大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(NHK総合 毎週日曜20:00~ほか)で“伝説の花魁”五代目瀬川(花の井)を演じ、妖艶な演技で視聴者を魅了している小芝風花にインタビュー。本作での役作りや撮影エピソードを聞いた。
江戸時代中期の吉原を舞台に、東洲斎写楽、喜多川歌麿らを世に送り出し、江戸のメディア王にまで成り上がった“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く本作。9日に放送された第10回「『青楼美人』の見る夢は」では、身請けが決まった瀬川が豪華な花魁道中を経て、大門の外で待つ鳥山検校(市原隼人)のもとへ嫁いでいくという展開が描かれた。
大河ドラマ初出演にして、蔦重の幼なじみで、伝説の花魁の名跡“瀬川”を継いだ花の井という重要な役どころを任された小芝。オファーを受けたときは「プレッシャーって思いました(笑)。“伝説”つけないで! って」と重圧を感じるも、喜びも大きかったという。
「大河ドラマに出演することは大きな夢でしたし、祖父母が大河ドラマ好きで、元気なうちに出演しているところを見てほしいという思いがあったので、情報解禁のタイミングですぐ連絡して『大河決まったよ!』と伝えたら本当に喜んでくれたので、おじいちゃんおばあちゃん孝行ができた喜びがありました」
蔦重を助け、時に助けられながら、共に育った吉原の再興に尽力してきた瀬川。彼女の生き様を小芝は称える。
「自分の思いや感情を押し殺して、人のために、蔦重のために自分を犠牲にできるというのは、なかなか真似できることではないし、蔦重と結ばれるわけがないという諦めもありながら、少しでも彼の夢が叶うようにサポートする。身を切る仕事ですが、瀬川という大きな看板を背負って立っている瀬川はかっこいいなと思います」
演じる際には、瀬川の心の変化を丁寧に表現することを意識したという。
「裏では蔦重のために必死になっていて、1日に何人も相手をしないといけなくて心も体もどんどん疲弊していくけど、絶対に蔦重の前では疲れている素振りを見せない。好きな人の前では素直になれない感じもそうだし、瀬川の乙女心がいじらしくて。蔦重の一言一言で喜んだり、地獄に突き落とされた気分になったり、感情がかき乱されていくので、その機微を逃さないように丁寧に演じたいと思いました」と説明し、「ちょっとした目の動きなど、複雑な思いを漏れることなくお届けするにはどういう風にしたらいいかなと考えながら演じました」と振り返る。
演じるにあたって所作の習得にも励んだ。
「キセルだったり、文をお客さんに書いたり、高下駄で歩いたり、舞ったり、習得しないといけない技が多くて。息をするかのようにナチュラルにできないといけないので、その所作をちゃんと体が覚えるように家ですごく練習しましたし、普段タバコは吸わないんですけど、キセルでむせたらかっこ悪いと思って、ニコチンが入ってないタバコで煙に慣れる練習したり、高下駄をお借りして家に持って帰って練習したりしました」
花魁を演じるのは最後かもしれないという思いもあったという。
「花魁は実際、年齢が若く、10代から20代前半なので、もしかしたら花魁という役はこれが最初で最後かもしれないと。だから全部思い切って出し切りたいと思い、いろいろ研究しました」