイント増加。しかし、続く「JR新幹線」「JR在来線・私鉄」「従来のフルサービスの航空会社」「レンタカー」はいずれも減少傾向にあり、今年の年末年始は、“家族と自家用車で行ける近場、居住地と同じ地域内での旅行(域内旅行)”が人気のよう。
一人あたりの旅行費用は、「2万円~3万円未満」(18.4%)が最も多く、前年より1.3ポイント増加。次いで「1万円~2万円未満」(17.0%、前年比1.1ポイント減)、「4万円~5万円未満」(15.0%、同1.7ポイント減)となった一方で、「1万円未満」(12.9%、同1.2ポイント増)、「7万円~10万円未満」(10.4%、同0.7ポイント増)はいずれも増加しており、旅行費用は旅行形態や目的地によって多様な傾向を示している。
海外旅行の動向
今年の年末年始の旅行先を「海外」と答えた154人の旅行の傾向について分析すると、旅行日数は「3泊4日」(20.8%)が最も多いものの前年より4.7ポイント減少。3泊4日以下の合計は前年に比べ8.5ポイントの減少、一方7泊8日以上も2.7ポイント減少しており、4泊~6泊の中期の旅行割合が増えているよう。
行先で最も多かったのは「韓国」(19.5%)だったが、前年から6.7ポイント減少。続く「ハワイ」(16.9%、同6.8ポイント増)、「ヨーロッパ」(16.2%、同5.5ポイント増)、「東南アジア」(11.0%、同1.6ポイント増)では増加している。
一人あたりの旅行費用は「40万円以上」(20.1%、同2.7ポイント増)が最も多く、次いで「10万円~15万円未満」(15.6%、同2.8ポイント増)、「30万円~40万円未満」(13.0%、同6.3ポイント増)と続き、20万円以上の合計は前年に比べ11.3ポイント増加している。
なお、JTBにおける海外旅行の人気方面は、「ハワイ」「台湾」「グアム」。また、2025年11月1日に正式開館した「大エジプト博物館(GEM)」などの影響により、「エジプト」も例年より増加傾向にある。
今後1年間の旅行に対する意向と考え方
今後1年間の旅行の支出に対する意向については、「支出を同程度」(49.9%)と「これまでより支出を増やしたい」(13.8%)がそれぞれ微減。また、今後1年間の旅行に対する気持ちや意向に関しては、「旅行先を選ぶ際に、混雑していそうな人気の旅行先は避けるようにしたい」(21.4%)や「情勢や治安、衛生面の不安の少ない地域であれば、旅行をしたい」(17.3%)が上位に。旅行条件では「治安や健康面(様々な感染症など)の問題がなければ旅行したい」が21.8%、「休みが取れれば行きたい/同行者と休みが合えば旅行したい」が21.6%、「自然現象・野生動物による不安が少ない地域・時期を選んで旅行したい」が17.0%となり、オーバーツーリズムや感染症、政治情勢、さらには自然災害や野生動物への不安など、リスクを避ける意識が、今後の旅行先選びにおいて重要になりつつあるよう。
最後に、「今年の年末年始に旅行に行く」と答えた本調査対象者に、「旅行先検討における後押しとなるサービス」について聞いたところ、物価高などの経済的な状況による影響もあり、「クーポン・セールによる割安な旅行」(34.0%)が最多に。一方で、「旬の食材を使った限定プランやメニューの提供」(25.9%)、「予約困難な宿泊施設の確保」(18.1%)、「非公開・特別な場所への招待」(16.1%)など、価格や利便性だけでなく、そこでしかできない体験やコンテンツを重視する傾向もみられ、希少性や独自性などが、旅行選択において重要な要素であることがうかがえた。




