自転車通勤を快適にする方法はいくつもある。前々回前回に続く形で、今回は多くの人が抱える駐輪、ナイトライド、水分補給問題を解決する5,000円以下のアイテムとノウハウを紹介しよう。

ワイヤ錠

  • ワイヤの表面がコーティングされているのでフレームに傷がつかない

    ワイヤの表面がコーティングされているのでフレームに傷がつかない

「盗まれたら、どうしよう」。

自転車通勤している人なら、盗難は身近な心配事。令和6年の自転車盗難件数は174,020件(警察庁調べ)。届け出をされていない盗難も含めれば、相当な数だ。残念ながら、なんらかの対策をしなければ、そのうち盗まれると思っておいた方がいい。

プロに本気で狙われたら、それを防ぐ対策はない。しかし、多くの場合は鍵の施錠や駐輪位置といった、少しの工夫で回避できる。40年以上スポーツバイクに乗ってきたが、筆者は一度も盗難の被害に遭わずにすんでいる。

鍵を選ぶときのポイントは2つ。ひとつは軽量で施錠が簡単なこと。一般的には重くて頑丈な鍵が安全とされているが、重いと持つのも施錠するのも面倒になる。コンビニに立ち寄ったわずか2~3分の間に盗まれることもある。どんな短い時間でも、必ず施錠しよう。

ABUS・Cobiflex Break85(3,960円)は重量58g。抜群に軽く、自動巻き取り式なのでかさばらず、バッグの収納スペースが最小限に収まる。ワイヤの太さは1.5㎜と一見すると頼りないが、もっと太くても切られるときは切られる。それよりも、施錠するときに鍵が泥棒に見えるようにする。ワイヤの太さよりも、防犯意識の高さをアピールしたほうが効果は高い。

ふたつめは、長さの短い鍵と組み合わせること。長い方がいろいろなものを絡められるので便利だと思われがちだが、それだけではない。盗む側の視点で考えると、長いワイヤ錠はワイヤカッターなどで切断する作業性がいいとも言える。

そこで短い鍵の施錠位置はなるべく低めに。ABUS・COMBIFLEX TRAVELGUARD(4950円)の特長はタイラップと同じ構造で長さを調整できるため、泥棒にとってはやっかいな存在である。バッテリーの盗難が増えている電動アシスト自転車であれば、フレームとバッテリーを固定するのにも使え、駐輪時のヘルメットやサドルの盗難防止にも使える。

そして、駐輪するときは泥棒の嫌がる目立つ場所に。ただし、ガードレールや道路標識といった公共物と固定する「地球ロック」はしないこと。駐輪場以外の駐輪は道交法(第47条の2)に抵触するので、有料でも駐輪場に駐めるようにしたい。

  • タイラップのように細かく固定位置を調整できる

    タイラップのように細かく固定位置を調整できる

  • チェーンステーとホイール、クランクを同時に施錠

    チェーンステーとホイール、クランクを同時に施錠

ミニ・LEDライト

  • ヘルメットの穴に収まる超小型LEDライト

    ヘルメットの穴に収まる超小型LEDライト

ナイトランではヘッドライトの明るさが安全性と快適性に直結している。そして、前と同等に大事なのが、後方視認性。なにせ対向車は避ける余地があるが、後ろから迫ってくる車には気づいてもらうしかない。

車対自転車の死亡事故の48%は、後続車に追突されたのが原因だという統計データ(交通事故総合分析センター調べ)もある。車に認識してもらうことは、想像するよりも重要である。

Linden・FLASH on BK-02(3,300円)はヘルメットの穴(エアアウトレット)に収まる超小型LEDライトだ。軽さとスタイリッシュなデザインが評価されて、発売と同時にロングライドを楽しむ人たちから安定した人気を誇っている。

全長35㎜、重量5g。これだけ小さければ、ヘルメットのデザインや機能を邪魔することもなく、フレームやサドルにも装着できる。家を出るときにスイッチを入れれば24時間作動し、光センサーによって明るいところでは自動でON/OFFする。充電時間はUSB-Cで約10分。

  • 本体の色は白、黒、緑の3色

    本体の色は白、黒、緑の3色

ビンテージバイクに乗る開発者が興したガレージブランドで、BK-02は一つひとつ手作りされている。ヘルメットに装着するのを前提に、ギリギリまで軽量化しつつ、落車したときに変形しても発火したりしないように小型リチウムキャパシタを採用するなど、安全性にも配慮されている。

保温ボトル

  • 左がFJP-601、右がFJF-580

    左がFJP-601、右がFJF-580

自転車用のボトルに5,000円。よほどのことがなければ、高くて買う気にならない。そのよほどのことがあるのが真空断熱スポーツボトルのTHERMOS・FJP-601(4,620円)だ。

サイクリング用ボトルには2種類ある。ひとつはポリエチレンやポリプロピレン製のしなやかなボトル。もうひとつがステンレス製の保温ボトルである。改めて言うまでもなく、THERMOSは後者。

ちなみにプロ選手がレースで使うのは前者。チームカーやスタッフから必要なだけボトルがもらえる彼らにとって、ボトルは使い捨て。夏は身体を冷やすために水をかけるので、しなやかで水を絞り出せる素材が最適だし、コストも安く収まる。

なぜなら、600mLは正しく水分補給するなら1時間分。酷暑の頃なら、その倍を飲んでもおかしくない。「そんなに飲むの?」と思うかもしれないが、サイクリングは想像以上に汗を掻く。気化熱で発汗に気がつきにくいが、通勤ライドでも水分補給は必要なのだ。

しかし、暑いときにキンキンに冷えたドリンクを飲めるありがたみは、想像に難くないだろう。容量は600mL、保冷能力は6時間。4℃の水が10℃以下で保たれているというが、実は保冷能力の低下を感じるのは難しい。

クロスバイクの人ならボトルケージを装着すれば、走りながら飲むこともできる。シティバイクの人ならバックパックに入れて、10~15分間隔を目安に、信号で停まったときなど水分を補給しよう。

  • 空気穴があり、走行中でも補水しやすい飲み口

    空気穴があり、走行中でも補水しやすい飲み口

シンプルなデザインなので、オフィスでマイボトルとして使うにも重宝する。保冷専用のFJP-601の他、冬用はマグタイプのFJF-580もある。マグタイプは保冷用としても使えるが、走りながら飲みやすいのはFJP-601だ。