――Wikipediaでは「EMILYの笑いに溢れたMCとKAWAGUCHIの“顔ギター”と言われる激しいパフォーマンスで“ギター漫談”と称され、“ネガティブなのにスカッとする”という声が生まれている」という記述がありました。ライブのMCは結構がっつりやられるほうですか?
KAWAGUCHI:そうですね。以前は自分たちでもそれを誇りにしてたくらいで、MCと曲で6:4くらいの割合でやってました。
――さだまさしさんレベルの(笑)
KAWAGUCHI:まさにそうです(笑)
EMILY:綾小路きみまろさんを手本にしてたんです。
KAWAGUCHI:きみまろさんが『情熱大陸』で、アドリブに聞こえるのも全部一字一句セリフを書いて覚えてると言っていたので、「うちらもそうしなきゃダメだ!」ってなって、MCのセリフを全部書いてやってたんです。そしたら、ご縁で笑福亭鶴瓶さんの前でやらせてもらった時に「お前ら、もう台本通りじゃなくてもええで」と言ってくれて。
EMILY:「その日のお客さんの顔見てしゃべりや」って言ってくれて、そこからは師匠の言葉通りに台本に縛られずにやるようになりました。
KAWAGUCHI:そしたらMCが無駄に長くなることもなくなって、今はMCと曲で4:6くらいになりました。
EMILY:いつも音楽活動で悩んだ時の相談は、結構芸人さんに話を聞いてもらうことが多いんです。監督した映画で主演させてもらった品川祐さん(品川庄司)には、「今日ライブでごっつりすべっちゃいました。そういう時ってどうしてます?」って聞いたら「その日のお前はもう死んだことにして切り替えるしかねぇだろ」って言ってくれたり。しずるの村上(純)さんとか、三四郎の小宮(浩信)さんとか、かもめんたるさんとかにも話を聞いてもらってます。
――どうやって芸人さんとつながっていったのですか?
EMILY:かもめんたるさんのめちゃめちゃファンで、もう10年くらい前なんですけど、出待ちして「舞台音楽やらせてください!」って突撃してからのご縁です。そこから、槙尾(ユウスケ)さんが飲みに誘ってくれると小宮さんがいて、どんどんつながっていった感じですね。そうやってお付き合いしてくれる方々はすごいですけど、自分たちはちっぽけな存在だというのを毎回思わされてます。
――今回の『鬼レンチャン』の出演は、皆さん喜んでくれたのではないでしょうか。
EMILY:そうですね。皆さん見てくれてて、結構熱いLINEをもらいました。小宮さんは普段メールではあまり感情を出されないんですが、今回に関しては「感動した。飲みましょう」ってメッセージを送ってくれました。
営業先の会長ブチギレで騒然「なんて下品なヤツらなんだ!」
――『鬼レンチャン』では、普通のアーティストからはなかなか聞かないエピソードがどんどん飛び出していましたが、「間違えたら消される場所」でライブしたというのがありましたよね。
KAWAGUCHI:営業で地方のお祭りに出させてもらった時に、演奏の前に必ず「○○会長、本日はありがとうございます」って挨拶して、仕切ってる人の名前を絶対間違えちゃいけないっていうのがあったんです。
EMILY:その後に歌うってめっちゃやりづらくて。しかも終わった後の飲み会に誘われたんですけど、「ちょっと予定が…」って断ったら、「お前ら音楽業界から消してやる」って言われて。
――そんな力が…。売ったCDを目の前でばらまかれたという話もありました。
EMILY:物販スペースを用意されてCDを売ってたら、怖そうなおっさんに「ごちゃごちゃ面倒くさいから、もう全部買ったるわ!」って持っていかれて、その買ったCDを目の前で的屋のギャルとかに配り始めたんです。もう怖くなって、「カラスよけにでもしてください」って言って、走って逃げました。
KAWAGUCHI:それは本当に怖かったんで、暗闇に紛れてこっそり出たら、「あいつらどこ行った? 打ち上げ出るんやろー」って探されて。
――やっぱり飲み会がセットなんですね。事務所に所属せずフリーでやってるから、知らず知らずのうちにそういう営業に足を踏み入れてしまうのでしょうか。
EMILY:そうですね。見極めが難しいんですよ。でも経験を重ねて、だんだん学んできました。
――ミュージシャンで「営業」というのは、なかなか聞かないワードですよね。
EMILY:だから芸人さんと仲良くさせてもらえてるんだと思います。うちらの前の出番が芸人さんで、「お疲れ様です」「お先でした」みたいなやり取りがありますから。
――アコースティックギターとボーカルだから、すぐセッティングができて営業向きなんですね。
EMILY:あとは企業の余興に呼ばれて怒られたこともあったね。網を差し出して「お金ください!」って叫びながらお金を回収するっていう曲のパフォーマンスがあって、呼んでくれた会社の人が「あれみんな喜ぶと思うんでやってください」って言うんで実際にやってみたら、会長のおじいちゃんが理解してなくて「なんて下品なヤツらなんだ!」ってブチギレて帰っちゃったこともありました。
KAWAGUCHI:その場が騒然としたよね。
――エピソードが尽きないですね…。そんな経験を、また「怨念ノート」に書き留めて。
EMILY:「全員ぶっ潰す」とか。もっと強い言葉で書いてますけどね(笑)


