昨年5月に配信リリースした「はいよろこんで」が大ヒットし、『NHK紅白歌合戦』初出場も果たしたマルチクリエイター・こっちのけんと。今年の元日から活動をセーブしていたが、3月8日にセーブ期間終了を宣言し、それに先立ち新曲「Time lapse (feat. Yella.E)」も配信リリースした。3月19日にはミュージックビデオの祭典「MTV VMAJ」の授賞式に出席。2部門を受賞したこっちのけんとにインタビューし、昨年の大ブレイクを振り返るとともに、セーブ期間を設けた理由や、自分の中で明確になったという歌手活動への思いを聞いた。
「MTV VMAJ」で2024年に飛躍した新進気鋭のアーティストを称えるアワード「Future Icons Award」に加え、「はいよろこんで」で「Best Animation Video」も受賞したこっちのけんと。
2024年が自身にとってどんな年になったか尋ねると、「今後の人生の指標というか土台ができたという感覚がありました。音楽を作って人前で歌って、人を元気にさせることが自分の職業なんだなと自覚できた年というか、大袈裟に言うと、自分の使命が明らかになった年だったなと思います」と答えた。
それまでは制作側として活動していくことも選択肢として考えていたが、自分の職業は歌手だということが自分の中で明確に。
「多趣味なので映像の編集などいろいろやっていたので、裏方に回るのか表に出るのか悩んでいた時期もありましたが、それが去年で全部払拭されたというか、自分の中で整って、人前で歌って元気づけるというのが職業なんだろうなと。自分が続けるべきことがわかった年になりました」
激動の1年で「とにかく全部変わった」と述べ、曲作りにおける考え方も大きく変わったと明かす。
「以前は過去の自分や未来の自分に向けて書く手紙という気持ちで作っていましたが、去年の途中から、それにプラスして、聞いてくれる人たちの顔が浮かぶというか、その人たちのためにも作っていかないといけないなと、曲作りにおいてプラスαの要素が増えました」
また、自分の音楽を届けていきたい人たちも昨年を通して明確になってきたという。
「生きづらいと思っている人たちに届けていきたいなと。自分が正しいというか、優しいはずなのに、なんで自分が損しちゃっているんだろうみたいな優しすぎる人や、周りを気にしすぎてしまう人たち、そして、精神病やうつ病で悩んでいる人たちが少しでも生きやすくなるように、精神病を少しでも広める活動をしていけたらいいなと思っています」
かねてより双極性障害(躁うつ病)を公表し、その悩みも発信しているが、同じ病気の人たちから届く声を聞いて、その人たちに向けて音楽を届けたいという思いが強まったという。
「DMやお手紙で『同じ病気です』という人たちの思いを聞くと、自分もめちゃくちゃわかるんです。双極性障害と言っても伝わらないことが多いので、それを言ったらちゃんと伝わる世の中に、少しでも僕きっかけで変わるといいなと。同じ病気の方から『救われました』という声をたくさんいただきますが、僕もそれですごく救われているので、プラスプラスでめっちゃ相乗効果になっています」