現在放送中の連続テレビ小説『あんぱん』(NHK総合 毎週月~土曜8:00~ほか ※土曜は1週間の振り返り)で高知新報にのぶと共に戦後初の女性記者として入社した小田琴子を演じている鳴海唯にインタビュー。普段はおしとやかだが、酒が入ると饒舌になる琴子をどのように演じているのか、また、高知新報シーンの雰囲気なども聞いた。

  • 鳴海唯

    鳴海唯 撮影:大野代樹

普段はおしとやかだが、酒が入ると饒舌になる琴子役

112作目の朝ドラとなる『あんぱん』は、漫画家・やなせたかしさんと妻・暢さん夫婦をモデルに、何者でもなかった2人があらゆる荒波を乗り越え、“逆転しない正義”を体現した『アンパンマン』にたどり着くまでを描く愛と勇気の物語。小松暢さんがモデルのヒロイン・朝田のぶ役を今田美桜、やなせたかしさんがモデルの柳井嵩を北村匠海が演じ、脚本は中園ミホ氏が手掛けている。

――高知新報シーンは、のぶ役の今田さん、東海林明役の津田健次郎さん、岩清水信司役の倉悠貴さんら、そして、嵩役の北村さんも加わりましたが、現場はどんな雰囲気ですか?

私にとっては尊敬する方々ばかりですが、皆さん穏やかで温かい空気を作ってくださるので、ずっといい雰囲気です。高知新報のシーンは、自由と活気にあふれた力強いパートなので、自然と現場も和気あいあいとしています。

――今田さんと北村さんとの共演はいかがですか?

今田さんは自然体な方で、その空気感が現場の雰囲気を作っていると思います。北村さんも同じぐらい穏やかに構えてくださっていて。お二人は楽屋になかなか戻らず前室にずっといてくださって、そのおかげで自然と新聞パートのみんなと仲良くなることができたし、お二人とも打ち解けることができました。すごく自然体なお二人だからこそ、『あんぱん』という作品の空気感がここまで温かいものになっているんだなと、お二人を見て感じました。

新聞社にいる時とのギャップを作ることを意識

――琴子はお酒が入ると饒舌になるという女性ですが、酔っぱらう演技はいかがでしたか?

お酒を飲むお芝居は難しかったです。酔っ払い方って十人十色で、大声を荒らげる人もいれば、しっとり静かに飲む人もいるだろうし、そういうリアリティと、お芝居で見せなきゃいけない部分という狭間でずっと揺れて悩んでいた気がします。北村さんたちとのシーンで酔っぱらうという場面があるのですが、「酔っ払う演技ってどうやったらうまくできるんですか?」と聞いて、皆さんにアドバイスをもらいながら演じました。

  • 『あんぱん』場面写真 (C)NHK

――北村さんからどんなアドバイスをもらいましたか?

それこそ十人十色だから正解はないというか、私がテストでやってみて「こんな酔っ払いはいないですかね?」と聞くと、「そういう人もいるよ」とおっしゃってくださいました。私は酔っぱらって気性が荒くなることもないですし、そこまでお酒が強い方ではないので、酒豪の方の酔い方は想像が必要で、塩梅を探るのが難しかったです。北村さんや倉くんはお酒がお好きで、酔っ払いの演技は得意だとおっしゃっていました(笑)

――いろんな酔い方を探る中で、最終的にどんなことを意識して演じたのでしょうか。

楽しく飲んで、つらいことなどを忘れたい人なんだろうなと、本を読んで感じました。普段、高知新報にいる時は口数も少ないですし、穏やかに、おしとやかに、波風を立てないように生きているストレスがお酒を飲むと爆発するという、そこの爆発力みたいな、新聞社にいる時とのギャップを作ることを意識しました。

――難しかったとのことですが、酔っ払い演技の楽しさも感じましたか?

すごくやりがいはありましたが、表面的なお芝居にならないようにしたいなという思いもあって、よく監督に「大丈夫ですかね?」と聞いていました。お酒が入ることによって本音を吐露するキャラクターなので、お酒を飲んでいるシーンは琴子の人間味が出るといいなと思って演じたので、そこが見ている方にも伝わったらうれしいです。

――鳴海さん自身が琴子と似ているなと感じている点はありますか?

基本的に全然違うなとは思いますが、人は出会う人や環境によっていろんな顔を持っていて、二面性どころではないと思っているので、私自身も無意識のうちにスイッチをたくさん持っていて、切り替えているのかなと。琴子はわかりやすくお酒がスイッチになっているだけで、いろんな顔を持っているという面に関しては通ずるものがあるのかなと思いました。

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■鳴海唯
1998年5月16日生まれ、兵庫県出身。映画『P子の空』(18)で女優デビューし、2019年度前期連続テレビ小説『なつぞら』でドラマ初出演。近年の主な出演作は、ドラマ『どうする家康』(23)、『君が獣になる前に』(24)、『Eye Love You』(24)、『あのクズを殴ってやりたいんだ』(24)、『秘密THE TOP SECRET』(25)、『地震のあとで』(25)、Disney+『七夕の国』(24)、ABEMA・Netflix『わかっていてもthe shapes of love』(24)、映画『赤羽骨子のボディガード』(24)など。