2005年に芸能活動を開始し、今年20年の節目となる高梨臨。現在放送中の大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(NHK総合 毎週日曜20:00~ほか)では、10代将軍・徳川家治(眞島秀和)の側室・知保の方を演じている。高梨にインタビューし、本作での役作りや現場でのエピソードなどを聞いた。

  • 大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』知保の方役の高梨臨

    大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』知保の方役の高梨臨 (C)NHK

江戸時代中期の吉原を舞台に、東洲斎写楽、喜多川歌麿らを世に送り出し、江戸のメディア王にまで成り上がった“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く本作。

13日に放送された第15回「死を呼ぶ手袋」では、家治の長男・家基(奥智哉)が鷹狩りの最中、手袋をつけたまま親指の爪を噛んだ直後に倒れ、謎の死を遂げた。家基の母・知保の方は、田沼意次(渡辺謙)から家基の死を告げられ、心臓発作だった説明されると、「病死のわけがなかろう」「お前が毒を盛ったのであろう」と激怒。爪を噛みちぎって親指が血に染まり、「西の丸を返せ!」と怒り狂う姿に、SNSで「知保の方さま怖い&痛い」「すごい迫力」「怖すぎ」などと反響を呼んだ。

――『西郷どん』(2018)以来、7年ぶり2度目の大河ドラマ出演となりましたが、ここまで演じてきていかがですか?

久しぶりの大河ドラマだったのですごくうれしいですし、毎回現場に行くたびに引き締まる思いです。

――出演発表の際に「またいつか大河ドラマに出演したいという目標を持っていた」とコメントされていましたが、大河ドラマには特別な思いが?

そうですね。いい緊張感の中でお芝居できますし、素敵な共演者の方々とご一緒できることもうれしいです。『西郷どん』のときは最後の将軍(慶喜)の側室で、今回は10代将軍の側室と、似たような時代がまたできるというのも縁があるなと感じました。

  • 撮影:蔦野裕

――『西郷どん』で演じられたふきはドラマオリジナルのキャラクターでしたが、今回は実在の人物です。実在の人物を演じるやりがいをお聞かせください。

『西郷どん』のときも朝ドラ(『花子とアン』)のときも創作されたキャラクーだったので、実在の人を演じられるというのはうれしいですし、やりがいも感じています。その分、責任感が大きいですが、知保の方は諸説ある人物なので、割と想像で演じていいのかなと思っていて、監督とお話したら、闇があって悪役っぽい感じがあった方がいいということだったので、この作品の中のお知保を演じられたらと思っています。

――本作での知保の方をどう捉えて、どう演じようと意識していますか?

すごく意志を持っている女性で、男の時代ではありますが、お知保自身もかなり上昇志向があり、自分の子供が将軍になると思っていたのに田沼たちにやられてギラギラしていて、どんな手を使ってでも絶対にのし上がってやるという思いが強い人物だと思います。自分が生んだ息子を将軍にしたいという思いが強すぎて猟奇的に見えると思いますが、自分の中の正義を大切に、自分はこうしたいという思いをぶつけるようにしています。

――怒りや恨みなど感情が顔に出ていて、不気味な存在感を放っています。

かなり不気味ですよね(笑)。自分の思うようにいかず、我を失って猟奇的な女になっていき、「やりすぎじゃないですかね?」と監督と笑ってしまうぐらい暴れています。

――暴れるシーンというのは、第15回で意次から家基の死を告げられ、怒り狂うシーンでしょうか?

そこが大きな一つです。意次に向かって「お前が毒を盛ったのであろう」などと叫びましたが、渡辺謙さんにそんなこと言えないという気持ちもあって緊張しました。

――渡辺謙さんとの初共演をとても楽しみにされていましたが、実際にお会いしていかがでしたか?

最初はすごく緊張していましたが、とても優しくてフレンドリーな方で、フランクにいろいろ話しかけてくださいました。

――そんな謙さん相手だからこそ、思い切って感情をぶつけることができたのでしょうか。

そうですね。思い切って感情をぶつけて暴れたら、「イっちゃってるね」と言ってもらいました(笑)