声優の活動を始めて2~3年で結核も完治し、その後、舞台に復帰した松本。目標として「主役をやるまでは声優業を極める!」と決めていたが、『絶対無敵ライジンオー』で早くも主役に抜てきされ、同作で声優は引退しようと考えていたという。

そのため、『伝説の勇者ダ・ガーン』(1992~1993)の主役のオファーも当初は断るつもりだったが、父親に話したら「主役1回やっただけで何もわかっていない。この業界に救ってもらったんだったら、もっと頑張らないといけないんじゃないか。ありがたくお受けして、しっかりやりなさい」と一喝。

「確かにそうだなと。そして、『ダ・ガーン』で声優という仕事はめちゃめちゃ奥が深いと気づき、そこからもっと頑張って極めようと思ったんです。続けてきて本当によかったです」と語る。

現在56歳。「恩返しの域に入ってきた」と話していたが、「やりたいことがありすぎて時間が足りない!」とパワーに満ちあふれている。

今後、実現したいことを尋ねると、「ブロードウェイでの朗読劇」を挙げた。

「日本の演技はもっと世界に認められていいと思っています。今、日本の声優が海外でトークショーをやったりしていますが、トークショーだけだと自分たちの技を見せられない。生で見てもらって『すごい!』と度肝を抜かせたいので、ブロードウェイで朗読劇をやりたいなと。私はその演出がやりたいと思っていて、絶対に実現したいです」

そして、エンタメは世界平和にもつながると考えている。

「ライブで27カ国を回って感じたのは、やっぱり地球は一つなんだなと。言葉や文化は違っても思いは通じるということをすごく感じています。私がアニメーションに携わるようになってから、こんなにも意思の疎通ができるコンテンツはないなと思っていて、日本語で歌を歌っても大合唱になるし、世界平和につながるなと。エンタメを通じて世界中がつながって、みんなが笑顔になったらいいなと願っています」

5月25日には地元である横浜市南公会堂にてデビュー40周年記念ライブを開催予定。9月11日~14日には神奈川芸術劇場・大スタジオにて主演と演出を務める舞台『ナビゲーション』も控えている。

「今年は40周年なのでみんなに喜んでもらえるものをいろいろやります! ライブも舞台も面白いので、ぜひ皆さん見に来てください!」

年齢とキャリアを重ね、ますますパワフルさが増している松本。“恩返し”の思いを込めた挑戦から目が離せない。

■松本梨香
横浜市出身。幼少期からミュージカルや2.5次元舞台に立つ。名作アニメや海外映画に声優として多数出演。アニメ『ポケットモンスター』サトシ役が有名で、自身が歌う主題歌はダブルミリオンを記録、その歌声は世代を超えて海外のファンをも魅了し続けている。女性として初めて仮面ライダーシリーズやスーパー戦隊、ウルトラマンのオープニングやエンディングを歌う。日本政府よりクールジャパン広報大使に任命される。近年は音響監督や舞台演出も務めるなどマルチな才能を発揮。昨年はエッセイ「ラフ&ピース」を出版。5月25日には横浜市南公会堂にてデビュー40周年記念ライブを開催予定。9月11日~14日には神奈川芸術劇場・大スタジオにて主演と演出を務める舞台『ナビゲーション』が控えている。