クランクアップを迎えた瞬間は「ほわっとしていました」と回顧。最後のシーンは、若き日の源内が田沼と出会うシーンだったと明かす。

「源内が自分の夢を語り、それに対して田沼が共鳴し、初めて『平賀源内と申します』と名乗る出会いのシーンで終わったんですけど、そのときも大原さんが『早口で』とおっしゃって、早口でやるんですけど2回ぐらい噛んでしまって(笑)。撮影は長丁場となりましたが、スタッフさんがみんな笑顔で笑ってくれていて、それがうれしかったです」

平賀源内を演じ切って学んだ人生の教訓とは?

「『迷わず行けよ。行けばわかるさ』。それをやるとなると、ある程度の覚悟も必要でしょうし、運の強さも必要だろうと思います。出すぎた杭は目立つしかっこいいかもしれないけど、出すぎるんだったら覚悟して出すぎたほうがいいし、そうではなくても楽しいことはいっぱいあるでしょうし、気ままに生きるべきじゃないかなと思います」

大河ドラマへの出演は『功名が辻』(2006)以来19年ぶり2度目。源内という重要な役どころを演じ、反響を感じたという。

『鶴瓶の家族に乾杯』で宮城県名取市を訪れたときも、『さぬきドキっ!』で源内の故郷・さぬき市志度を訪れたときも、地元の人たちから「源内さん」と声をかけられたそうで、「とんでもない影響力だなと思います。それだけの方たちが本当に楽しみにしてくれているドラマなのだと、そのロケを通じて実感しました」としみじみ。

源内と心の中で対話しながら演じたという安田。「史実だと人を殺した、今回の物語だとハメられた。決して幸せな最期ではなかった気がしますが、僕は褒めます。あなたが残した功績は発明だけじゃない。自由な発想を持っていたのではないか、ほかの人にはできない生き方をしたのではないか、そういうものが今も受け継がれて愛されていますということは、ずっとお話していました。とにかく僕はあなたをずっと肯定し続けますという気持ちで演じさせていただきました」と語っていた。

■安田顕
1973年12月8日生まれ、北海道出身。演劇ユニット「TEAM NACS」メンバー。映画・ドラマ・舞台など数々の話題作に出演、硬派な役から個性的な役まで幅広く演じている。近年の出演作に、ドラマ『PICU 小児集中治療室』『大奥』『日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった』、映画『ラーゲリより愛を込めて』『朽ちないサクラ』『35年目のラブレター』『光る川』『おいしくて泣くとき』など。『ドールハウス』が6月13日公開予定。

(C)NHK