近畿圏を中心に約170店舗を展開するスーパーマーケット「万代(mandai)」。その惣菜部と日清食品がコラボした「完全メシ弁当」が人気を広げているらしい。えっ、っていうか「完全メシ」って弁当になってたの!? ……と、近畿圏以外の人ならビックリするかもしれない。
「健康になれる夢のような惣菜を作りたい」というトップの想いから始まったこのプロジェクト、どんな苦労を経て形になったのか。東大阪市にある万代本社を訪れ、惣菜部のバイヤー・大石卓海さんに話を聞いた。
「健康になれる夢の惣菜を」トップの想いから始まった挑戦
――まずは、大石さんのご担当業務について教えてください。
私は惣菜部に所属しておりまして、主にバイヤーとしての業務を担当しています。簡単に言うと、お客様が求めている惣菜を作る仕事ですね。トレンドや今後の食の流れを見据えて商品を考え、必要な商材を仕入れ、組み合わせて商品化する。最終的に店舗に落とし込み、販売するまでの流れを一貫して担っています。
万代ではインストア加工と呼ばれる店内調理の商品と、自社セントラルキッチンで製造したアウトパック商品がありますが、「完全メシ弁当」は基本的にセントラルキッチンで製造しており、品質や栄養バランスの管理を徹底しています。
――「完全メシ弁当」を販売するようになったきっかけを教えてください。
プロジェクトが動き出したのは2022年です。きっかけは、弊社社長の「健康になれる夢のような惣菜を作りたい」という想いでした。その想いに共感してくださった日清食品さんが、33種類の栄養素とおいしさの完全なバランスを追求した「完全メシ」という武器を活かして商品化していただけることになったんです。
実際に店頭に並んだのは2023年ですね。弊社のセントラルキッチン業務を担うグループ会社「クックワン」で製造し、店舗へ納品するかたちでスタートしました。発売当初のラインナップは「オムライス」と「ボロネーゼ」の2品で、リニューアルや新商品の発売などを経て現在は4品を展開しています。
新メニューの開発にかける期間は通常の3〜4倍
――日清食品との共同開発は、どのように進めていったのでしょうか?
万代、日清食品、そして「クックワン」の3社が一丸となって開発しています。弊社から「こういうお弁当を作りたい」という方向性を打ち出し、日清食品さんがフードテクノロジーを駆使して味や栄養バランスを調整していく、という流れです。もちろん、開発過程で日清食品さんからアドバイスをたくさんいただきます。
弊社としては売り場での見栄え、そしてお客様が続けて食べたくなるおいしさを重視して、一緒に開発していきました。
――開発にはどのくらいの期間をかけましたか?
第1弾の開発には1年ほどかかりました。最初は店内調理でやってみようという案もあったんです。しかし、「完全メシ」は厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」で設定された33種類の栄養素のバランスが調整されているのが特徴です。そのため、材料をグラム単位で正確に計量して盛り付ける必要があり、店内でのオペレーションが非常に難しかったんですよ。
通常のお弁当であれば1カ月程度で商品化することも可能ですが、「完全メシ弁当」は栄養素のバランスを精密に計算しながら試作を重ねます。さらに、品質や安全性の確認も丁寧に行うため、開発には最低でも3~4カ月かかっています。
――開発の過程で特に苦労した点はどこですか?
一番の課題は、33種類の栄養素のバランスを整えつつ、“おいしい"と感じていただける味を実現することでした。不足している栄養素を補えば、栄養バランスは整うように思われるかもしれませんが、栄養素には独特の苦みやエグみを持つものもあります。そこで、日清食品さんのフードテクノロジーによってそれらをおさえ、普段の食事と変わらないおいしさを実現しました。
さらに、塩分は3g以下、カロリーは500kcal前後に抑えた上で、食欲をそそる見た目に仕上げ、しかも満足感のある食べ応えを実現する。これが本当に難しかったです。例えば、ご飯ひとつ取っても、炊くときに入れる水分量や調味液の加減で栄養バランスが変わってしまいます。そこで、水分量や調味液の比率を何度も調整しながら試行錯誤を重ね、最適なレシピを導き出しました。
月間2万食を突破! 特にオススメの弁当は「オムライス」と……
――実際、お客様や従業員の皆さまからの反響はいかがでしょうか?
「完全メシ弁当」のおかげで健康的な食生活をおくれるようになったという話もありますが、やっぱり一番多く耳にするのは「おいしい」という声ですね。日頃から食事の栄養バランスを気にしているお客様からは、「『完全メシ』なら栄養バランスの管理も簡単だし、便利で助かっている」といったお声もいただいています。おかげさまで売り上げも非常に順調で、今では月間で約2万食を販売しています。
――味へのこだわりや、特に自信のあるメニューを教えてください。
どれも自信作ですが、あえて挙げるなら「オムライス」です。何度も改良を重ね、“間違いなくおいしい"と言えるクオリティに仕上がりました。 普通のオムライスと比べても遜色がないどころか、むしろ「完全メシ弁当」のほうがおいしいくらいです。デミグラスソースと卵、ご飯が組み合わさって、全体の味のバランスがとてもいいんです。
今月からラインアップに加わった「ナポリタン」もおすすめです。デュラム小麦を100%使用した麺はもちろん、パスタソースも抜群においしいです。しっかりとしたボリュームで満足感があり、しかも価格は398円とコスパに優れています。直近の新商品のなかでは、一番のヒットになる可能性もありますね。
――先ほど惣菜コーナーを拝見しましたが、「完全メシ」は他のお弁当より少し値段がお高めな印象でした。価格はどのように設定しているんですか?
価格設定はとても悩みました。 いわゆる“値頃感"というか、お客様に「この価格でこれだけ充実していれば安いよね」と感じてもらえるようにするのは本当に難しいです。
一方で、33種類の栄養素のバランスが整っていて、しかもおいしい商品ですから、安くしすぎる必要はありません。実際、今の売価でもよく売れていますので、お客様にも納得して買っていただけているのかな、と思っています。
――最後に、今後の展開や目標について教えてください。
「今日は『ナポリタン』、明日は『オムライス』……」というふうに、毎日食べても“飽き"がこないよう、そして選ぶ楽しさを感じていただけるよう、まずはラインナップを増やしていきたいです。「カツ丼」や「おにぎり」など、多くのお客様から人気のあるメニューも加えていきたいですね。そして、「完全メシ弁当」の認知度をさらに高め、お客様から評価していただける商品を作っていくことが、最も大切だと考えています。
「健康になれる夢のような惣菜を作りたい」。その想いから始まった「完全メシ弁当」は、トップの想いと現場の熱意、そしてメーカーのフードテクノロジーが融合した理想的な弁当だ。食べる人の健康を支えることはもちろん、「スーパーの惣菜」の進化すら感じさせる取り組みである。店頭で見かけたら、ぜひ一度味わってみてください!!







