フォートレス・インベストメント・グループ傘下のマイステイズ・ホテル・マネジメント社が、5月29日に事業戦略と社名変更についての記者説明会を開催した。昭和レトロブームで復活を遂げた熱海の「ホテルニューアカオ」や福島の「スパリゾートハワイアンズ」、宮崎の「フェニックス・シーガイア・リゾート」といった施設がグループインしてきた同社。本会では7月に予定する社名変更の背景や今後の事業戦略が説明された。

  • マイステイズ・ホテル・マネジメントが「アイコニア・ホスピタリティ」に社名変更へ

再生型投資でホテル事業を強化、フォートレス傘下で急成長を実現

宿泊特化のビジネスホテル、中⻑期滞在型シティホテル、フルサービス型、温泉リゾート旅館などを全国で展開し、日本国内で約180棟、約24,000室を運営するマイステイズ・ホテル・マネジメント。

本会の冒頭には、その親会社であるフォートレス・インベストメント・グループ・ジャパン合同会社の山下明男氏が登壇し、20年余りにわたって欧米を中心にグローバルに投資を行う同グループについて説明した。

  • フォートレス・インベストメント・グループ・ジャパン合同会社の山下明男氏

世界での資産運用総額が477億ドルに上るフォートレスグループは、2009年から日本で本格的に投資をスタート。現在、日本での運用資産残高は全体の20%弱の規模となっている。

「金額ベースでは1/3が日本の投資家、2/3がグローバルの機関投資家からの出資で、我々が投資した傘下のプラットフォーム企業も含めた従業員数は合計で約2万1,000人。フォートレスグループでは日本をアジアの中心的な拠点と位置づけており、日本特化のファンドを持ち、とくに不動産を裏付けとする資産や企業の再生を得意としてきました」

  • フォートレスのクレジット・不動産関連投資におけるグローバル・インフラ

マイステイズ・ホテル・マネジメントは、フォートレスグループのホテル不動産への投資戦略の中で中心となっている投資プラットフォーム企業。宮崎県宮崎市のフェニックス・シーガイア・リゾートを昨年6月に買収し、今年1月には福島県いわき市のスパリゾートハワイアンズを子会社化するなど、今後に向けた設備投資が進んでいる。

  • 日本における主な投資プラットフォーム企業

山下氏は日本の地域社会・経済に根差した事業再生にフォートレスグループの強みがあると語った。

「ホテル単体での再生にはハードルも多く難しい場合も少なくありませんが、180弱のホテルを有するスケールメリットが我々のポイントのひとつ。最後まで責任を持ってホテル事業を再生させ、従業員のみなさまの雇用を守りながら会社を成長させていく。その意味で我々は単なるファンドではなく事業会社であるという意識を持っており、関係者や地域の方々とパートナーシップの基にホテル運営を行っています」

  • ウィークリーマンションの運営・管理会社から「総合ホテル運営会社」へ

マイステイズ・ホテル・マネジメントは1999年、ウィークリーマンションの運営・管理会社として創業し、2005年には「ホテルマイステイズ舞浜」を開業。その後、ホテル事業に舵を切るようになり、2014年に「ウィークリーマンション東京」から「マイステイズ・ホテル・マネジメント」へ社名変更を行った。

  • マイステイズ・ホテル・マネジメント社長の代田量一氏

「2012年、フォートレス・グループの傘下となり、以降は宿泊特化からフルサービス/リゾートホテル運営が増加。2022年には『かんぽの宿』30施設を『亀の井ホテル』としてリブランドオープンし、ホテルニューアカオ(静岡県熱海市)の運営も同年から開始しています」とは、マイステイズ・ホテル・マネジメント社長の代田量一氏。

  • フォートレス・グループの一員となった2012年から受託売上高は14倍に

同社の受託売上高は昨年12月期の数字で1,400億円。ホテル棟数は3.9倍、客室数は4.4倍、従業員数は431人から1万1,560人と、この12年間で急成長を遂げているという。

「当社の成長の柱は『再生』『オンリーワン』『持続・維持』の3つです。いち早く公休数や福利厚生を業界の水準から大きく改善させており、一般の法人と同程度の水準となっています。さまざまな業態のホテル運営をしていくなか、確実に必要になるのが人材ですので、人材戦略については今後さらに進化・強化していきたいと考えています」

  • 成長の柱は「再生」「オンリーワン」「持続・維持」

ロイヤリティプログラム「GoTo Pass」を開始

今後の事業戦略や新社名について発表したのは、マイステイズ・ホテル・マネジメントの山本俊祐氏。フルサービス・リゾート・旅館の割合が客室の2/3ほどにまで増え、売り上げも6〜7割がこの宿泊特化以外が占めていることが、今回の社名変更の背景となっているという。

  • 運営ホテルのスタイルの変化

「国内のホテル運営会社の受託施設数ランキングでは、マイステイズは業界4位に位置しており、多様なタイプのホテルを手掛ける総合ホテル運営会社としては日本最大手と言える状況です。長く多くの方々に親しまれてきた、非常にアイコニックな大型案件も受託するようになりました。宿泊特化のコアブランド ホテルマイステイズに紐づく社名では事業を表しきれない現状を踏まえ、7月1日に『アイコニア・ホスピタリティ』と社名を変更することとしました」

新社名には地域のアイコンとなる施設で、宿泊者にアイコニックな宿泊体験を想像するといった想いが込められており、ホスビタティ産業のプロ集団を目指すという決意も込められたネーミングとなっているようだ。

  • マイステイズ・ホテル・マネジメントの山本俊祐氏

これに伴い、5月29日からは念願のロイヤリティプログラム「GoTo Pass」をローンチ。「KAMENOI HOTEL MEMBERS」プログラムの会員など、すでに165万名が新プログラムに引き継がれており、2026年末までに500万名に会員数を増やす目標だという。

全国170以上の施設で利用可能な新ロイヤリティプログラム GoTo Passについては、同社のロイヤリティプログラム本部・兵藤晴彦氏が紹介した。

  • マイステイズ・ホテル・マネジメント ロイヤリティプログラム本部・兵藤晴彦氏

「これまでホテルブランドや施設ごとにポイントプログラム・特典を用意していましたが、グループ共通のものはありませんでした。『人生を、想像外へ、連れだそう』をコンセプトとするGoTo Passは、こういった課題を解決するために生まれたロイヤリティプログラムです」

GoTo Passの入会費・年会費は無料で、会員はレストラン・売店を5%オフで利用できるほか、アーリーチェックインの特典を用意。「シルバー」「ゴールド」「プラチナ」の3つのステージがあり、ポイント付与率は最大2.5%となっている。

  • ロイヤリティプログラム「GoTo Pass」

対象施設はサービス開始時点で「ホテルマイステイズ」「亀の井ホテル」「フレックステイイン」「アートホテル」など全国150棟以上。新生マイステイズ=アイコニアのグループ力と、ロイヤリティプログラムによる相乗効果を最大限に創出することで、グループ全体のクロスセル・クロスユースを促進していくという。

「2025年夏以降、フェニックス・シーガイア・リゾート、スパリゾートハワイアンズ、愛犬ファーストの宿泊施設などを全国に展開する「セラヴィリゾート泉郷」等々、非常にユニークな施設が対象となる予定です。GoTo Passを通じて皆様にたくさんの想像外の体験を創造していきたいと考えています」

6月6日より同社が運営受託するフェニックス・シーガイア・リゾートでは、新たな名称でのリブランドに合わせて、大々的な記念イベントも同日開催予定だ。