総合プロデュース企業として生まれ変わった八芳園。半年を超える全館の改修工事が終わり、いよいよ2025年10月1日にグランドオープンとなる。メディア内覧会で、総支配人の関本敬祐氏は「400年以上の歴史を持つこの日本庭園と共に、私たちはこれからも変革を進めてまいります」と言葉に力を込めた。

リニューアルでなにが変わった?

東京・白金台にある八芳園では2025年2月から9月末まで全館を一時閉館し、リブランディングプロジェクトを進めている。どこが、どのように変わったのだろうか? 9月中旬に実施された内覧会で、その一部を見てきた。

  • 八芳園が10月1日にグランドオープンする。写真は、八芳園 取締役総支配人の関本敬祐氏

    八芳園が10月1日にグランドオープンする。写真は、八芳園 取締役総支配人の関本敬祐氏

  • 八芳園(東京都港区白金台1-1-1)

    八芳園(東京都港区白金台1-1-1)

  • 国産の木材をふんだんに使った本館正面のファサードが特徴的

    国産の木材をふんだんに使った本館正面のファサードが特徴的

メインロビーは「日本の、美意識の凝縮」をテーマに掲げる空間。過去から未来へと続く日本文化の精神を映し出し、訪れる人の心にインスピレーションを与える。日本庭園と向き合うように設置されたのは、高さ約4mにもおよぶ圧巻の組子アート「光風庭伝」(こうふうていでん)。日本を代表する水墨画家・小林東雲氏×福岡県大川市の組子職人・木下正人氏のコラボによる巨大な作品だ。

  • メインロビーからは日本庭園が楽しめる

    メインロビーからは日本庭園が楽しめる

  • 日本の伝統工芸が来館者を迎える

    日本の伝統工芸が来館者を迎える

  • 小林氏が描いた水墨画をもとに、木下氏が組子細工で表現した。八芳園の庭園に息づく景色(松、竹林、太陽、月など)がモチーフになっている

    小林氏が描いた水墨画をもとに、木下氏が組子細工で表現した。八芳園の庭園に息づく景色(松、竹林、太陽、月など)がモチーフになっている

ロビー装飾は、季節やイベントごとに切り替わる趣向。グランドオープン時には、福岡県大川市の創作家具職人・西田政義氏による"赤松"をモチーフにした木のオブジェが飾られる。

  • オブジェのモチーフとなったのは、八芳園の庭園のルーツともいえる赤松

    オブジェのモチーフとなったのは、八芳園の庭園のルーツともいえる赤松

  • 日本の伝統的な木工技術である組子。釘を一切使わず、薄い木の部材を組み上げて作られている

    日本の伝統的な木工技術である組子。釘を一切使わず、薄い木の部材を組み上げて作られている

メインロビーから続く3階にはレストラン「ALL DAY DINING FUDO」が誕生した。旬の野菜をたっぷり使った『石窯ピザ』、素材の持ち味を引き出した『熊本あか牛のロースト 赤ワインソース』、『宮城アカエイのムニエル』、八芳園に受け継がれる味わいをアレンジした『オニオングランタンスープ』、『アップルパイ』、厳選素材を使った贅沢パフェなどを提供。モーニング(土・日・祝日のみ提供)、ランチのセットメニュー、ディナーのコース料理も用意している。

  • 店内は、バーカウンター+テーブル席で構成される隠れ家のような雰囲気。営業時間は、月~金曜日が11:00-21:00(L.O.20:00)、土・日・祝日が8:00‐21:00(L.O.20:00)

    店内は、バーカウンター+テーブル席で構成される隠れ家のような雰囲気。営業時間は、月~金曜日が11:00-21:00(L.O.20:00)、土・日・祝日が8:00‐21:00(L.O.20:00)

5階には「STUDIO KOKU」とラウンジ、6階には「HALL HAKU」とBARを設置。ともにCLUB HAPPO-EN for Businessの会員が利用できる。

  • 会員専用エスカレータの先にあるROOFTOP TERRACE

    会員専用エスカレータの先にあるROOFTOP TERRACE

  • こちらは5階のラウンジからの眺め

    こちらは5階のラウンジからの眺め

  • 6階の「HALL HAKU」

    6階の「HALL HAKU」

年間総売上130億円へ

内覧会に登壇した関本敬祐総支配人は、事業戦略について説明。「八芳園グループでは文化資産を活用したエリアプロデュース事業を展開し、2030年までに年間総売上130億円の達成を目指していきます」と意気込む。2030年9月期の売上構成比については、婚礼事業が48%、その他事業が52%で、「事業ポートフォリオの転換を図る」「婚礼依存型の企業体質から脱却する」という同グループの方針が反映されている。

  • エリアプロデュース事業を伸ばし、2030年までに年間総売上130億円を目指す

    エリアプロデュース事業を伸ばし、2030年までに年間総売上130億円を目指す

ちなみに2023年10月1日~2024年9月30日の売上高をセグメント別に見てみると、婚礼事業分野は6,371百万円(前期比106.6%増)、宴会事業分野は2,503百万円(同133.7%増)、その他の事業分野は725百万円(同99.7%増)。関本氏は「その他の事業分野についても、事業単位での成長の兆しが見えてきました」と評価する。

  • 婚礼事業分野。新規来園数は4,185組、婚礼施工数は1,491組で、1組平均総額は448万円となっている

    婚礼事業分野。新規来園数は4,185組、婚礼施工数は1,491組で、1組平均総額は448万円となっている

  • 宴会事業分野は、ショールームイベントに戦略を変更し、MICE案件の受注が増加した

    宴会事業分野は、ショールームイベントに戦略を変更し、MICE案件の受注が増加した

  • その他の事業分野においては、レストラン事業、空間デザイン事業、ギフト関連事業、自治体連携事業、DX推進事業など広範囲の事業が成長している

    その他の事業分野においては、レストラン事業、空間デザイン事業、ギフト関連事業、自治体連携事業、DX推進事業など広範囲の事業が成長している

なお八芳園は9月8日、東日本旅客鉄道(JR東日本)と共創パートナーシップ協定を締結。白金・高輪エリアから日本の文化資産を発信し、この地域を国際交流の拠点にしていくとしている。直近では、JR高輪ゲートウェイ駅に直結するTAKANAWA GATEWAY CITY内にあるNEWoMan TAKANAWA Northの1階にパティスリー「八芳園洋菓子店」を、また同 LUFTBAUMの29階に"江戸"を料理のテーマとした「割烹 BUTAI」を、ともに9月12日にオープンさせている。

  • 八芳園洋菓子店。日本各地の果物、贈答用のケーキ、お手土産に最適なギフトを揃える

    八芳園洋菓子店。日本各地の果物、贈答用のケーキ、お手土産に最適なギフトを揃える

  • 割烹 BUTAI。国内から取り寄せた厳選食材を使った料理で、日本の食文化を体験できる

    割烹 BUTAI。国内から取り寄せた厳選食材を使った料理で、日本の食文化を体験できる

創業82年の八芳園。関本氏は「当社では(2043年の)100周年を目指し、日本の美意識と文化を次世代に継承すべく事業を展開していきます。これからの八芳園にご期待ください」と話していた。