ここからは、『あんぱん』の支持が高いコア視聴層で放送話ごとのランキング結果を見ていこう(対象は、3月31日放送の第1話~5月2日放送の第25話)。

注目度1位は、第21話。主人公・のぶ(今田美桜)が女子師範学校の寮に入り、新たな人生の一歩を踏み出す場面が描かれた回だ。コア視聴層の中にはちょうどこの春、新生活をスタートさせた人も多かったはず。のぶの不安や期待、緊張感に自分を重ねながら視聴した人が多かったのではないだろうか。

この回では、教師から「お国のために尽くしなさい」と厳しく叱責されたり、先輩との厳しすぎる上下関係に戸惑ったりと、のぶの新生活は順風満帆とはいかない。それでもひたむきに前に進もうとする彼女の姿に、応援したくなる視聴者が続出したことが、高い注目度につながったと考えられる。

一方で、のぶの幼なじみ・嵩(北村匠海)は浪人生として悩みの中にいた。弟・千尋(中沢元紀)との会話の中で、少しずつ本音を語り始め、「絵を描いて生きていきたい」という自身の本当の願いに気づいていく。この第21話は、のぶと嵩、それぞれが自分の道を模索し、新たなスタートを切る姿が描かれており、共感や感動を呼び起こす回として、多くの視聴者の心に残ったのではないだろうか。

「あんぱん」が本格的にストーリーに関わりだす回が2位

注目度2位は、第8話。パン職人の屋村(阿部サダヲ)から初めてあんぱんの作り方を教わるシーンが描かれ、いよいよ物語のタイトルにもなっている「あんぱん」が本格的にストーリーに関わってくる。のぶの父・結太郎(加瀬亮)の死から続いていた重苦しい雰囲気が一変し、視聴者はワクワクしながら物語を追ったことだろう。

この回は、コア視聴層だけでなく、全年代を対象とした「個人全体注目度」でも第1位を獲得。幅広い層からの関心の高さがうかがえる。屋村の、普段とは違う真剣な表情、そしてパン屋開店に向けた準備の様子が丁寧に描かれ、視聴者はその熱量や期待感に引き込まれたと考えられる。

注目度3位は、第12話。町のお祭りで開催されたパン食い競走がストーリーの中心だ。のぶは出場を希望するものの、「女は出場できない」という時代の壁に直面する。そんな中、嵩が自らのたすきをのぶに託し、彼女は風のように走って見事1位を獲得。痛快な展開に、多くの視聴者がくぎづけになったことだろう。

この回では、女性の注目度が67.5%と高く、男性の62.9%と比較して4ポイント以上の差がついている。現代でも女性の生きづらさが取り沙汰される中、昭和初期というより厳しい時代背景の中で「女だから」と制限されるのぶの姿に、多くの女性視聴者が強く共感したことが読み取れる。のぶがつぶやいた「おなごはつまらん」という言葉に、胸を締めつけられるような思いを感じた人も多かったのではないだろうか。