――劇中では、「人生を振り返ったときの一番の思い出の料理」を提供するというシーンもありますが、現時点での宮崎さんにとっての一番の思い出の料理は何ですか?

それも難しい質問ですね…(笑)。私は朝食がご飯なのですが、バターをたっぷり塗ったトーストにジャムを付けて、目玉焼きなんかもあるといいかな。小学生の頃、ある日母親が「今日から朝は紅茶とパンよ!」と言い始めたことがあって、「どうしたんだ!?」と思った思い出と、大学の頃に新体操をやっていて、同級生の女の子たちがみんな下宿していて、合宿の時になるとその下宿先に泊めてもらっていたんですが、その朝食もたっぷりバターを塗ったトーストだったんですよ。それがすごく懐かしくて美味しかったなあと思って。そんなものいつでも食べられそうなんですけど、その光景の思い出込みの味なんですよね。

――みんなでワイワイしながら。

そうそうそう(笑)。さだまさしさんの曲が流れてたなあ。誰かが好きだったんですよ。「今日の練習、大丈夫かな」とか言いながら、バリッと食べていましたね。

  • 小野武彦(左)と宮崎美子

――素敵な思い出のお話をありがとうございます。では最後に、改めて今作の見どころをお願いします。

今みたいに、自分があのワインを飲んで誰かに会えるとしたら誰にしようかと考える、そんな時間も素敵だなと思うんです。「人生を振り返る」なんて大げさに構えるんじゃなくて、自分が何を大事にして、ちゃんと周りの人のことを大事にしてこられたのか。普段は忘れているかもしれないけど、誰かに言い忘れていることがなかったかな?と、一緒に考えてもらえるきっかけになったら、ちょっと面白い味わいになると思います。

あと、あのワインを飲む人は高齢だとしても、そこから青春が語られるわけですから、それは誰にとっても経験しているものじゃないですか。小野武彦さんが演じたのは中学校の先生から学校のいじめ問題の話が出てくるし、柊ちゃんも実際の社会で起こっているような問題を抱えているので、いろんな年齢層の方が「これは!」って感じるものを提示できるドラマじゃないかなと思います。

  • 宮崎美子(左)と尾碕真花

■『土ドラ特別企画「介護スナックベルサイユ」』(東海テレビ・フジテレビ系 3月22日・29日23:40~)
出演:尾碕真花 宮崎美子
   笛木優子 木村了 杏花 高山広 片岡信和 清田みくり 吉原怜那(ダウ90000)
   / 田島令子 夏樹陽子 草村礼子 小野武彦
   萬田久子 石倉三郎

■第2話あらすじ
1日で店を辞めるつもりだった柊(尾碕真花)だったが、金もなく腹を空かせ、気づけばベルサイユに戻っていた。そんな折、店でリハビリをしていた客を、柊なりの激励で奮い立たせ、心を明るくしていく。そして今宵も特別のワインを希望する客が。元社交ダンスの先生で、余命2か月の宣告を受けていた金沢麗子(夏樹陽子)が来店する。そしてその後、もう1人のベルサイユの常連客との奇跡の出会いによって、柊の生い立ちが明かされる。