注目度4位は、第6話。この回は男性の注目度が71.4%と高く、特に男性視聴者からの支持を集めた。物語は、父・結太郎の死に沈む朝田家が、少しずつ前を向いていく姿を描いている。のぶ(子役・永瀬ゆずな)の父への思い、家族を支えようと奮闘する祖父・釜次(吉田鋼太郎)の姿、そして嵩(子役・木村優来)が父・清(二宮和也)の仕事について知る場面など、「父と子」の絆が色濃く描かれていただけに、特に男性視聴者の心に響いたのではないかと考えられる。

注目度5位は、第13話。パン食い競走で失格となり落ち込むのぶに、繰り上げで1位となった千尋が優勝賞品のラジオを譲るという、心温まるエピソードが描かれた。のぶはそのラジオを使って、近所の子どもたちにラジオ体操を教え、「学校の先生になる」という夢を見つける。

この回は平均世帯視聴率でも第1位(10.6%)を獲得。放送日は4月16日で、ドラマ放送の3週目にあたる。朝ドラは放送期間が長いため、放送開始から数週経ってから「評判が良いなら見てみよう」と視聴を始める人も多く、ちょうどこのタイミングで新たな視聴者層を取り込んだ可能性が高いと考えられる。さらに、のぶが家族に背中を押されながら夢を追いかけ始める姿と、嵩がかつて応募した漫画で入選を果たすという、主人公2人の成長が描かれた密度の高いストーリーが展開したことで、視聴率のみならず視聴質の高さをも獲得したのではないだろうか。

第12話~第14話の注目度が連続して高く推移

ランキングの1位~5位を見渡すと、いずれも主人公たちが夢を見つけたり、新たな一歩を踏み出したりと、成長や変化を感じられる回であることが共通している。これは、朝ドラの視聴者層が最も重視する要素のひとつといえるだろう。

ちなみに、第12話~第14話の注目度が連続して高く推移していたことが分かる。ここでは男子に混じってパン食い競争に出場したのぶが、一等賞だったにもかかわらず理不尽な扱いを受け悔しい思いをするのだが、同時に「女子でも思いっきり夢を追いかけて良い」と強く前を向く様子が描かれていた。

やはり主人公たちが悩みながらも人生を模索し、成長していく姿を応援することが、朝ドラ視聴の目的となっていることは間違いなさそうだ。

『あんぱん』は、のぶと嵩という2人の主人公が、それぞれの人生を通して“逆転しない正義”を貫く『アンパンマン』の精神にたどり着くまでの過程を描いている。2人がどのようにして、自分たちの中にある大切な価値観や使命感を見つけ出していくのか。その旅路を見守る視聴者の期待は、これからますます高まっていきそうだ。