JR東海は、大雨が降った際に東海道新幹線で運転規制を実施するかどうか判断する評価指標について、新たに「土壌雨量」という指標を導入したことを発表した。長時間にわたる雨の影響をより正確に把握することが可能になるとのこと。

  • 東海道新幹線に新たな降雨運転規制の指標として「土壌雨量」を導入する

東海道新幹線では、これまで沿線各所に設置した雨量計を用いて雨の量を測定しており、必要に応じて徐行運転や運転見合わせなどの運転規制を実施してきた。とくに東海道新幹線の場合、土を盛り上げた「盛土構造」と、地面を谷状に掘った「切取構造」が全線の53%を占め、降雨の影響を受けやすいことから、短時間に集中して降る雨の影響を「時雨量」で、長時間降り続く雨の影響を「連続降雨量」でそれぞれ規制してきた。

新たに運転規制の指標として導入される「土壌雨量」は、降った雨が土壌中に浸み込み、たまるプロセスを模式化し、降雨が土壌中に水分量としてどれだけたまっているかを数値化。気象庁が土砂災害警戒情報などの判断基準に用いている「土壌雨量指数」と同じ計算モデルを活用し、東海道新幹線沿線に設置した59カ所の雨量計の観測値をもとに算出した上で、各地点の地形や過去の降雨経験にもとづき、個別に規制値を設定する。今後、過去24時間あたりの降雨量を示す「連続降雨量」に代わり、この「土壌雨量」を評価指標として用いるという。

これにより、降り始めからの降雨の影響をより長時間にわたり正確に反映でき、24時間以上連続して強く雨が降り続くケースでも、その影響を正確に評価できるとしている。