――そんな苦い経験をたくさんされて、番組でも「苦節20年」と紹介されていましたが、これまで諦めて辞めようと思ったことはあったのですか?
KAWAGUCHI:それがないんです(笑)。冷静に考えれば、辞め時は何度かあったはずなんですけどね。
――EMILYさんはネガティブだと言っていたので、意外です。
EMILY:ネガティブだけど、バカなんですよ(笑)。「うちら状況あんま良くないけど、まあどっかで打開するっしょ!」って思うんです。
――EMILYさんのお父さんは、音楽活動に反対されているんですよね。
EMILY:最初は応援してくれてたんです。KAWAGUCHIが早稲田出てるんで、「早稲田行ってるやつとだったら、バンドやっていいよ」と言われて、NHKでちょっと番組をやらせてもらった時は、本当に喜んでくれました。でも、コロナの影響もあって終わっちゃって、そこで「もう違う道に行ったほうがいいんじゃないか」って言われて。自分らより先に周りが折れだすんですよね。
――それでも続ける原動力は何でしょうか?
KAWAGUCHI:満足してないっていうのが一番大きいと思います。全然まだまだやり切ってない。1回も満足したことないんで。
EMILY:「いい思いしてぇ」っていう思いでやってるんです。若さを売りにしてるわけでもないし、歌詞も年を重ねていけば出る味もあるだろうし、そういう意味ではそんなに焦りとかはないんです。
――EMILYさんは週5でアルバイトもしてるんですよね。
EMILY:トイレ清掃のバイトなんですけど、この仕事が大好きなんです。まず絡まれたくないんで接客が嫌いなんですよ。「日本語しゃべれんの?」とか言われたくないんで、極力人と関わらない仕事にしようと思って。あと、バンドマンって良く言えばフリーなんですけど、毎日規則正しい生活をしないとグチャグチャになっちゃうと思うんです。だから、夜10時半くらいに寝て、朝6時に起きて、トイレ清掃のバイトに行って1日が始まるっていう生活をしてます。バンドマンの中で一番規則正しいと思います。
KAWAGUCHI:10時くらいに終わるから、音楽活動には全く影響ないんですよ。
EMILY:むしろいいことだらけ。だから売れるようになっても、このバイトは辞めたくないんです。品川さんと朝まで飲んで、そのまま行くこともあるんですけど、「この後バイトに行くEMILYが俺は好きだ」って言ってました。
――寝落ちして、便器に頭突っ込むとかないんですか?
EMILY:ありますよ。便器にそのまま入っていきそうになって「うわっ!」って起きる時もありますけど、今は真面目な生活をしようと思って禁酒中なんで。令和のバンドマンです。
コツコツ真面目に「独裁国家」を大きくしていきたい
――ファンの皆さんの支えも原動力ではないかと思うのですが、長年推してくれる顔見知りの方もいらっしゃるのでしょうか。
KAWAGUCHI:どんな地方のライブでも来てくれるコアなファンが6人くらいいます。
EMILY:住職とかいるもんな。
KAWAGUCHI:ファンにお寺の住職がいらっしゃって、そのお寺でやるライブに毎年呼んでくれるんです。本堂にHONEBONEの写真とか貼りまくってるんで、「これ大丈夫なんですか?」って心配になるくらい。
――コアファンの皆さんは、『鬼レンチャン』での活躍を喜んでいましたか?
EMILY:シャイな人が多いんで、そんなに「うわー!」みたいなのはなかったよね。
KAWAGUCHI:僕たちがファン向けにちょっと注意喚起したんですよ。「うちらまだ全然売れてないんだから、舞い上がらないでくれ。ファンが舞い上がってどうすんだ」って。
EMILY:それで気を引き締めたのかもしれないです。
――従順なファンの鑑ですね。
EMILY:「独裁国家」って言ってますからね。
――ファンネームはその国民的なものなんですか?
EMILY:「BONES(ボーンズ)」なんですけど、裏テーマが「独裁国家」なんです。みんなを調教して、EMILYに優しい国を作っていこうと思ってます。
――いろいろお話を聞かせていただき、ありがとうございました。最後に、今後の目標を教えてください。『鬼レンチャン』で注目を集めたところで、このつかんだチャンスを次につなげていくというところでしょうか。
EMILY:そうですね。一夜のドリームは見せてもらったんで、それ以上のことを期待するというのは正直なくて。これからもコツコツ真面目に、ブレずにやるしかないって感じですかね。
KAWAGUCHI:フェス全盛の時代ですけど、自分たちの音楽性はそこまでフェス向きじゃないので、独自の活動を頑張って、みんなが無視できないくらいに“国”が大きくなったら、いろんなものが付いてくるのかなと思うんです。
――でも、HONEBONE史上一番のチャンスですよね。
EMILY:はい。いろんな人に知ってもらったんで、オファーは欲しいですね。仕事ください!!
――音楽番組に出演するところも見てみたいです。
KAWAGUCHI:濱家(隆一、かまいたち)さんがMCをやってる『Venue101』(NHK)にも出たいですけど、『鬼レンチャン』の時の濱家さんがカッコよかったです。ほかの皆さんに「『Venue』出してやれよ」って振られても、OKしなかったじゃないですか。やっぱりそんなに簡単には出れないんだと思って、うちら的には結構熱い感じでした。
EMILY:燃えましたね。
KAWAGUCHI:濱家さんもちゃんとミュージシャンとして見てくれてたんだと思って、あれは逆にうれしかったです。
――『鬼レンチャン』の「サビだけカラオケ」には、また挑戦したいですか?
EMILY:う~ん……出てみたいですね。かなりしんどいですけど(笑)
●EMILY(ボーカル/作詞/作曲)
9月18日生まれ、東京・高円寺生まれ高円寺育ち。父が栃木県出身、母がアメリカ出身のハーフ。趣味はホラー映画鑑賞。歌唱力とトーク力が評価され、『THE カラオケ★バトル』『家、ついて行ってイイですか?』『二軒目どうする?』(いずれもテレビ東京)など、個人としてもテレビに出演し、10月19日放送の『千鳥の鬼レンチャン』(フジテレビ)の「サビだけカラオケ」で“9レンチャン”を達成。『家、ついて行ってイイですか?』を見た品川ヒロシ監督に映画『リスタート』で演技未経験ながら主演に抜てきされ、スクリーンデビューを果たした。
●KAWAGUCHI(ギター/作詞/作曲/編曲)
3月5日生まれ、東京・高円寺生まれ高円寺育ち。趣味は韓国ドラマ鑑賞。HONEBONEの楽曲におけるアコースティックギターの他にも多様な楽器を演奏し楽曲制作を行う。J-WAVE『FRUIT MARKET』のジングル、品川ヒロシ監督映画『リスタート』の劇伴、パルコプロデュース『スルメが丘は花の匂い』舞台音楽なども手がける。


