視聴データを独自に取得・分析するREVISIOでは、 今年上半期のACジャパン・テレビCMの画面注視データをまとめた。
近藤真彦&ゆうちゃみ出演CMが高スコア
今年1月以降、フジテレビにおけるCM差し替えなどをきっかけに出稿量が大幅に増えたACジャパンのCM。今回の調査では、地上波キー局で上半期(1月1日~6月30日)に放送されたものを対象とし、CM分析ツール「REVISIO One」を使った独自の注視指標「Cスコア」をもとにランキングした。
Cスコアは、放送枠の平均的なCMの視られ方に対して、どれくらいよく視られていたかを評価する相対指標。時間帯や放送局の影響を極力排除して、クリエイティブの横比較が可能となっており、Cスコアが高いほど視聴者の目線をくぎづけにしたCMであることが分かるという。
その結果、25年上半期で最も視聴者をくぎづけにしたACジャパンのCMは、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「往年のアイドル」篇30秒(出演:近藤真彦ほか)と、「ゆうちゃみの3日ぶん」篇30秒(出演:ゆうちゃみほか)が、同スコアで並んだ。
また、特に放送が多かったのは、日本眼科医会「アイフレイルの歌」篇30秒。同CMで使われた「かえるの合唱」の替え歌は、老若男女問わず口ずさめる人も多いのではないか。出稿量を週次データで確認すると、1月20日・27日週が突出していることが分かる。
この期間は、フジテレビのAC差替えが活発になった時期であり、24年下半期と比較すると25年上半期の出稿量が圧倒的に増えていることが分かる。
一見CMなのか分からない演出に惹きつけられる
REVISIOの調査では、過半数のCMが放送中に徐々に注視が落ちていく「右下がり」型であることが分かっている。最後までしっかり視られてCM認知を最大化できる可能性が高い「右上がり」のCMは、全体の8%しかないという。
そんな中、ACジャパンのCMで「右上がり」になっているのは、「決めつけ刑事」篇30秒。1秒ごとにどのような視られ方をしていたのかをグラフの波形で確認すると、冒頭から右肩上がりに注視が上昇している様子が分かる。一見、CMなのかどうか分からない演出に視聴者が惹きつけられているのだろう。
その後ベテラン刑事(嶋田久作)が登場し、SNSの投稿を「証拠」として犯人に突き付けるシーンでは、最も高い注視を獲得。「はぁ!?」という犯人の叫びに、視聴者も強く共感しながら画面にくぎづけになっているのかもしれない。
根拠のない証拠を振りかざし強引な捜査を進めるベテラン刑事に目が離せないのか、後半も注視は高いまま推移。「誰のどんな投稿もすべてを鵜呑みにして追い込んでいく『決めつけ刑事』~あなたもこうなっていませんか?」という、このクリエイティブにおけるメインメッセージもしっかり視聴者に伝えることができていた。
このように、ストーリー性の高いCMクリエイティブは最後まで視聴者の注視を維持しやすく、訴求したいメッセージをより確実に視聴者に届けることができるようだ。