チャリティーマラソンランナーの横山裕は、「あなたのことを教えて」から派生して、「私のことを教えます」と決意したように見えた。華やかなステージで活躍し続けてきた裏で、生活に余裕がなく、中学卒業後に工事現場で働きながら、タレント活動をスタートさせ、東京に拠点を移すが、母が病に倒れて生活が立ち行かなくなり、幼い弟が児童養護施設の世話に。さらに、その母が若くして亡くなるという壮絶な過去を打ち明けた。

「僕と似た環境の方がたくさんいらっしゃるし、僕が走ることによってそういう境遇の子がいることを知ってもらうだけでも違うんじゃないか。子どもたちのために走れればいいなと思います」という横山は、“目的別募金”として「子ども支援マラソン」を敢行。放送終了時点の同企画への募金額は7億40万8,600円に達した。

マラソンの経過を伝えるたびに紹介されたのは、この横山の走る“意味”。そして、前年のやす子の「マラソン児童養護施設募金」の使い道だ。横山は、シングルマザー家庭、貧困家庭に食料支援を行う団体、居場所支援施設、学習支援、さらには弟が入っていた児童養護施設などを訪れ、どんな支援が必要なのかというニーズや、昨年の寄付金がどのように使用されているのかという“その後”を、自分の目で確かめる様子が、繰り返し放送された。

“その後”を伝える取り組みは他にも、CM明けのタイミングで様々な事例が紹介された。中でも、2009年に津軽海峡横断、2011年にキリマンジャロ登頂を果たした盲目のシンガーソングライター・立木早絵さんは、点字受験を経た初めて宅地建物取引士に合格したことを報告し、「障がい・国籍・性別にかかわらず、誰もが住みたい家に住めるようサポートしていきたいです」と、さらなる目標を力強く語っていた。

前川氏は「毎年放送していくことで、どのように使われたかを伝えていくことができる」と、“継続して放送する”ことの意義も強調。2年前の系列局における寄付金着服事件を受け、使途を明確にすることで透明化を図るために昨年のマラソン企画で導入した“目的別募金”だが、この施策が番組の意義を見つめ直す機会になっていることが、今回改めて示された。

きょう1日(21:00~)には、横山の激走の舞台裏を伝えるドキュメント特番『完全密着!横山裕24時間マラソンの裏側~子供たちのために走った真夏の挑戦!~』を放送。さらに、『24時間テレビ48「あなたのことを教えて」チャリティー活動報告』が、10月26日(14:35~)に放送され、最終の募金総額の報告に加え、ここでも寄付金の使われ方が紹介されることになっている。

上田晋也&羽鳥慎一が痛感した「知ること」の重要性

横山のマラソンゴールの熱気に包まれる中、総合司会の上田晋也は「自分と考えや境遇の違う人、その人のことを知ろうとする第一歩が改めて大事なんだなと痛感した24時間でございました」と総括。

同じく総合司会の羽鳥慎一は「いろいろな状況に置かれている人がいるという現実、様々な人が抱える生きづらさ、問題。こういったことを知るだけでも、聞くだけでも、世界の見え方は変わっていくのではないか。こういう思いで、今年の『24時間テレビ』は『あなたのことを教えて』というテーマを掲げました。他人への理解を深めることの大切さ、そのことを知るきっかけに、この番組がなったとしたら幸いです」と呼びかけた。

SNSでは、自分と違う属性に対して誹謗中傷が絶えず、分断が進む昨今において、「あなたのことを教えて」というテーマは、大事なメッセージを投げかけたはずだ。ネット上ではたびたび不要論が叫ばれる『24時間テレビ』だが、いわゆる「フジテレビ問題」に端を発し、テレビ業界全体の存在意義や信頼性が問われる中で、果たすべき役割は、より大きくなっているように感じる。