連続テレビ小説『あんぱん』(NHK総合)の最終回を見る会が26日、高知県立県民文化ホールで開催。ゲストとして柳井嵩(北村匠海)の母・登美子役の松嶋菜々子、脚本の中園ミホ氏、チーフ演出の柳川強氏が登壇し、最終回の感想や撮影秘話を語り合った。

  • 「『あんぱん』最終回を見る会」に登壇した柳川強氏、松嶋菜々子、中園ミホ氏

    「『あんぱん』最終回を見る会」に登壇した柳川強氏、松嶋菜々子、中園ミホ氏(左から)

112作目の朝ドラとなる『あんぱん』は、漫画家・やなせたかしさんと妻・暢さん夫婦をモデルに、何者でもなかった2人があらゆる荒波を乗り越え、“逆転しない正義”を体現した『アンパンマン』にたどり着くまでを描く愛と勇気の物語。暢さんがモデルのヒロイン・朝田(柳井)のぶ役を今田美桜、やなせたかしさんがモデルの柳井嵩を北村匠海が演じた。

ラストシーンに込めた思い「やなせたかしさんのメルヘンの世界に入ってもらえたら」

「最終回を見る会」には、8000通を超える応募の中から6.3倍の倍率で選ばれた『あんぱん』ファンが来場。最終回を会場で観客とともに見た中園氏は「嵩やのぶは、皆さんと一緒にこの時間を生きていたんだなと思うことができました」と感動し、柳川氏も「こうやって高知の皆さんの熱気を感じつつ、高知の空にアンパンマンが飛んでいるような気がしました」と笑顔を見せると、会場は割れんばかりの拍手で包まれた。

最終回では、嵩とのぶの2人だけの長いシーンが見せ場となった。柳川氏によると「8分を超えるシーンなので、通常はリハを繰り返すのですが、お芝居を固めるのが嫌だったので、匠海くんや美桜ちゃんとも相談して、本番一発勝負でいくことにしました。2人は緊張感を保つのが大変だったと思いますが、素晴らしいシーンになったと思います」と今田たちを称える。

中園氏はラストシーンについて、「やなせたかしさんのメルヘンの世界に入っていってもらえたらいいなと思い、脚本を書きました。雲のアンパンマンも素敵だったし、私は柳川ワールドを信じているので、良かったと思います」と、中園氏の前作の朝ドラ『花子とアン』(14)でも組んでいる柳川氏への全幅の信頼も口にした。

また、嵩とのぶが取材を受けるシーンについて、中園氏は「今回の脚本は、やなせたかしさんのエッセイなど、いろんなところから持ってきています。最後の新聞記者からのインタビューに答えるのぶのコメントも、エッセイに書いてあった言葉をそのまま使わせてもらってますから、かなりリアル。本当にああいう御夫婦だったんじゃないかなと。一言一言が素晴らしいです。また、やなせ先生は、みんなが知っている優しい言葉を使っているけど、その奥には深い感情が流れています。それをこの年になってやっとわかるようになりました」としみじみ語る。

「命を受け継ぐ」というメッセージも語られた最終回だったが、中園氏から朝田3姉妹のキャラクター分けについての秘話も明かされた。

「脚本を書き始める前から、3姉妹は柳川監督と一緒に作ってきました。女の人は、のぶのような人、蘭子のように自立して仕事をしていく人、メイコのようにお母さんになっていく人がいます。実際の暢さんは、『やなせさんの赤ちゃんが産みたい』と逆プロポーズをされています。そういう方が子供を持てなかった気持ちをきちんと書かなきゃいけないなと思いました。だから、ただ子供を産むことだけが命をつないでいくことじゃない。『何者にもなれんかった』と言っていたのぶですが、そうではなく、いろんな命を引き継ぐ。それはやなせさんの描いてきたテーマでもあります」

松嶋菜々子が今田美桜を絶賛「ベテラン感もありますし、頼りがいのあるヒロイン」

また、自身も連続テレビ小説『ひまわり』(96)でヒロインの経験がある松嶋は「ひたすら“お疲れさまでした”しかないですね。よく乗り越えたというか、耐えたというか。演じる上で、言葉の一つ一つに迷いがたくさん出てくるんです。それを1年間、26週130本やってきたことで、本当にお疲れさまです! 自分じゃない人生をもう1人分生きるということなので」と今田を労う。

今田からは「商店街で『あんぱん』のフラッグを見たり、東京のスタジオにもメッセージをいただいたり、常に応援してもらっているというのを感じていました」と高知の人々への感謝の言葉がビデオメッセージで流された。また、クランクアップの様子も流れ、今田がヒロインを演じるにあたり「私で良かったのかなと思うこともありました」と涙する一幕も。

それを受けて松嶋は「そこまで悩んでいたのかなと!」と驚きを口にしつつ、「でも、そういうことは一切見せず、いつもキラキラした目で、楽しくしていた感じです。どしんとしたベテラン感もありますし、頼りがいのあるヒロイン、安心して見ていられる今田さんでした」と賛辞を惜しまなかった。

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