近年、各局が注力しているアニメは、今改編でも枠が増加する。フジは、日曜朝の『ワンピース』が日曜23時15分に移動。この枠は、不定期で『鬼滅の刃』が放送されてきたが、レギュラーのアニメ枠として編成された。フジは他にも、『ドラゴンボールDAIMA』が放送されていた金曜23時台に、20年続く深夜アニメ枠「ノイタミナ」を進出(金曜23:30~)させ、全国ネット化する。

テレ朝は、水曜23時45分に新アニメ枠「IMAnimation W」を新設。同局の深夜アニメ枠は「IMAnimation」(土曜23:30~)、「NUMAnimation」(同25:30~)に続き3枠目となり、土曜26時にはABCテレビの「ANiMAZiNG!!!」枠も編成されている。

日テレは、従来のドラマ枠「ドラマDEEP」(火曜24:24~)で、「火曜プラチナイトアニメ」として『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』がスタート。ただこの編成は「イレギュラーな形」(江成部長)だといい、7月からは再びドラマが放送される予定だ。

従来からキー局で最も多くアニメを編成するテレ東の工藤仁巳コンテンツ編成部長は「どんどん人気作、話題作、話題にしていく作品を放送していきたい」と、新規開発に意欲。放送と連動した多面的な展開を積極的に後押ししていくという。同局では4月1日付でバラエティの名物プロデューサー・伊藤隆行氏が制作局長からアニメ局長に異動予定で、今後の施策に注目が集まる。

脚本開発から連携…日韓共同制作ドラマ

各局で進んでいたドラマの増枠は落ち着いた様相で、今改編では新たな枠組みで制作されるドラマが相次いでスタートする。

テレ朝は、日韓共同制作によるオリジナルドラマとして『魔物』(金曜23:15~)を編成。同局は、韓国でヒットした『梨泰院クラス』の日本版『六本木クラス』を2022年に制作したことをきっかけに、24年5月にドラマを中心としたグローバルコンテンツの企画開発に関する協業協定を韓国・SLLと締結し、同年7月にはSLLのヒット作『SKYキャッスル』を日本オリジナル版としてリメイクした。

今作では、この協業がさらに進化。中川慎子ゼネラルプロデューサーは「今まで弊社を含め日本の民放が行ってきたような韓国の名作ドラマのリメイクというものではなく、脚本段階から日本と韓国のプロデューサーが連携して脚本開発をを行いました。そして演出も、昨年韓国で大ヒットとなった『オク氏夫人伝-偽りの身分 真実の人生-』のチン・ヒョク監督、日本からは『七夕の国』や『クレイジークルーズ』などグローバルで活躍されている瀧悠輔監督など、日本と韓国それぞれで活躍されているトップクリエイターの方々に集結していただいております」と強調している。

TBSは、『イグナイト -法の無法者-』(金曜22:00~)で、サイバーエージェントグループのコンテンツスタジオ・BABEL LABELと初タッグを組む。『新聞記者』『正体』などの藤井道人監督らが設立した同社は、劇場映画を中心に作品を手がけ、今作の原廣利監督は『帰ってきた あぶない刑事』(24年)でメガホンを取った。

同社が企画から参加するテレビドラマの制作は、これまでテレビ東京の深夜帯で実績はあるものの、その他の局、かつGP帯では今回が初めて。企画・プロデュース・脚本の畑中翔太氏は「僕らの強みは映像のダイナミズムにあります。地上波ドラマということにとらわれず、無茶な撮影、チャレンジングな撮影を毎回行っております。“地上波ドラマらしからぬ”をテーマにTBSの金曜ドラマに新しい風を吹き込んでいきたい」と意気込んだ。

二宮和也、ゴールデン冠バラエティさらに増

タレントに視点を置くと、前回の10月改編で冠バラティ『ニノさん』(日テレ)がゴールデンに進出したばかりの二宮和也が、今回TBSで『ニノなのに』(水曜21:00~)がスタート。“なのに”をコンセプトにしたギャップ検証バラエティで、昨年11月と今年1月の特番を経て、レギュラー化の運びとなった。

また千鳥とかまいたちは、土曜23時台の『千鳥かまいたちアワー』(日テレ)が『千鳥かまいたちゴールデンアワー』となって水曜20時台に進出。さらに、この2組が出演する『千鳥の鬼レンチャン』(フジ)のレギュラー枠が2時間に倍増(日曜19:00~)される。『鬼レンチャン』は従来から1時間のレギュラー枠での放送実績がほとんどなかったが、ほぼ交互に放送されていた『千鳥のクセスゴ!』が終了したことで、今後の放送頻度が注目される。

さらに、かまいたちは、テレ東で新番組『JAPANをスーツケースにつめ込んで! ~世界に日本を持ってった~』(月曜20:00~)もスタートする。