今回は、フジタの父が亡くなるまでも描かれる。恨み続けていた父に対して「“お疲れ様、ありがとう”と言いたいですかね」と語るフジタに、宮崎は「あのような思いになれたというのは、ご自身が次に進める、前向きなものだと思うので、とても良かったと思います」と安心した様子だ。
また、人生において常に愛情とお金がリンクしていた父だったが、フジタに子どもが生まれたことを電話で聞いて発した「ありがとう」に、「フジタさんもすごくうれしそうでしたし、見ているこちらもその言葉が聞けて良かったなと思う一言でした」と感慨深く語った。
改めて感じた「親になるということの責任」
昨年11~12月に『ザ・ノンフィクション』で3週にわたり放送された『炎の中で死んだ父を僕は知らない』でもナレーションを担当した宮崎。これは、自分の人生を翻ろうし続けた父の足跡をたどるテレビディレクター・落合陽介ギフレさんを追った作品だが、父親と長年にわたり距離を置き、その関係性に葛藤を抱えた息子という境遇に、フジタと共通するものがある。
父とほとんど会っていないにもかかわらず、陽介ギフレさんは「9割ぐらい親父と同じような感覚で生きていたんだな」と自覚。一方のフジタは、幸せな家庭を築くことに苦労し、いずれも知らず知らずのうちに価値観や環境を受け継いでいた。
これを目の当たりにした宮崎は「親になるというのは、改めて責任重大だと感じました。でも、それは素晴らしい責任だと思います。もちろん誰が悪いということではなく、少しでも良い環境を整えて、少しでも良い影響を与えられる人でありたいですね」と思いを強くした様子。
フジタが父、妻との関係が順風満帆にいかない姿を見てきて、「それぞれのバックグラウンドが違うから、“この人が悪いからこうなってしまった”とは一概に言い切れないというのを、ものすごく考えさせられました」といい、今回のナレーションも、「人の人生を、自分事のように考える時間でした。本当に『ザ・ノンフィクション』ってすごいですね」と、しみじみ感心していた。
●宮崎あおい
1985年生まれ、東京都出身。『NANA-ナナ-』『少年メリケンサック』『舟を編む』『怒り』などの映画、連続テレビ小説『純情きらり』『あさが来た』、大河ドラマ『篤姫』などに出演。2026年の大河ドラマ『豊臣兄弟!』にお市役で出演予定。『ザ・ノンフィクション』では18歳から現在まで番組最多回数のナレーションを担当し、今回の『あの日 僕を捨てた父は3 ~ようやく家族になれたのに~』で47回に達する。